神戸市立小学校に通う4年の男子児童が、同級生らからのいじめを理由に不登校になったとして、神戸市教育委員会が「いじめ重大事態」と認定していた事案で、男児の父親が学校関係者ら6人を刑事告訴したことが分かりました。
父親は、学校や市教委の対応が不適切だったと訴えています。
一方、神戸市教委は、調査委員会の設置にあたって保護者側と事前にすり合わせを行ったと説明しており、双方の認識に食い違いが出ています。
小2時からいじめ被害を訴え
父親によると、男子児童は小学2年生だった2024年11月以降、同級生らから暴行を受けたり、名札を切られたりするなどの被害を受けたとされています。
その後、男児は不登校状態となり、2025年1月から3月には近隣の学校へ指定外通学していました。
2025年4月には元の学校へ戻ったものの、父親によると、学校側が約束した安全確保の対応が守られず、現在もほとんど登校できていないということです。
神戸市教委は「いじめ重大事態」と認定
神戸市教育委員会は、この事案を2024年10月に、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」として認定しました。
さらに、2025年5月28日には、弁護士や臨床心理士を含む学校主体の調査委員会を設置しています。
いじめ重大事態では、被害児童生徒や保護者への説明、調査の進め方、調査委員会の中立性、再発防止策などが重要な論点になります。
今回の事案でも、調査委員会の設置や学校側の対応が大きな焦点になっています。
父親「事前すり合わせがなかった」と主張
父親は、重大事態調査の進め方をめぐり、国のガイドラインで求められている保護者との事前すり合わせがなかったと主張しています。
また、学校側に強い不信感があると訴えています。
父親側は、保護者に無断で支援計画を作成したなどとして、教員4人を虚偽公文書作成等罪などで告訴。
さらに、教員1人を業務妨害罪、市教委職員1人を脅迫罪で、それぞれ告訴したとしています。
刑事告訴は、捜査機関に犯罪事実を申告し、処罰を求める手続きです。
ただし、告訴されたこと自体で犯罪が認定されたわけではなく、今後、警察などが受理や捜査の必要性を判断することになります。
市教委「事前すり合わせはした」と説明
一方、神戸市教委は、調査委員会の設置について、保護者側と事前のすり合わせは行ったと説明しています。
ただし、調査の進め方などについては、保護者側と連絡が取れない状況だとしています。
父親側は「事前すり合わせがなかった」と主張し、市教委側は「すり合わせはした」と説明しており、ここでも双方の認識が対立しています。
今後は、実際にどのような説明や協議が行われたのか、記録ややり取りの確認が重要になりそうです。
問われるのは「調査の中身」と「被害児童の安全」
いじめ重大事態では、調査委員会を設置するだけでは十分ではありません。
重要なのは、被害児童と保護者が納得できる形で調査が進められているかどうかです。
何が起きたのか。
学校はいつ把握したのか。
安全確保の約束はどう運用されたのか。
支援計画はどのように作成されたのか。
保護者への説明は十分だったのか。
これらが明らかにならなければ、被害児童側の不信感は解消されません。
特に、男児が現在もほとんど登校できていないとされる中で、学校側には、調査と同時に安全確保と支援体制を整える責任があります。
ミニ解説|いじめ重大事態と刑事告訴
Q. 何が起きたのですか?
A. 神戸市立小学校の4年男子児童が、同級生らからのいじめを理由に不登校になったとして、市教委がいじめ重大事態と認定しました。その後、男児の父親が学校関係者ら6人を刑事告訴したとされています。
Q. いじめ重大事態とは何ですか?
A. いじめにより、児童生徒の生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑いがある場合や、いじめにより相当期間学校を欠席している疑いがある場合に認定されるものです。
Q. 父親側は何を問題視していますか?
A. 学校側の安全確保の対応、調査委員会設置前のすり合わせ、支援計画の作成方法などに不信感を示しています。
Q. 市教委側は何と説明していますか?
A. 調査委員会設置について、保護者側と事前のすり合わせはしたと説明しています。一方で、調査の進め方について連絡が取れないともしています。
Q. 刑事告訴されたら有罪になるのですか?
A. いいえ。告訴は捜査機関に犯罪事実を申告し、処罰を求める手続きです。告訴されたこと自体で犯罪が認定されたわけではありません。
Q. 今後の焦点は何ですか?
A. 告訴内容の扱い、調査委員会の進め方、保護者とのやり取り、安全確保の実態、学校と市教委の説明責任が焦点になります。
被害児童を守る調査になっているか
今回の事案では、いじめ重大事態の認定に加え、父親による刑事告訴という形で、学校側の対応がさらに問われることになりました。
学校や市教委にとって重要なのは、手続き上の説明だけではありません。
被害児童が安心して学べる環境を取り戻せているのか。
保護者が納得できる説明を受けているのか。
調査委員会が、形式的なものではなく、実態解明と再発防止につながるものになっているのか。
そこが問われています。
いじめ重大事態の調査は、学校や教育委員会を守るためのものではありません。
被害を受けた子どもの尊厳を守り、同じことを繰り返さないためのものです。
双方の主張に食い違いがあるからこそ、第三者性のある丁寧な検証と、保護者への分かりやすい説明が求められます。
本記事は、父親側の説明、市教育委員会の説明および各社報道を基に構成しています。未成年が関係する事案のため、児童の特定につながる情報や詳細な描写は避けています。刑事告訴は有罪や犯罪事実の認定を意味するものではありません。今後、捜査機関や市教委、調査委員会の発表により、内容が更新される可能性があります。
担当記者:成田|週刊TAKAPI 記者

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