【独自・愛知・豊橋】豊橋市で後継者不足はどこまで深刻?事業承継相談635件、市も「問題が深い」 製造業中心、M&Aの相談も

豊橋市に事業承継を相談するとどうなる?

豊橋市の役割について担当者が繰り返し説明したのが、「入口」という位置付けだ。

豊橋市だけですべての事業承継を成立させるのではなく、専門的な支援機関などにつなぐ役割を担っている。

市は、愛知県事業承継・引継ぎ支援センターによる相談の受付窓口となっているほか、事業承継に関する情報発信なども行っている。

担当者によると、事業承継セミナーを年2回開催。

さらに、実際に事業承継した事業者を紹介する記事についても年2回発行しているという。

豊橋市に事業承継の補助金はある?

事業者にとって気になるのが、事業承継に利用できる市独自の補助制度だ。

今回の取材で、編集部が「豊橋市独自の制度や補助金はあるのか」と確認したところ、担当者からは事業承継そのものを対象とする市独自の補助金はないとの回答だった。

一方、相談窓口やセミナー、関係機関への橋渡しなどを通じて事業承継を支援している。


市に相談した企業はその後どうなった?「後追い調査はしていない」

今回の取材で重要だったのが、相談後の結果だ。

編集部は、

「市に相談したことで事業承継できた企業はどの程度あるのか」

と尋ねた。

担当者によると、市が事業承継の全過程を直接支援するというより、相談の入口として関係機関につなぐ役割が中心だという。

さらに、市として相談後の後追い調査は行っていないと説明した。

つまり、市の相談をきっかけにした企業が最終的に、

親族承継できたのか

従業員へ承継したのか

M&Aが成立したのか

廃業したのか

について、市がすべて把握しているわけではない。

これは「相談件数」と「事業承継の成立件数」を分けて考える必要があることを意味する。

事業承継はいつ相談すればいい?廃業決定前の相談が中心

「もう廃業すると決めてから相談に来る事業者が多いのか」

編集部が尋ねると、担当者は相談時期について「様々」としながらも、廃業を決めてから相談する人はなかなかいないと思うと説明した。

事業承継の相談である以上、事業を残すことを検討している段階で利用されるケースが中心となる。

後継者を親族から探すのか。

従業員に承継するのか。

M&Aなどによって第三者に引き継ぐのか。

選択肢を検討する時間を確保する意味でも、経営者が早い段階から将来を考える重要性は大きい。


豊橋市も後継者不足に「問題が深い」

取材の最後に編集部は、人口の高齢化が進むなか、後継者不足による企業の廃業が豊橋市の地域経済にとって大きな問題になる可能性をどう捉えているのか尋ねた。

担当者は、

「市としては問題が深いなとは思う」

との認識を示した。

企業数と廃業の状況や、経営者自身が高齢になっていく問題にも触れた。

さらに、地域全体で高齢化が進めば、事業を引き継ぐ側の人材確保も難しくなる。

担当者は、生産年齢人口そのものが増加することなどが抜本的には大きな影響を与えるとの認識を示した。

そのうえで、個人的な所感と断った上で、今後も後継者支援や事業承継支援を続けていく考えを話した。


豊橋市の事業承継問題、今後の焦点は「何社を残せたか」

今回の取材で分かったのは、豊橋市の後継者問題には「見えている数字」と「まだ見えていない数字」があるということだ。

見えている数字の一つが、関係機関を含む令和7年度635件という事業承継相談だ。

一方で、

市内に後継者不在企業が何社あるのか。

後継者不足を理由に年間何社が廃業しているのか。

相談した企業のうち何社で承継が成立したのか。

こうした数字については、豊橋市独自では把握していない。

相談件数が多いことと、事業承継が成功していることは同義ではない。

今後、地域経済への影響をより正確に把握するためには、相談件数だけでなく、その先にある「承継」「M&A」「廃業」といった結果をどう捉えるのかも重要になりそうだ。

特に、今回の取材で相談が多いとされた製造業は、技術や取引関係などが長年にわたって蓄積されている企業も少なくない。

会社が一つなくなるということは、単に企業数が一つ減るだけとは限らない。

雇用、取引先、技術、人材。

後継者不足は、地域経済の基盤そのものに関わる問題になり得る。

豊橋で長く続いてきた会社を、次の世代へどう残していくのか。

「後継者がいない」と分かったときではなく、その前から事業の将来を考えられる環境を作れるか。

635件という相談件数の先にある企業の行方こそ、今後注視すべき数字ではないだろうか。


豊橋市には後継者がいない企業が何社ある?

豊橋市への取材では、市独自では後継者不在企業の総数を調査しておらず、具体的な企業数は把握していないとの回答だった。

豊橋市の事業承継相談は何件?

取材で回答があった関係機関を含む相談件数は、令和5年度513件、令和6年度422件、令和7年度635件。令和7年度は前年度から213件増えている。

どんな業種から事業承継の相談が多い?

市担当者によると、製造業が中心で、建設業やサービス業なども多い印象だという。ただし、市は業種別の後継者不在企業数を調査していない。

後継者が親族にいない場合はどうする?

今回の取材では、親族承継に続き、M&Aや第三者承継に関する相談も多いとの回答だった。親族だけでなく、従業員や第三者への承継も選択肢になる。

豊橋市に相談すれば事業承継できる?

豊橋市は主に相談の入口として、専門的な関係機関につなぐ役割を担う。市では相談後の全企業を後追い調査していないため、相談企業のうち何社が承継に成功したかという市独自の数字は把握していない。


※相談件数は豊橋市への電話取材で回答を得た、金融機関などの関係機関を含む事業承継相談の総計です。「後継者不在企業数」や「豊橋市役所への直接相談件数」を示す数字ではありません。

※本記事の編集部考察部分は、豊橋市への取材内容や公開情報などをもとに週刊TAKAPI編集部が独自に考察した内容です。市や関係機関が公表している見解を断定するものではありません。

週刊TAKAPI編集部:黒木

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