週刊TAKAPI編集部/担当記者:成田
「隠れ家的な飲み屋がある」――その一言が、約54万円の請求に変わった。
警視庁は17日、マッチングアプリで知り合った男性を新宿区内のレンタルスペースに誘い、飲食店を装って高額請求したとして、沓沢大樹容疑者(31)ら男女4人を詐欺の疑いで逮捕した。
警視庁によると、沓沢容疑者らは今年2月、20代男性を「新宿に隠れ家的な飲み屋がある」などと誘導。実際には飲食店ではなく、レンタルスペースを店のように偽装していたとみられる。
男性は、メニュー表にない高額な酒を注文させられたうえ、「支払いが遅れたせいで他の団体客がキャンセルになった」などとして、飲食代に加え、損害賠償名目の金も請求された。最終的に、およそ54万円を支払わされた疑いがある。
さらに悪質なのは、支払いに困った男性を消費者金融の無人契約機へ向かわせ、現金を工面させようとしていた点だ。事件は、消費者金融側が男性の異変を察知し、通報したことで発覚したとされる。
今回逮捕されたのは、グループのトップとみられる沓沢大樹容疑者(31)のほか、當麻龍容疑者(21)、19歳の男、16歳の少女。未成年者を含むメンバーが、マッチングアプリを入口に被害者を誘い込んでいた疑いがある。
警視庁は、同様の手口で少なくとも30人以上が被害に遭い、被害総額は約1,900万円規模に上るとみている。
これは単なる「ぼったくりバー」ではない。
アプリで接触し、女性役が誘導し、レンタルスペースを即席の店に見せかけ、高額請求し、支払えなければ消費者金融へ連れ回す。役割を分担し、実体を変えながら動く、匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウ型の手口だ。
近年は大阪などでも、マッチングアプリやSNSを悪用した同種の高額請求トラブルが確認されており、出会いの場を入口にした詐欺的手口は各地で問題化している。
マッチングアプリは、もはや特別なものではない。だからこそ危ない。初対面の相手が指定する店、店名が曖昧な場所、料金表が見えない空間には、警戒が必要だ。
楽しい出会いのはずが、数十万円の借金に変わる。
「かわいい子に誘われたから大丈夫」ではない。
その店、本当に店なのか。今回の事件は、アプリ時代の新しいぼったくりの怖さを突きつけている。
編集部まとめ
新宿区内のレンタルスペースを飲食店のように装い、マッチングアプリで誘い出した男性から現金をだまし取った疑いで、沓沢大樹容疑者ら4人が逮捕された。
焦点は、被害男性1人の約54万円だけではない。警視庁は、少なくとも30人以上から同様の手口で現金をだまし取り、被害総額は約1,900万円規模に上るとみている。
今回の事件は、恋愛感情や下心、断りにくさを狙った現代型の詐欺である。
初対面で相手指定の場所へ行くなら、店名、住所、料金、営業実態を確認すべきだ。
マッチングアプリで疑うべきは、相手のプロフィールだけではない。
連れて行かれる場所そのものが、罠かもしれない。
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