愛知県豊橋市を流れる柳生川で、豪雨による氾濫を防ぐため、川の地下に約900メートルのトンネルを掘る大規模な治水工事が進んでいます。
柳生川周辺では2008年8月の豪雨で大規模な浸水被害が発生しました。しかし、川沿いには鉄道や住宅地が広がり、通常の河川改修のように川幅を大きく広げることが難しいため、地下に水を逃がす特殊な方式が採用されました。
大雨時、柳生川の水を地下トンネルへ
工事では、大雨で柳生川の水位が上昇した際に、川の水の一部を地下トンネルへ分流させます。
トンネルを通った水は、下流側の川幅に余裕がある地点で再び柳生川へ戻す仕組みです。
東三河建設事務所は、川から分けた水を地下経由で再び同じ川へ戻す施設について、全国的にも珍しい方式と説明しています。
工事は2019年度に着手され、2029年度の完成を予定しています。
2008年豪雨では道路193か所が冠水
対策の背景にあるのが、2008年8月に豊橋市を襲った記録的な豪雨です。
当時は1時間に100ミリの猛烈な雨を観測し、総雨量は233.5ミリに達しました。
柳生川などが氾濫し、市内では193か所の道路が冠水するなど大きな被害が発生しました。
柳生川周辺は住宅地や交通インフラが密集していることから、河川そのものを大幅に拡幅することが難しく、地下を利用した治水対策が進められることになりました。
市内18か所に浸水センサーも設置
豊橋市では地下トンネルとは別に、道路冠水を早期に把握する取り組みも進めています。
過去に浸水した市内18か所に計21基のリアルタイム浸水センサーを設置し、実証実験を実施しています。
対象には東海道新幹線の高架下など、水がたまりやすい場所も含まれます。
センサーによって浸水状況を早期に把握し、アンダーパスなどで通行止めを判断する際に活用する狙いがあります。
編集部まとめ
柳生川の地下トンネルは、単に川を掘り下げるのではなく、豪雨時だけ水の一部を地下へ逃がし、下流で再び柳生川へ戻す治水施設です。
今後の注目点は、2029年度の完成まで工事がどこまで進むのか、完成後に豪雨時の柳生川の水位や周辺道路の浸水リスクをどの程度抑えられるのかです。
2008年の豪雨から約20年を経て完成する大型治水事業として、豊橋市南部の防災対策を大きく変える可能性があります。
週刊TAKAPI編集部/一条
特記事項
柳生川周辺では、河川改修だけでなく道路、土地区画整理など複数の都市基盤整備が進められています。愛知県の地域強靱化計画でも、豊橋市内の防災・都市基盤関連事業が位置付けられています。
トンネルの完成時期や工事内容については、今後の工程変更などにより変わる可能性があります。
柳生川の地下で進む工事とは
豊橋市の柳生川では、豪雨時に増えた河川水の一部を地下トンネルへ逃がす治水工事が進められています。
トンネルの延長は約900メートル。川幅に余裕がある下流側で水を再び柳生川へ戻す仕組みで、東三河建設事務所は、川から分流した水を再び同じ川へ戻す施設は全国的にも珍しいとしています。
河川沿いに住宅や鉄道などがあり、川幅を大幅に広げることが難しい豊橋の都市構造に対応した対策です。
2008年豪雨が整備の大きな背景
2008年8月、豊橋市では1時間100ミリの猛烈な雨が降り、総雨量は233.5ミリに達しました。
柳生川などが氾濫し、市内193か所で道路が冠水するなど大きな被害が発生しました。
この経験を背景に、従来の河川改修だけでは対応が難しい場所について、地下空間を利用して洪水を逃がす方式が進められています。
2019年度着工、2029年度完成予定
地下トンネル工事は2019年度に始まりました。
完成予定は2029年度で、着工から約10年をかける大型の治水事業となります。
完成後は、豪雨時に柳生川へ集中する水量の一部を地下へ分散させ、周辺の浸水や道路冠水のリスクを抑える役割が期待されます。
豊橋市では浸水センサー21基も設置
柳生川のトンネル工事だけでなく、豊橋市では道路冠水を早期に把握するためのデジタル対策も進んでいます。
過去に浸水した市内18か所に、計21基のリアルタイム浸水センサーを設置。東海道新幹線の高架下など、水がたまりやすい場所も対象となっています。
浸水状況を早期に把握することで、アンダーパスなど危険な道路を迅速に通行止めにすることが狙いです。
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