教員採用試験、各地で倍率低下 大分は過去最多採用予定も倍率2.3倍、埼玉は志願者数が過去最少に

公立学校の教員採用試験で、各地の教育委員会が人材確保に苦戦している。

大分県では6月14日、公立学校の教員採用1次試験が行われ、一般選考で772人が受験した。大分県教育委員会によると、一般選考の採用予定者数は昨年度より47人多い480人で、記録が残る2001年度以降、最も多い。

一方で、1次試験免除の出願者数を含めた倍率は2.3倍となり、過去最低となった。

採用予定者数を増やしても、志願者の伸びが追いつかない。教員不足が深刻化する中、学校現場を支える人材をどう確保するかが大きな課題となっている。

大分県、採用予定者数は過去最多 倍率は過去最低

大分県の公立学校教員採用試験では、一般選考で772人が1次試験を受験した。

採用予定者数は480人。昨年度より47人多く、2001年度以降で最多となった。

しかし、倍率は2.3倍にとどまり、過去最低となった。

採用枠が増えれば倍率が下がるのは当然ともいえるが、問題はそれだけではない。教員志望者の減少、民間企業との人材獲得競争、長時間労働への不安、部活動や保護者対応など、教員という仕事への負担感が背景にあるとみられる。

今後は2次試験が行われ、合格者は8月31日に発表される予定だ。

佐賀県は申込者増 受験しやすさ改善が効果か

佐賀県でも、公立学校の教員採用試験が始まった。

申込者数は去年より105人多い811人で、特別支援学校なども含めた全体の倍率は2.3倍となった。

佐賀県教育委員会は、申込者が増えた要因として、2次試験の日程短縮や小論文の廃止など、受験しやすさの向上を挙げている。

また、大学3年生などが1年早く1次試験を受験できる「チャレンジ受験」には、275人が申し込んだ。

教員採用試験では、受験者の負担を減らし、早い段階から教員志望者を囲い込む動きが広がっている。佐賀県の申込者増は、試験制度の見直しが一定の効果を示した例といえる。

2次試験は来月25日と26日に行われる予定だ。

埼玉県は志願者数が過去最少 倍率も過去最低

一方、埼玉県では厳しい状況が続いている。

埼玉県教育委員会が発表した2026年度県公立学校教員採用選考試験の志願状況によると、志願者数は昨年度より160人少ない4794人で、過去最少となった。

倍率も昨年度から0.1ポイント下がり、2.9倍で過去最低となった。

内訳を見ると、小学校教員は1182人で倍率1.8倍、中学校教員は1745人で倍率3.4倍、高校教員は1169人で倍率4.7倍、特別支援学校教員は269人で倍率1.3倍だった。

特に小学校や特別支援学校では倍率が低く、採用側にとって人材確保の難しさが目立つ。

一方で、大学3年生チャレンジ選考には昨年度より289人多い1823人が志願した。埼玉県教育委員会は、この制度が定着しつつあり、来年度以降の志願者につながることを期待している。

教員不足の背景にある「仕事の重さ」

教員採用試験の倍率低下は、単なる受験者数の問題ではない。

背景には、教員の働き方に対する不安がある。

授業準備、成績処理、保護者対応、部活動、いじめ対応、不登校支援、特別な配慮が必要な児童生徒への対応。学校現場で求められる役割は年々増えている。

一方で、長時間労働や精神的負担が広く知られるようになり、教員を志望する若者が慎重になっている面もある。

かつては安定した職業として人気があった教員だが、今は「やりがい」だけで人材を集めることが難しくなっている。

受験しやすさだけでなく、働き続けやすさが問われる

各教育委員会は、受験者を増やすために試験制度の見直しを進めている。

小論文の廃止。
2次試験の日程短縮。
大学3年生から受験できるチャレンジ制度。
一部試験の免除。
採用予定者数の拡大。

こうした取り組みは、教員志望者を増やす入口対策として重要だ。

しかし、採用試験を受けやすくするだけでは、根本的な解決にはならない。

教員になった後に、無理なく働き続けられる環境があるのか。
部活動や事務作業の負担は減るのか。
若手教員を支える体制はあるのか。
学校現場の人員配置は十分なのか。

教員採用の倍率低下は、教育現場そのものの働き方改革を迫るサインでもある。

週刊TAKAPIの視点

大分では採用予定者数が過去最多となる一方で、倍率は過去最低。
佐賀では受験しやすさの改善で申込者が増えた。
埼玉では志願者数が過去最少となり、倍率も過去最低となった。

各地の状況は異なるが、共通しているのは、教員確保が簡単ではなくなっているという現実だ。

学校現場では、子どもたちへの支援がますます複雑になっている。いじめ、不登校、発達特性、家庭環境、SNSトラブル、部活動、保護者対応。教員に求められるものは増える一方だ。

それでも人材が集まらなければ、最終的に影響を受けるのは子どもたちである。

教員採用試験の倍率低下は、教育委員会だけの問題ではない。

学校をどう支えるのか。
教員の働き方をどう変えるのか。
若い世代が「教員になりたい」と思える環境をどう作るのか。

教育現場の人材不足は、地域社会全体で向き合うべき課題になっている。

Q&A 教員採用試験の倍率低下で何が起きているのか

Q. 大分県の教員採用試験はどうなっていますか?

大分県では、公立学校の教員採用1次試験が行われ、一般選考で772人が受験しました。採用予定者数は480人で、2001年度以降最多となる一方、倍率は2.3倍で過去最低となりました。

Q. 佐賀県では申込者が増えたのですか?

佐賀県では申込者数が去年より105人多い811人となりました。県教育委員会は、2次試験の日程短縮や小論文廃止など、受験しやすさの向上を要因に挙げています。

Q. 埼玉県の状況は?

埼玉県では、2026年度の県公立学校教員採用選考試験の志願者数が4794人となり、過去最少となりました。倍率も2.9倍で過去最低となっています。

Q. なぜ教員採用試験の倍率が下がっているのですか?

教員志望者の減少、民間企業との人材獲得競争、長時間労働への不安、部活動や保護者対応などの負担感が背景にあるとみられます。

Q. 各県はどのような対策をしていますか?

試験日程の短縮、小論文の廃止、大学3年生から受験できるチャレンジ制度、試験免除制度、採用予定者数の拡大など、受験しやすさを高める取り組みが進められています。

Q. 今後問われることは何ですか?

採用試験の受けやすさだけでなく、教員になった後に働き続けられる環境整備が問われます。業務負担の軽減、部活動改革、若手教員支援、学校現場の人員配置が重要です。


【記事情報】
執筆:週刊TAKAPI編集部
担当記者:一条
編集:成田
責任編集:たかぴ
確認:週刊TAKAPI編集部

本記事は、各県教育委員会の発表および報道内容をもとに構成しています。教員採用試験の倍率や志願者数は、選考区分や免除制度の扱いによって比較条件が異なる場合があります。今後の試験結果や各教育委員会の発表により、内容が更新される可能性があります。

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