週刊TAKAPI編集部/担当記者:成田
こども家庭庁の令和7年度、2025年度予算は、前年度から約1.1兆円増え、約7.3兆円規模となった。児童手当の拡充や保育の質向上に注目が集まる一方で、子どもを性暴力から守るための「日本版DBS」への準備も、今年12月25日の施行を前に本格化している。
2024年6月に成立した「こども性暴力防止法」は、学校、保育所、児童養護施設など、子どもと日常的に接する機関に対し、安全確保措置、犯罪事実確認、防止措置、情報管理などを求める制度だ。中心となるのは、子どもと関わる職員について、性犯罪歴の有無を確認する日本版DBSの仕組みである。
背景には、子どもを対象とした性被害の深刻化がある。警察庁の統計では、近年、子どもを対象とした性被害の認知件数は5,800件超と過去最多水準にあり、教育現場、保育現場、部活動、学習塾、スポーツ指導、SNSを通じた私的接触など、子どもが信頼している場所で被害が起きる現実がある。
制度の対象は新規採用者だけではない。施行時点で既に働いている現職者についても、2027年4月以降、事業者ごとに示される期間に沿って順次確認が進められ、施行後3年以内の確認が求められる。つまり、現場には採用時だけでなく、既存職員への説明、就業規則の見直し、確認手続きへの備えも必要になる。
民間事業者向けには、任意の認定制度も設けられる。学習塾、スポーツクラブ、放課後児童クラブなどが認定を取得すれば、「こまもろう」マークを表示できる。義務対象となる施設の表示と、任意認定を受けた民間事業者の表示では意味合いが異なるが、いずれも保護者にとっては「子どもを預ける先を選ぶ目安」になり得る。
ただし、日本版DBSは万能ではない。犯罪歴確認は主に再犯防止の仕組みであり、初犯を完全に防ぐものではない。だからこそ、現場には職員研修、相談窓口、定期面談、SNSでの私的接触防止、子どもの変化を見逃さない日常観察が求められる。行政書士や労務の専門家の間でも、就業規則の整備や研修体制づくりを支援する動きが出ており、施行前の準備はすでに実務段階に入っている。
課題も残る。民間事業者の認定取得は任意であり、小規模な塾や地域スポーツ団体まで制度が浸透するかは未知数だ。個人情報保護とのバランス、自治体や事業者の事務負担、研修費用の確保も避けて通れない。
こども家庭庁の大幅予算増は、単なる子ども政策の拡充ではない。子どもを預かる現場が、「信頼」だけに頼る時代から、「確認」「研修」「相談」「再発防止」を制度として組み込む時代へ移る転換点だ。
今年12月の施行はゴールではなく、スタートラインである。日本版DBSを犯罪歴確認だけで終わらせず、子どもを守る文化として現場に根づかせられるか。制度の真価は、これからの運用で問われる。
編集部まとめ
日本版DBSは、子どもを性暴力から守るための重要な制度だ。ただし、犯罪歴確認だけでは不十分で、研修、相談窓口、SNS接触防止、日常的な見守りがそろって初めて機能する。「こまもろう」認定は、保護者が安全な事業者を選ぶ新しい判断材料になる可能性がある。
本記事は、こども家庭庁の公表内容および各種報道内容をもとに構成しています。制度の詳細や運用は今後の発表により更新される可能性があります。
Q1. 日本版DBSとは何ですか?
日本版DBSとは、子どもと接する職員について、性犯罪歴の有無を雇用主などが確認する仕組みです。子どもに関わる職場での性暴力防止を目的としています。
Q2. 日本版DBSはいつ施行されますか?
日本版DBSを含むこども性暴力防止法は、今年12月25日に施行される予定です。施行後は、対象となる施設や事業者で確認手続きや安全確保措置が求められます。
Q3. 「こまもろう」マークとは何ですか?
「こまもろう」マークは、子どもを守る安全体制を整えた事業者であることを示す表示です。義務対象施設の表示と、任意認定を受けた民間事業者の表示では意味合いが異なりますが、保護者が事業者を選ぶ際の判断材料になる可能性があります。
Q4. 日本版DBSで子ども性被害は完全に防げますか?
完全には防げません。日本版DBSの犯罪歴確認は主に再犯防止の仕組みであり、初犯による被害を防ぐには、職員研修、相談窓口、SNSでの私的接触防止、子どもの変化を見逃さない日常観察が必要です。
Q5. 民間の学習塾やスポーツクラブにも関係ありますか?
関係があります。学習塾、スポーツクラブ、放課後児童クラブなどの民間事業者は任意認定を取得でき、認定を受けることで子どもを守る体制を整えている事業者として保護者に示すことができます。
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