観光庁は2026年6月11日、JR東日本びゅうツーリズム&セールスに対し、旅行業法に基づく行政処分を行い、同社の東北・北海道統括支社に18日間の業務停止処分を命じた。
処分期間は2026年6月13日0時から6月30日24時まで。対象となったのは、宮城県仙台市にある東北・北海道統括支社で、問題となったのは手配旅行の取扱料金をめぐる過大収受だった。
手配旅行の「取扱料金」で何が起きたのか
手配旅行とは、旅行者の依頼に応じて、旅行会社が航空券、宿泊、現地交通、団体旅行の個別手配などを行う契約形態を指す。旅行会社はその対価として旅行業務取扱料金を受け取るが、法令上、営業所に料金を掲示し、その内容に基づいて収受する必要がある。
観光庁によると、同支社では遅くとも2018年度以降に締結した手配旅行契約で、営業所に掲示していた旅行業務取扱料金を超える金額を旅行者から収受していた。これは旅行業法第13条第1項第1号に違反すると判断された。
同社の調査では、法令に基づき保管している手配旅行契約の請求書を2018年度分まで遡って確認。その結果、86件、合計4,161,705円の過収受が確認された。
内部監査で発覚 対象顧客には説明と返金を完了
問題は、同社の内部監査で判明した。JR東日本びゅうツーリズム&セールスは観光庁へ報告したうえで、対象となった顧客に個別に連絡し、違反行為の説明と返金を完了したとしている。
同社は、他の全営業所についても同様の事案がないか調査を実施。その結果、東北・北海道統括支社以外では、今回と同様の違反行為は確認されなかったという。
処分までの流れ 6月4日に聴聞、6月11日に処分決定
今回の行政処分は、観光庁が2026年5月26日に聴聞の実施を発表したことから具体化した。
6月4日に聴聞が行われ、観光庁はその結果を踏まえて、6月11日付で業務停止処分を決定した。JR東日本びゅうツーリズム&セールスは6月12日に自社発表を行い、事実関係を認めたうえで謝罪し、顧客対応と再発防止策を説明した。
業務停止中も既存旅行は履行可能 新規予約は不可
業務停止期間中、東北・北海道統括支社では新規予約の受付はできない。
一方で、2026年6月12日以前に締結された旅行契約の履行業務は処分対象から除外されている。既存予約については、取消、人数の減員、日程やコースなどの変更は可能。ただし、人数の増員はできない。
すでに旅行を申し込んでいる利用者については、契約済み旅行の履行自体は可能とされており、影響は新規受付や一部変更手続きに限定される形となる。
再発防止策は「教育」と「複数管理者チェック」
同社は再発防止策として、当該支社社員への教育を実施したほか、今後も定期的な研修を継続するとしている。
また、手配旅行契約の見積・請求プロセスにおいて、複数の管理者によるチェック体制を整備。見積書や請求書の様式使用を徹底し、掲示料金と実際の請求額に差異が生じないよう管理体制を強化する方針を示した。
旅行業では、料金体系の明確さと説明責任が利用者保護の前提となる。今回の処分は、手配旅行のように内容が個別化しやすい契約形態において、料金表示と請求実務の整合性が改めて問われた事案といえる。
対象が一支社に限定され、返金対応も完了している一方で、大手グループの旅行会社に対する業務停止処分であることから、今後は再発防止策が現場で継続的に機能するかが焦点となる。
編集部まとめ
JR東日本びゅうツーリズム&セールスの東北・北海道統括支社に対する18日間の業務停止処分は、手配旅行の取扱料金をめぐる過大収受が原因だった。
確認された過収受は86件、合計4,161,705円。同社は内部監査で問題を把握し、対象顧客への説明と返金を完了したとしている。
今回のポイントは、既存予約の履行は可能である一方、処分期間中は新規予約の受付ができない点にある。利用者への影響は一定程度限定されるとみられるが、旅行会社にとって料金表示と請求実務の一致は信頼の土台となる。
今後は、同社が示した複数管理者によるチェック体制や社員教育が、再発防止策として実効性を持つかが問われる。
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