【独自続報】名古屋国際高校「盗撮画像共有」がいじめ重大事態調査へ 被害生徒は転校、問われる学校対応の4カ月

名古屋国際中学校・高等学校で起きた小型カメラによる盗撮疑いと画像共有の問題が、「いじめ重大事態」の調査へ進むことになった

4月に教室から小型カメラが見つかり、その直前には女子生徒約20人が着替えていたとされる。撮影された画像などはLINEを通じ、複数の生徒の間で共有された

そして6月、問題を知った女子生徒の一人が登校困難となった

複数の関係者への取材では、その後も学校側に安全確保や学習支援を求めるやり取りが続き、女子生徒は7月末に転校したという

9月1日には、転校した生徒の家庭に学校から「いじめ重大事態に関する調査の開始」を知らせる書面が届いた

ここで見るべきなのは、重大事態調査が始まったという一点だけではない

なぜ4月に学校が問題を把握しながら、被害を受けた可能性がある生徒が学校を離れるところまで事態が進んだのか

教育問題といじめ重大事態を継続して取材してきた週刊TAKAPIが今回追うのは、カメラを巡る問題だけではない

その後の「学校の4カ月」である

4月22日 着替えに使われていた教室で小型カメラ

複数の関係者によると、問題が起きたのは4月22日

体育の着替えに使われていた教室内で小型カメラが見つかった

共同通信も、カメラが見つかる直前に女子生徒約20人が教室で着替えていたと報じている

関係者の証言では、その後、カメラを持ち帰った男子生徒が保存されていた画像などを取り出し、LINEグループを通じて複数の男子生徒と共有したとされる

学校側は4月中には事案の概要を把握し、生徒への聞き取りも行っていたことが報じられている 

誰がカメラを設置したのかについては捜査が続いている

週刊TAKAPIは未成年者を特定する情報を掲載せず、現段階で特定の生徒をカメラの設置者と断定しない

学校は知っていた しかし女子生徒らが知ったのは6月だった

この問題でまず引っかかるのが、4月から6月までの時間だ

学校は4月中に概要を把握していた

一方、盗撮された可能性がある女子生徒らが事態を知ったのは6月上旬、校内で広がった話がきっかけだったと報じられている 

週刊TAKAPIが入手した学校内部資料でも、学校が6月5日までに「撮影機能を有する機器が発見された事案」について保護者へ通知していたことが確認できる

さらに8月18日には「生徒の安全とプライバシー保護について」と題した文書を出し、2学期以降の安全管理強化などを示していた 

もちろん警察との調整が必要になる場面はある

だが、警察が捜査することと、学校が被害を受けた可能性のある生徒を守ることは別だ

学校は4月の段階でどこまで被害の可能性を認識していたのか

その時点で女子生徒への心理的支援を検討したのか

なぜ本人たちは学校からではなく、校内のうわさを通じて問題を知ることになったのか

この部分を曖昧にしたまま「重大事態調査を始めました」だけでは済まないだろう

6月10日 被害を訴えた生徒が学校へ行けなくなった

問題を知った後、事態はさらに重くなる

複数の関係者によると、6月10日、盗撮被害に遭った可能性がある女子生徒の一人が登校できなくなった

学校には安全確保や学習支援について繰り返し要望が寄せられ、6月12日には医療機関の診断書も提出されたという

その後も、自宅でのオンライン授業、遅れている授業への対応、試験の受験方法などについて学校とのやり取りが続いた

関係者が保存しているメールなどでは、求めていた形でのオンライン授業が実施されなかったとされる

ここは学校側の説明も聞かなければ、一方の証言だけで結論を出すことはできない

ただし、後に学校側は、心理的な負担のある生徒について校内の別室からオンラインで授業を受けられる措置を取ったと説明している 

ならば確認しなければならないことがある

オンラインによる学習支援は、いつから、誰を対象に始めたのか

そして、6月に登校できなくなった生徒には、なぜ同様の支援が届かなかったのか

これは揚げ足取りではない

生徒が学校へ行けなくなった後も教育を受ける機会をどう守ったのかという、学校の仕事そのものにかかわる問題だ

そして生徒は転校した

複数の関係者への取材では、保護者は6月下旬、学校で安全に学び続けることが難しいとして転校する意向を伝えたという

女子生徒は7月末、名古屋国際高校を離れた

この一点は軽く扱えない

学校で起きた問題を知り、登校できなくなり、最終的には在籍していた学校を離れている

重大事態調査で本当に検証されなければならないのは、ここまでの過程だ

「撮影があったのか」

「誰が画像を共有したのか」

それだけでは足りない

なぜ被害を訴えた側が、学校を離れる結果になったのか

学校側にできたことは本当になかったのか

学校問題を追っていると、事件そのものより、その後の対応で傷が深くなるケースに何度もぶつかる

最初の出来事だけを調べても、その学校で何が起きたのかは分からない

8月21日は「重大事態ではない」 3日後に調査開始を決定

ここで、今回の記事で最も見逃せない時系列が出てくる

8月23日の共同通信報道によると、学校は8月21日時点で、この問題を「いじめ重大事態」には認定していないと回答していた 

ところが学校は、その3日後となる8月24日、「重大事態に該当する疑いがある」として調査開始を決めた

9月3日の共同通信報道では、登校困難となり転学した女子生徒がいることなどを踏まえて判断したと学校が回答し、外部弁護士らを含む調査組織をつくる方針を示している

愛知県にも報告したという 

わずか3日だ

8月21日には重大事態としていなかった学校が、8月24日には調査開始を決めている

その3日間に新たな事実を把握したのか

それとも、それ以前から把握していた事実について判断を改めたのか

学校にはここを説明してもらう必要がある

「いじめ重大事態」は学校が認めてから始まる制度ではない

今回、特に詳しく見ておかなければならないのが「いじめ重大事態」という制度だ

言葉だけを見ると、学校が調べた末に「これは重大ないじめだった」と認定する制度に思える

実際は違う

いじめ防止対策推進法が想定しているのは、生命、心身、財産への重大な被害が生じた疑いがある場合や、いじめによって長期間学校を休まざるを得なくなった疑いがある場合だ

事実関係が全部確定してから動く制度ではない

文部科学省は今年3月にも、重大な被害などの「疑い」の段階から重大事態として扱い、調査に向けて動き出せるよう学校や設置者が備えておくよう通知している

さらに、ガイドライン通りに対応できなかった結果、生徒に深刻な被害を与えた事案があることまで明記している 

つまり今回の焦点は、「最終的に重大事態調査を始めたから問題ない」ではない

いつ重大事態の疑いを認識できたのか

そこまで遡って調べなければならない

学校自身の基本方針には何と書いてあるのか

さらに踏み込む

名古屋国際中学校・高等学校は、公式サイトで独自の「いじめ防止基本方針」を公開している

そこにはかなり明確なことが書かれている

いじめの疑いに関する情報があれば緊急会議を開き、情報共有、事実関係の聴取、支援体制や対応方針の決定、保護者との連携を行う

いじめが起きた後は、被害生徒の安全を最優先にする

さらに重大事態について、生徒や保護者から「重大事態に至った」との申立てがあった場合は、まず重大事態があったものとして報告・調査に当たり、その後に重大事態かどうかを判断すると定めている 

これは外から週刊TAKAPIが作った基準ではない

名古屋国際高校自身が掲げているルールだ

ならば今回の調査では、そのルールが4月から実際に機能していたのかも当然問われる

「被害生徒の安全を最優先」 その言葉と結果は一致したのか

学校の基本方針には「被害生徒の安全を最優先に考え」と明記されている

心のケアについては養護教諭やスクールカウンセラーとの連携も掲げている 

一方で今回、複数の関係者への取材では、被害を訴えた生徒が登校できなくなり、最終的には転校した

だから問うべきなのだ

被害生徒の安全を最優先にした結果が、なぜ転校だったのか

その間にどんな支援をしたのか

学校へ戻れる環境を整えるために何をしたのか

学習を続ける方法をどこまで提示したのか

これは学校を糾弾するための言葉遊びではない

学校自身が公表している方針と、実際に起きた出来事を照らしているだけだ

その答えを出すのが、今回の重大事態調査であるべきだろう

第三者を入れれば、それだけで「第三者調査」なのか

学校は外部弁護士らを含む調査組織を設ける方針を明らかにしている 

ここにも見るべきポイントがある

学校自身の基本方針では、重大事態の調査組織に弁護士や学識経験者など「利害関係を有しない第三者」を加えるとしている

さらに、関係生徒だけでなく、保護者、在籍する生徒、教職員への聞き取りやアンケートも想定している 

外部の弁護士が一人入ったから、それだけで中立な調査になったとは限らない

学校法人との利害関係はないのか

誰が委員を選ぶのか

学校の4月以降の判断まで調べるのか

教職員の対応も対象にするのか

転校した生徒の話を十分に聴くのか

ここを見ていく必要がある

盗撮した「誰か」だけを探して終わるなら、調査は足りない

今回の問題には刑事捜査の領域がある

誰がカメラを置いたのか

どの画像が撮影されたのか

どこまで共有されたのか

警察が捜査する領域だ

だが、いじめ重大事態調査は警察捜査の代わりではない

学校で何が起き、なぜ被害が重大化したのかを明らかにし、再発防止につなげるための調査だ

だから週刊TAKAPIは、今回の調査を「盗撮をした人物を特定できるか」という一点では見ない

むしろ見るのはその後だ

4月に学校は何を知ったのか

なぜ被害を受けた可能性のある女子生徒が6月まで知らなかったのか

生徒が登校できなくなった時、学校はどう動いたのか

転校を防ぐ手立ては本当に残っていなかったのか

そして重大事態の疑いを、いつ認識したのか

ここまで調べて、初めて一本の線になる

愛知県にも問われる

名古屋国際中学校・高等学校は私立学校で、重大事態への対応は学校内部だけで完結するものではない

学校自身の基本方針では、重大事態が発生した場合、愛知県の私学担当部署へ報告すると定めている 

学校は今回、愛知県に報告したと回答している 

今後は県がいつ正式な報告を受け、調査組織や調査範囲をどこまで確認するのかも見ていく必要がある

私立だから学校だけに任せる

それでは重大事態制度の意味が薄れる

重大事態になったことより「なぜ重大事態まで行ったのか」

今回、学校が調査に乗り出したことは一歩前進ではある

だが、そこを美談にしてはいけない

4月に小型カメラが見つかった

学校は事案を把握した

6月、女子生徒らが問題を知った

その後、生徒の一人は学校へ行けなくなった

7月、その生徒は転校した

8月21日時点で学校は重大事態としていなかった

3日後の8月24日、調査開始を決めた

この時間の流れそのものが今回の取材対象だ

教育問題を追ってきた週刊TAKAPIが、重大事態の記事で何度も突き当たるのは「学校は最初のSOSをどう扱ったのか」という問題である

重大事態の報告書ができた時だけ騒ぐのでは遅い

生徒が学校を離れた後に「調査します」で終わらせても遅い

今回の調査で本当に必要なのは、学校にとって都合の悪い時間まで含めて4月に遡ることだ

誰がカメラを置いたのかだけではない

学校は何を知り、いつ知り、その時に何をしたのか

名古屋国際高校の重大事態調査で問われるのは、そこだ

週刊TAKAPIは今後、調査組織の構成、愛知県への報告、転校した生徒への聞き取り、学校の初動対応が調査対象に含まれるのかを継続して確認する

未成年者のプライバシー保護と二次被害防止のため、生徒や情報提供者を特定できる情報は掲載しない。複数の関係者から得た証言については、公表資料や記録と照合し、学校側の確認が取れていない内容を事実認定とは分けて記載している

週刊TAKAPI 編集部/黒木

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