愛知県警の60歳の男性警部補が、知人女性らをスマートフォンで繰り返し撮影したなどとして、ストーカー規制法違反の疑いで書類送検され、停職1カ月の懲戒処分を受けていたことが分かった。
男性警部補は処分後、すでに退職している。
捜査関係者によると、書類送検されたのは、愛知県内の警察署の交通課に勤務していた60歳の男性警部補。男性警部補は、2025年までに知人女性らの姿をスマートフォンで繰り返し撮影するなど、ストーカー行為をした疑いが持たれている。
愛知県警は2026年3月、この男性警部補をストーカー規制法違反の疑いで書類送検し、停職1カ月の懲戒処分とした。男性警部補はその後、退職した。
警察システムで免許証情報を不正照会
問題は、盗撮疑いだけではない。
男性警部補は2021年、別の知人女性について、県警のシステムを使って運転免許証情報を不正に照会していたことも判明している。さらに一部報道では、この女性の自宅付近に近づいていたことも伝えられている。
この不正照会などについては、すでに時効が成立している。
警察官は、職務上、一般市民の個人情報に触れる立場にある。運転免許証情報は、住所や本人確認に関わる重要な情報だ。その情報に、私的な目的でアクセスした疑いがある点は重い。
今回の事案は、単なる勤務外の不祥事ではない。警察官が持つ権限と情報アクセスを、私的な関心や接近に使った疑いがある。
処分時に公表されなかった理由
愛知県警は、2026年3月に男性警部補を懲戒処分にしていたが、処分当時は公表していなかった。
理由として挙げられているのは、被害者のプライバシー保護だ。
被害者の特定や二次被害を防ぐ対応は当然に必要だ。一方で、警察官によるストーカー疑い、盗撮疑い、警察システムの不正照会が重なった事案を、処分時にどこまで公表すべきだったのかという問題は残る。
警察官は、犯罪を取り締まる立場にある。
その警察官が、知人女性らに対して不適切な接近や撮影を繰り返した疑いを持たれた場合、組織としての説明は避けられない。
被害者保護と説明責任をどう両立させるのか。今回の事案は、警察不祥事の公表基準にも問いを投げかけている。
「知人女性ら」が被害対象だった重さ
今回の事案で見過ごせないのは、被害対象が「知人女性ら」とされている点だ。
面識のある相手に対し、スマートフォンで撮影を繰り返した疑いがある。さらに別の知人女性については、警察システムで免許証情報を不正照会したとされる。
見知らぬ相手への一回限りの盗撮とは異なり、知人関係を背景にした継続的な行為だった可能性がある。被害者側にとっては、相手が警察官だったこと自体が強い不安につながる。
警察官という立場を知っている相手から撮影や接近を受けた場合、被害者は声を上げにくい。さらに、警察システムで自分の情報を見られた疑いがあると知れば、個人情報がどこまで把握されていたのかという恐怖も生じる。
今回の問題は、盗撮の有無だけではなく、警察官の立場と情報アクセスが、被害者に与える影響まで考える必要がある。
停職1カ月で終わる話なのか
愛知県警は男性警部補を停職1カ月の懲戒処分とした。男性警部補はすでに退職している。
しかし、処分を受けた本人が退職したことで、この問題が終わるわけではない。
確認すべき点は複数ある。
なぜ2021年の不正照会を早い段階で把握できなかったのか。
知人女性らへの撮影が繰り返されたとされる期間中、周囲に兆候はなかったのか。
警察システムの利用履歴は、内部でどのように点検されていたのか。
処分を公表しない判断は、被害者保護と社会への説明の両面から妥当だったのか。
警察官による個人情報の不正利用は、一般企業の情報漏えい以上に重い。警察は、捜査や行政手続きのために、市民の詳細な個人情報を扱う。その信頼があるからこそ、市民は警察の照会や調査に応じている。
今回のように、職務上アクセスできる情報が私的に使われた疑いが出た場合、警察組織には再発防止策を具体的に示す責任がある。
愛知県警に求められる説明
今回の事案では、被害者のプライバシー保護は最優先されるべきだ。氏名、住所、勤務先、関係性など、被害者の特定につながる情報は出すべきではない。
ただし、被害者を守ることと、警察組織が社会に説明することは両立できる。
公表しなかった理由。
不正照会を防ぐ仕組み。
警察官によるストーカー行為を把握する体制。
同様の事案を防ぐための内部点検。
これらは、被害者を特定せずに説明できるはずだ。
市民が警察に期待しているのは、個人の処分だけではない。
警察官が持つ権限を、私的な目的で使わせない仕組みである。
知人女性らへの盗撮疑い、警察システムでの免許証情報不正照会、停職1カ月処分、退職済み。
今回の事案は、警察官個人の問題であると同時に、個人情報を扱う警察組織の管理体制が問われる問題でもある。
愛知県警には、被害者保護を前提にしながら、再発防止策と内部点検の内容を具体的に示すことが求められる。
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編集部まとめ
愛知県警の60歳男性警部補が、知人女性らをスマートフォンで繰り返し撮影した疑いで書類送検され、停職1カ月の懲戒処分を受けていたことが分かりました。男性警部補はすでに退職しています。さらに、2021年には別の知人女性の運転免許証情報を県警システムで不正照会していたことも判明しています。盗撮疑いと個人情報の不正照会が重なった今回の事案は、警察官の職務倫理と情報管理の両面で重い問題です。
この記事のポイントQ&A
Q. 何があったのですか。
A. 愛知県警の60歳男性警部補が、知人女性らをスマートフォンで繰り返し撮影した疑いで書類送検され、停職1カ月の懲戒処分を受けていたことが分かりました。
Q. 男性警部補は現在どうなっていますか。
A. 処分後、すでに退職しています。
Q. 盗撮疑い以外にも問題はありましたか。
A. 2021年に、別の知人女性の運転免許証情報を県警システムで不正に照会していたことも判明しています。この件は時効が成立しています。
Q. なぜ処分時に公表されなかったのですか。
A. 愛知県警は、被害者のプライバシー保護を理由に、処分当時は公表していませんでした。
Q. この事件の焦点は何ですか。
A. 警察官による盗撮疑いに加え、警察システムを私的に使って個人情報を不正照会した点です。警察の情報管理と職務倫理が問われています。

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