豊橋市議会議員は、この4年間で何をしてきたのか。
一般質問をした回数だけでは、議員の仕事は分からない。
どんな問題を取り上げたのか。市政の重要な局面で何を発言したのか。議案や住民投票にどう向き合ったのか。そして、議員活動のために交付される政務活動費をどのように使ってきたのか。
公表資料から豊橋市議一人ひとりの活動を読み解く、週刊TAKAPI「独自分析 豊橋市議を読む」。
第17回は、まちフォーラム代表・及部克博市議を取り上げる。
及部氏は現在2期目。会派「まちフォーラム」の代表を務め、総務委員会、議会運営委員会に所属している。公式プロフィールでは「安全・安心・元気なまちづくりを目指します」と掲げている。
さらに2026年5月15日、及部氏は市議会議員から選任される豊橋市監査委員に就任した。
監査委員は、市の財務に関する事務や事業の管理が適正かつ効率的に行われているかなどを監査する立場だ。
一議員から会派代表へ。
そして、市の財務を監査する立場へ。
及部克博市議の2期目を、議会での発言と政務活動費から検証する。
及部克博市議とは――2期目で「まちフォーラム」代表
及部克博氏は昭和46年生まれ、現在2期目。
所属する「まちフォーラム」は現在3人の会派で、及部氏が代表、久保大司市議が副代表、星野隆輝市議が所属している。
議会では総務委員会、議会運営委員会に所属する。
総務委員会では、市政運営、財政、税、防災、政策企画など、市役所の根幹に関係する分野を扱う。
さらに議会運営委員会は、議会をどう運営するかを協議する場だ。
2期目ながら、現在は会派代表、議会運営委員、監査委員という複数の役割を担っている。
ただし、肩書きそのものを「実績」と評価することはできない。
重要なのは、
その立場で何を発言し、何を市民の前に明らかにしたのか。
ここから実際の議会活動を見ていく。
及部市議は何を質問してきた?原点には「環境」と「教育」
及部氏が初当選後に行った一般質問をさかのぼると、その問題意識の一端が見える。
2019年9月定例会では、
「本市における資源循環型社会の構築」
「学校における水泳授業の諸課題」
を取り上げた。
資源循環では、大量生産・大量消費・大量廃棄型社会からの転換。
学校の水泳授業では、安全管理や民間プールの活用などを質問している。
現在の2期目だけを見る前に、この1期目からのテーマを押さえておきたい。
及部氏は、議員活動の比較的早い段階から、
環境
教育
市民生活の安全
といった分野を扱ってきた。
2期目で最大級の発言――新アリーナ住民投票をどう問うた?
2期目で及部氏の発言が特に目立った場面の一つが、2025年5月15日の豊橋市議会臨時会だった。
この日、市議会では新アリーナ事業の継続について市民へ直接問う二つの住民投票条例案が審議された。
一方は参議院議員選挙と同日に住民投票を行う案。
もう一方は公布から180日以内に実施する案だった。
及部氏は、この二つの条例案について一問一答方式で質疑を行った。
なぜ、もう一度住民投票条例を提出したのか
及部氏が最初に確認したのは、条例案を提出することになった経緯だった。
前年の2024年12月にも住民投票条例案が提出され、その後取り下げられている。
そこで及部氏は、前年に取り下げた理由がすべて解消されているとは言えない状況で、
なぜ2025年5月に再び条例案を出したのか
を提案者側に問うた。
提案者側からは、契約解除に伴う金額など依然公表できない情報がある一方、住民から早期の住民投票を求める要望が出ていることなどが説明された。
単に「賛成か反対か」を問うだけではなく、条例案そのものを再提出した理由を議場で確認した形だ。
「同日実施」と「単独実施」、費用はいくら違う?
次に及部氏が取り上げたのが、住民投票の日程だった。
参院選と同日に実施する案では、投票率向上と費用削減が理由として示された。
一方、単独実施案では、国政選挙期間中に住民投票運動が制限される可能性などが理由として説明された。
そこで及部氏は豊橋市当局に、
参院選と同日に実施する場合と、住民投票を単独で行う場合で、費用はどれほど違うのか
と質問した。
市側の答弁は、
同日実施の場合、単独実施よりおよそ4割程度の費用を軽減できる
というものだった。
この質疑によって、市民が住民投票の方式を考えるうえで一つの具体的な数字が議場に示された。
政策を実現したという意味での「実績」ではない。
しかし、行政に質問することで、市民が判断するための情報を表に出したという点では、議員活動として評価できる部分だ。
「結果を尊重する」とは何か――市長にも明確な回答を要求
及部氏はさらに踏み込んだ。
二つの条例案には、市長と市議会が住民投票の結果を尊重するとの規定が盛り込まれていた。
及部氏はまず提案議員側へ、結果を「尊重する」とはどういう意味なのかを確認。
提案者側は、賛成多数なら事業継続、反対多数なら契約解除という考え方を示した。
そこで及部氏は長坂尚登市長に対し、
事業継続への賛成が多数となった場合には、建設中止を撤回して事業を進めるのかという趣旨で質問した。
長坂市長は繰り返し「住民投票の結果を尊重する」と答弁した。
しかし及部氏は、それだけでは十分に明確ではないとして再度回答を求めた。
最後まで市長から「結果に従う」という直接的な表現が示されなかったことについて、及部氏は残念だとの趣旨を述べ、質疑を終えている。
ここから見えるのは、
住民投票をやるだけでなく、その結果が本当に政策決定へ反映されるのかを確認しようとした姿勢
だ。
政務活動費を検証――及部克博市議はいくら交付され、いくら使った?
議員活動を見るうえでもう一つ重要なのが、政務活動費だ。
豊橋市議会では議員別に収支報告書と支出資料を公開している。
今回は、及部氏について令和4年度から令和7年度までの直近4年度を整理した。
なお、及部氏の2期目は令和5年度からのため、令和4年度は1期目最後の年度として参考掲載する。
公式収支報告書によると、金額は次のとおり。
| 年度 | 交付額 | 使用額 | 返還額(収支差引残額) |
|---|---|---|---|
| 令和4年度 | 108万円 | 59万8,222円 | 48万1,778円 |
| 令和5年度 | 99万円 | 72万791円 | 26万9,209円 |
| 令和6年度 | 108万円 | 80万8,591円 | 27万1,409円 |
| 令和7年度 | 108万円 | 55万1,947円 | 52万8,053円 |
| 合計 | 423万円 | 267万9,551円 | 155万449円 |
直近4年度では、計423万円が交付され、そのうち使用額は267万9,551円。
使用率は約**63.3%**となる。
未使用分に当たる収支差引残額は、4年度合計で155万449円だった。
2期目だけを見ると「315万円交付・208万円使用」
さらに、現在の2期目に当たる令和5年度から令和7年度だけで見る。
| 2期目 | 金額 |
|---|---|
| 交付額合計 | 315万円 |
| 使用額合計 | 208万1,329円 |
| 返還額合計 | 106万8,671円 |
| 使用率 | 約66.1% |
つまり、2期目に交付された政務活動費315万円に対して、実際の支出は約208万円だった。
「交付された分を使い切る」という支出ではないことが分かる。
もちろん、使わなかったから優秀ということでもない。
逆に、多く使った議員ほど仕事をしているとも限らない。
政務活動費を見るときに重要なのは、
「いくら使ったか」より「何に使ったか」だ。
何に使った?2期目は「広報費」が最大
そこで令和5年度から令和7年度までの支出内訳を合計した。
各年度の収支内訳書によると、2期目の支出は次のようになる。
| 支出項目 | 令和5年度~7年度合計 |
|---|---|
| 広報費 | 91万953円 |
| 研修費 | 45万730円 |
| 資料購入費 | 35万7,640円 |
| 調査研究費 | 32万8,593円 |
| 資料作成費 | 3万3,413円 |
| 合計 | 208万1,329円 |
最大は広報費だった。
2期目の全支出約208万円のうち、広報費は約91万円。
割合にすると約**43.8%**を占める。
3年度すべてで広報費が最大の支出項目となっている。
年度別でも広報費が最大
令和5年度は、
広報費 26万1,800円
研修費 19万830円
調査研究費 15万5,470円
資料購入費 11万1,900円
資料作成費 791円。
令和6年度は、
広報費 38万753円
研修費 20万2,100円
資料購入費 12万100円
調査研究費 10万1,358円
資料作成費 4,280円。
令和7年度は、
広報費 26万8,400円
資料購入費 12万5,640円
調査研究費 7万1,765円
研修費 5万7,800円
資料作成費 2万8,342円だった。
人件費や事務所費については、これら3年度の収支内訳書ではいずれも0円となっている。
「広報に約44%」をどう見る?
広報費が多いこと自体は問題ではない。
政務活動費では、市民へ議会活動や政策を知らせる広報活動も対象となる。
及部氏の令和6年度の公開資料には、自身の活動を伝える「担当者レポート」などの広報物も収録されている。
むしろ議員には、
何を質問したのか。
どの議案にどう向き合ったのか。
なぜその判断をしたのか。
を有権者に説明することが求められる。
だから週刊TAKAPIが見るべきなのは、
広報費91万円を使ったことそのものではない。
その広報物に、
議員本人の質問・政策判断・議決行動がどこまで具体的に説明されているのか
だ。
調査・研修には約78万円――議会発言につながったのか
2期目では、
調査研究費が32万8,593円。
研修費が45万730円。
合わせて約77万9,000円が計上されている。
ここは、今後さらに追う価値がある。
どこを調査したのか。
何を研修したのか。
そこで得た情報をどの一般質問や委員会質問に反映したのか。
例えば、
「研修へ参加した」→「議会で質問した」→「行政が何かを変更した」
までつながれば、政務活動費が政策形成に生かされた一つの流れとして評価できる。
逆に、視察や研修が実際の政策提言につながっていることが確認できなければ、「実績」と評価するには慎重さが必要だ。
発言と政務活動費を一緒に見る意味
ここで、及部氏の議会発言と政務活動費を重ねてみる。
2期目では広報、研修、調査研究に一定額を投入している。
そして議会では、新アリーナ住民投票という市政最大級の問題について、
条例案再提出の理由。
住民投票の日程。
投票費用。
結果の拘束・尊重の考え方。
市長の対応。
と段階的に質問した。
特に「同日実施なら費用を約4割軽減できる」という行政答弁を引き出したことは、市民が判断する材料を増やしたという意味で分かりやすい議会活動だった。
ただし、現時点の公開資料だけで、
どの政務活動費支出がこの質問に直接つながったのか
まで断定することはできない。
ここは分けて評価する必要がある。
2026年、及部市議は「監査する側」へ
及部氏の2期目でもう一つ重要なのが、2026年5月の監査委員就任だ。
豊橋市の監査委員は4人。
識見を有する者から2人、市議会議員から2人が選任されている。
及部氏は石河貫治市議とともに議員選出の監査委員となった。
監査委員は、市の財務事務だけでなく、必要がある場合には事務執行についても監査できる。
ここで及部氏の立場は一段変わる。
これまでは、
「議場で行政に質問する議員」
だった。
現在はそれに加えて、
「行政の財務や事業管理を監査する議員」
でもある。
会派代表、総務委員、議会運営委員、監査委員。
2期目後半は、市政全体をチェックする責任が大きくなっている。
肩書きは「実績」ではない――何を指摘したかが問われる
ただ、監査委員に選ばれたことだけを実績とするのは早い。
重要なのは、
監査で何を確認したのか。
どの問題を指摘したのか。
改善を求めたのか。
そして行政がその指摘を受けてどう変わったのか。
ここまで見る必要がある。
同じことは会派代表にも言える。
代表になったことではなく、
「まちフォーラムを代表してどんな政策を提示したか」
が評価対象になる。
及部克博市議の「実績」を現時点でどう見る?
公表資料から確認できる及部氏の活動を整理すると、いくつかの特徴が浮かぶ。
まず、1期目から資源循環、教育、安全といった生活に近い課題を取り上げてきた。
2期目では会派代表となり、新アリーナ住民投票をめぐる重要な議案質疑で、投票費用や結果の扱いについて具体的な質問を行った。
政務活動費では、2期目3年間で315万円の交付に対し、208万1,329円を使用。
最も比重が大きかったのは広報費で、約91万円、支出全体の約44%だった。
さらに2026年には監査委員へ就任している。
これらは「何をしてきたか」という意味では確認できる活動だ。
では「何を変えたのか」――ここが次の検証点
一方で、本シリーズが最も重視するのはここだ。
質問した。
研修した。
広報した。
監査委員になった。
これだけでは「政策実績」の評価は終わらない。
一般質問や議案質疑を通じて、
市の制度が変わったのか。
予算に反映されたのか。
行政運営が改善されたのか。
市民サービスにつながったのか。
ここまで確認する必要がある。
及部氏の場合、住民投票質疑では費用差という具体的な情報を引き出した。
一方、これまで取り上げた政策全般について「質問後にどう変わったか」は、さらに追跡する余地がある。
週刊TAKAPIの分析――「質問する議員」から「チェックする議員」へ
及部克博市議の歩みを一本の線で見ると、一つの変化が見える。
1期目。
環境、学校教育など、市民生活に近い問題を質問。
2期目。
会派代表として、市政最大級の争点である新アリーナ住民投票の議論に参加。
そして現在。
市の財務や事業を監査する監査委員となった。
つまり、
「個別の市民課題を質問する議員」から、「市政全体を監視・検証する議員」へ
役割が広がっている。
これが2期目の及部氏を見るうえで最大の特徴ではないだろうか。
まとめ――及部克博市議は何をしてきた?
及部克博市議は現在2期目。
3人会派「まちフォーラム」の代表を務め、総務委員会、議会運営委員会に所属する。
2026年5月からは市議会選出の監査委員にも就任した。
議会では、新アリーナ住民投票をめぐる質疑で、実施時期、費用差、投票結果の扱いについて質問。
行政から、参院選との同日実施なら単独実施よりおよそ4割費用を軽減できるとの答弁を引き出した。
政務活動費は2期目3年間で、
交付315万円
使用208万1,329円
返還相当額106万8,671円
となっている。
支出では広報費が約91万円と最も大きく、全体の約44%。
続いて研修費、資料購入費、調査研究費となった。
ただし、金額や発言数だけで市議を評価することはできない。
何を調べたのか。
何を質問したのか。
何を市民へ伝えたのか。
そして、
その結果、豊橋市政を何か動かしたのか。
2期目後半、監査委員という新たな立場も加わった及部克博市議。
今後は「質問する力」だけでなく、行政を監視し、具体的な改善へつなげる力がより問われることになる。
週刊TAKAPIでは、今後も一般質問、委員会発言、監査結果、議決行動、政務活動費を追いながら、及部克博市議の2期目を検証していく。
※本記事は2026年8月時点で豊橋市・豊橋市議会が公開している議員名簿、会議録、市議会だより、監査委員資料、政務活動費収支報告書および支出資料をもとに構成しています。「実績」に関する評価は公開資料をもとにした週刊TAKAPIの分析です。政務活動費については金額の大小だけをもって活動の優劣や適否を評価するものではありません。
サイト訪問者数

コメント
0件まだコメントはありません。最初のコメントを投稿してみませんか。