都内赤ちゃんポスト1年で20人 院長が国に訴え「民間だけでは限界」

東京・墨田区の賛育会病院で赤ちゃんポストに1年間で20人が託され、内密出産7件が確認された社会ニュースのアイキャッチ

週刊TAKAPI編集部/成田

東京・墨田区の賛育会病院は2日、国内2例目として導入した「赤ちゃんポスト」と「内密出産」の1年間の運用実績を発表した。昨年3月31日の運用開始から今年3月末までに、赤ちゃんポストに託された新生児は20人に上った。

同病院によると、母親の身元を病院側の一部職員にのみ明かして出産する「内密出産」は7件あった。このうち2件では、出産後に母親が内密扱いを解除し、自ら育てる選択をしたという。

一方、赤ちゃんポストに託された20人と、内密出産後に母親が養育しなかった5人を合わせた計25人の子どもは、児童相談所への通告を経て、乳児院で保護・養育されている。

賀藤均院長は記者会見で、「本来、このような仕組みが存在しない社会こそが理想だ」と述べた。その上で、貧困や孤立により誰にも相談できないまま出産に至る妊婦を支える体制が、現在の日本では十分に整っていないとの認識を示した。

特に課題として挙げたのは、内密出産を受け入れる医療機関の少なさと、国による制度整備の遅れだ。病院側が出産した女性の個人情報を管理し、医療費負担にも対応している現状について、賀藤院長は「民間病院だけでは限界がある」と強調した。

赤ちゃんポストは、親が育てられない事情を抱えた乳児を匿名で託せる仕組みで、熊本市の慈恵病院に続く国内2例目として注目されてきた。賛育会病院の1年間の実績は、孤立妊娠、望まない妊娠、出産後の養育困難といった問題が、都市部でも深刻化している現実を示している。

一方で、匿名性をどこまで認めるのか、子どもが将来出自を知る権利をどう守るのか、医療機関や児童相談所の負担を誰が支えるのかといった課題も残る。命を守る最後の受け皿としての役割と、制度としての不安定さが同時に浮き彫りとなった形だ。

編集部まとめ

この数字は、表面化しにくい都市部の「隠れた孤立出産」の実態を如実に示すものとなった。

賛育会病院の赤ちゃんポストには、1年間で20人の新生児が託された。内密出産も7件あり、このうち2件では母親が内密扱いを解除し、自ら育てる選択をしている。

赤ちゃんポストや内密出産は、命を守るための緊急避難的な仕組みである一方、本来はそこに至る前の相談支援、生活支援、医療費支援が必要になる。孤立した妊婦が誰にも相談できないまま出産に追い込まれる状況を放置すれば、赤ちゃんポストは「最後の受け皿」として機能し続けることになる。

今後は、国による法整備、財政支援、受け入れ医療機関の拡大、児童相談所や乳児院との連携強化が焦点となる。民間病院の善意と負担に依存したままでは、制度の継続性に限界がある。

記事注記:病院発表、記者会見内容、各社報道を基に構成。件数や保護状況は発表時点の情報であり、今後変更される可能性があります。

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