【豊橋駅前】大正元年創業「ボン.千賀」はなぜ100年以上続く? 名物パピロと昭和レトロ喫茶、街に残る“豊橋の味”を訪ねる

豊橋駅前を歩いていると、新しい店が並ぶ街の中で、ひときわ懐かしい空気をまとったパン屋がある。

豊橋市駅前大通の「ボン.千賀」だ。

運営する千賀製菓の歴史は、1912年(大正元年)までさかのぼる。

菓子卸業から始まり、戦後は菓子やパンの製造へ。1979年の店舗改装を機に、現在につながるベーカリー&カフェのスタイルになった。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

名物の「パピロ」をはじめとした昔ながらの菓子パン、昭和を思わせるパッケージ、店内の喫茶スペース、クリームソーダ。

ボン.千賀の魅力は、単に「古いパン屋」という言葉だけでは説明しきれない。

100年以上続いてきた歴史そのものが、今では豊橋らしさを感じられる一つの文化になっている。

今回は、豊橋駅前の老舗「ボン.千賀」の歴史と人気商品、喫茶スペース、そしてなぜ長く街に残り続けてきたのかを追った。

ボン.千賀とは? 大正元年から続く豊橋の老舗

ボン.千賀を運営する千賀製菓の創業は1912年、大正元年。

当初は菓子卸業から始まり、その後、菓子やパンの製造を中心とする事業へ発展した。

1979年には喫茶スペースを併設したベーカリー&カフェとなり、現在の店舗スタイルにつながっている。

なお、現在の「千賀製菓株式会社」として法人化されたのは2020年。事業としては100年以上の歴史を持つ一方、現在の法人組織は比較的新しい。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

現在の店舗は、

愛知県豊橋市駅前大通1丁目28。

豊橋駅東口から徒歩約5分という、街の中心部にある。

公式サイトには、

「豊橋の顔であり、味であり。」

という言葉も掲げられている。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

長い歴史を考えれば、決して大げさな表現ではないのかもしれない。

ボン.千賀の魅力は「作ったレトロ」ではない

近年、「昭和レトロ」をテーマにした飲食店や喫茶店は珍しくなくなった。

しかし、ボン.千賀は少し違う。

レトロな雰囲気を新しく演出した店ではない。

長く営業を続けてきた結果として、昔のデザインや空気感が現在まで残っている。

店内にはオレンジ系の暖色を使った装飾があり、パンを包む袋にも昔ながらのデザインが残る。

公式サイトも、店内やパッケージについて「レトロでポップな雰囲気」と紹介している。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

新しく作られた「昭和風」ではなく、本物の時間が積み重なっている。

ここがボン.千賀の大きな個性だ。

名物「パピロ」とは? ボン.千賀の人気No.1

ボン.千賀を初めて訪れるなら、まず名前が挙がる商品の一つが「パピロ」だ。

公式サイトでも人気No.1として紹介されている。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

パンそのものだけでなく、昔ながらのパッケージも印象的。

店頭にはこのほかにも、

  • レモンクッキー
  • ブドーパン
  • 3色パン
  • あんパン
  • クリームパン
  • ジャムパン
  • レモンパン

など、昔ながらの菓子パンが並ぶ。

2026年8月時点の公式サイト掲載価格では、パピロ240円、レモンクッキー270円、ブドーパン300円、3色パン340円などとなっている。価格は変更される場合があるため、購入時には店頭で確認したい。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

「何十年も変わらない味」が逆に新しい

ボン.千賀は公式サイトで、手作りパンについて*何十年も変わらない味と紹介している。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

ここが、この店を考えるうえで非常に興味深い。

一般的な飲食店では、新商品や限定商品、店舗リニューアルなど「変化」が話題になりやすい。

しかし、ボン.千賀では逆だ。

昔からある味やデザインを残してきたこと自体がブランドになっている。

変わらないものが減った時代だからこそ、「昔と同じ」が新鮮に映る。

長年通っている人には懐かしく、初めて訪れる若い世代には逆に新しく見える。

この両方を成立させられる店は、それほど多くない。

パン屋なのに喫茶店 ボン.千賀のもう一つの顔

ボン.千賀には、パンの販売スペースだけでなく喫茶スペースが併設されている。

公式サイトによると、テーブル3卓とカウンター6席があり、最大18席。

購入したパンを、コーヒーやクリームソーダなどのドリンクと一緒に店内で楽しめる。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

さらに午前11時まではモーニングサービスも行われている。

つまりボン.千賀は、

パンを買って帰る店

だけではない。

パンを選び、席に座り、飲み物と一緒に味わい、昔ながらの店内で時間を過ごす。

そこまで含めて一つの体験になっている。

なぜクリームソーダが似合うのか

ボン.千賀の喫茶メニューにはクリームソーダもある。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

クリームソーダ自体は珍しい飲み物ではない。

それでも、この店では妙にしっくりくる。

昭和を感じる店内。

昔ながらの菓子パン。

レトロなパッケージ。

そこにクリームソーダが加わる。

一つ一つは昔からあるものだが、それらが同じ空間に残っていることで、店全体として一つの世界観が成立している。

これは新しい店舗が意図的につくろうとしても、簡単には再現できない。

ボン.千賀はなぜ100年以上続いてきた?

ここからは週刊TAKAPI編集部の考察だ。

長寿店には、「昔からある」というだけでは説明できない強さがある。

ボン.千賀の場合、大きく3つの理由が見えてくる。

①「変えないこと」がブランドになった

まず大きいのが、長年続いてきた商品やデザインだ。

時代に合わせてすべてを作り変えるのではなく、何十年も変わらない味を残す。

結果として、それが他店にはない個性になった。

店の歴史そのものがブランドになっている。

② 豊橋駅前という場所に「記憶」が積み重なった

ボン.千賀があるのは、豊橋駅から歩いて行ける駅前大通。

駅前は、通勤、通学、買い物、旅行、帰省など、さまざまな人が行き交う場所だ。

同じ場所で長く営業を続けることで、

「昔ここで買った」

「学生時代に食べた」

「久しぶりに豊橋へ帰ってきて立ち寄った」

という個人の記憶が店に積み重なっていく。

これは全国チェーンが短期間では作れない価値だ。

③ 時代が「地元パン」に追いついた

かつては、ごく普通の地域のパン屋として見られていた商品も、現在では「地元パン」「昭和レトロ」という別の価値から注目されるようになった。

ボン.千賀のパピロは、パン旅愛好家・甲斐みのりさん監修の「地元パン®ミニミニスクイーズ」にも採用されている。

店内では「地元パン®文具」も販売されており、クリアファイルやノート、シール、ポストカードなどに展開されている。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

つまり、昔から変わらず存在していたものが、時代の変化によって新しい価値を持ち始めたともいえる。

「パン屋+喫茶+デザイン」がボン.千賀の強さ

ボン.千賀を「老舗パン屋」とだけ呼ぶと、この店の特徴を少し見落としてしまう。

パンがある。

喫茶がある。

パッケージがある。

100年以上の歴史がある。

そして、それらすべてが豊橋駅前という場所に残っている。

一般的なパン屋なら目的は「パンを買うこと」。

一方、ボン.千賀では、

パンを選ぶレトロなパッケージを見る喫茶スペースに座るコーヒーやクリームソーダと一緒に食べる豊橋らしい時間を過ごす

という体験が成立する。

現在のマーケティング用語でいえば「体験価値」だが、この店はそれを言葉が流行するよりずっと前から自然に続けてきたことになる。

ボン.千賀は豊橋土産にも向いている?

豊橋駅から徒歩圏内という立地を考えると、観光や出張で訪れた人にも立ち寄りやすい。

店ではパンだけでなく、カステラや地元パンをモチーフにしたグッズも扱っている。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

日持ちする商品やグッズなら、

「豊橋らしいものを持ち帰りたい」

という人の選択肢にもなりそうだ。

定番の土産物とは少し違い、「街の日常」を持ち帰る感覚に近い。

ボン.千賀の営業時間・アクセスは?

2026年8月時点で、公式サイトに掲載されている店舗情報は次の通り。

項目

店舗情報

店名

ボン.千賀

住所

愛知県豊橋市駅前大通1-28

アクセス

豊橋駅東口から徒歩約5分

電話

0532-53-5161

営業時間

10:00~20:30(変動あり)

定休日

日曜日(不定休あり)

喫茶スペース

最大18席

テイクアウト

あり

駐車場

なし

カード払い

不可

店舗情報は千賀製菓公式サイト掲載内容による。営業時間や休業日は変更される可能性があるため、来店前に最新情報を確認してほしい。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

千賀製菓とは? 1912年創業、現在はパン・菓子・米飯も

ボン.千賀を運営する千賀製菓は、1912年に菓子問屋として創業した。

現在はパンや菓子だけでなく、米飯などの製造・販売も手掛けている。

2020年にはSEIR〈セイル〉ライスセンターの設立とともに「千賀製菓株式会社」として法人化した。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

つまり、ボン.千賀の背景には、一店舗のパン屋というだけではない、豊橋で100年以上続いてきた食品事業の歴史がある。

ボン.千賀で何を食べる? 初めてなら「パピロ」も選択肢

初めて訪れる人が「何を買えばいい?」と迷った場合、やはり公式サイト人気No.1のパピロは候補になる。

一方、レモンクッキー、3色パン、あんパン、クリームパンなども、ボン.千賀らしい昔ながらのラインナップだ。(千賀製菓株式会社 | 豊橋の顔であり、味であり。)

ただし、職人による手作りで生産数に限りがあり、日によっては購入できない商品もあると公式サイトは案内している。

目当ての商品が必ず並んでいるとは限らない。

それもまた、昔ながらの個人店らしさなのかもしれない。

まとめ|ボン.千賀は「豊橋の記憶」を残すパン屋

ボン.千賀の魅力は、「おいしいパンが買える」という一点だけではない。

1912年から続く歴史。

何十年も守られてきた味。

昭和を感じさせるパッケージ。

レトロな喫茶スペース。

クリームソーダ。

そして豊橋駅前という場所。

それらが重なり合うことで、ボン.千賀は単なるベーカリーではなく、豊橋という街の記憶を残す場所になっている。

新しい店が次々と生まれ、街の景色が変わっていく時代。

その中で、100年以上前から続く食の歴史が駅前に残っていること自体に価値がある。

昔から通っている人には懐かしい。

初めて訪れる人には新しい。

「豊橋駅前で、その街にしかない店へ行ってみたい」

そんな人にとって、ボン.千賀は一度立ち寄ってみたい老舗の一軒だろう。

100年以上積み重ねてきた「豊橋の味」は、現在も駅前大通で続いている。

担当記者|黒木

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