豊橋の製造会社「松井工業」と78歳社長を書類送検 従業員2人に違法残業させた疑い

豊橋合同庁舎の外観写真と「松井工業と社長を書類送検・違法残業の疑い」の見出しを組み合わせた週刊TAKAPIの報道アイキャッチ

愛知県豊橋市浜道町のプラスチック製品製造会社「松井工業」と男性代表取締役(78)が、労働基準法違反の疑いで名古屋地検豊橋支部に書類送検された。豊橋労働基準監督署が2026年11月4日に発表した。

同社と代表取締役は、2026年1月から2月にかけて、従業員2人に違法な時間外労働をさせた疑いが持たれている。

具体的な残業時間や、時間外労働に関する労使協定(36協定)の締結・届出状況など、違反容疑の詳細については確認できていない。

豊橋市浜道町で自動車部品などを製造

同社の公開情報によると、正式名称は株式会社松井工業。本社は豊橋市浜道町字百々池にあり、プラスチックの中空成形加工を主な事業としている。

ブロー成形と呼ばれる技術を用い、自動車用のガソリンタンク、ダクト、エアークリーナー関連部品などを製造。一般機械向けのプラスチック製品も手掛けている。

1948年に前身の事業を開始し、1995年に現在の社名となった。2013年には本社を豊橋市曙町から浜道町へ移転している。

今回の送検について、対象となった従業員2人の具体的な業務内容や勤務形態、会社側の説明は確認できていない。

36協定を結んでいても違法残業になる場合がある

労働基準法では、法定労働時間を原則として1日8時間、週40時間と定めている。

企業がこの時間を超えて従業員を働かせる場合、原則として労使間で36協定を締結し、労働基準監督署に届け出なければならない。

ただし、36協定があれば自由に残業を命じられるわけではない。

時間外労働の上限は原則として月45時間、年360時間。臨時的な特別の事情があり、労使が特別条項に合意した場合でも、年720時間以内、休日労働を含めた単月100時間未満、複数月平均80時間以内などの制限が設けられている。

違法な時間外労働が問題となるのは、協定を適切に締結・届け出ていない場合だけではない。有効な協定があっても、その協定で定めた限度時間や法律上の上限規制を超えれば違反となり得る。

今回の事案では、どの規定に違反した疑いが持たれているのかが明らかになっておらず、送検容疑の具体的な内容が焦点となる。

愛知県内でも521事業場で違法な時間外労働

愛知労働局が2026年10月29日に公表した2025年度の監督指導結果によると、長時間労働が疑われる県内1340事業場を調査したところ、521事業場で違法な時間外労働が確認された。

監督指導を受けた事業場の38.9%に相当する。

このうち、月80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は276事業場だった。

製造業に限ると、監督指導を実施した313事業場のうち128事業場で違法な時間外労働を確認している。

もっとも、この調査は長時間労働が疑われる事業場などを対象としたものであり、県内企業全体の違反率を示す数字ではない。また、今回書類送検された会社の違反内容や残業時間を示すものでもない。

11月は過重労働解消キャンペーン 労働時間管理の徹底が課題

厚生労働省は11月を「過重労働解消キャンペーン」の実施期間とし、長時間労働が疑われる事業場への重点的な監督指導を進めている。

製造現場では、生産工程や勤務体制に応じて労働時間が変動することもある。しかし、業務上の必要性があっても、法令や36協定で定められた時間を超える労働が当然に認められるわけではない。

企業には、従業員ごとの始業・終業時刻を正確に把握し、時間外労働が上限を超えないよう管理する責任がある。

今回の送検をめぐっては、対象となった従業員2人の実際の労働時間に加え、勤務実績を会社がどのように記録し、管理していたのかも重要な確認事項となる。

ただし、現段階で同社の勤怠管理方法に具体的な不備があったと確認されたわけではない。

今後は検察の判断と会社側の対応が焦点

書類送検は、捜査機関が事件を検察に送る刑事手続きであり、送検された時点で犯罪の成立や有罪が確定するわけではない。

今後は、検察が送致された事件について捜査結果などを踏まえ、起訴するかどうかを判断する。

同社と代表取締役の認否、違法な時間外労働が疑われる具体的な時間数、労働時間管理の見直しや是正措置については、引き続き確認が必要だ。

編集部まとめ

豊橋市の製造会社と78歳の代表取締役が書類送検された今回の事案では、従業員2人に対する2026年1月から2月の時間外労働が問題となっている。

愛知県内では、長時間労働が疑われる事業場への監督指導で違法な時間外労働が相次いで確認されており、企業の労働時間管理は引き続き重要な課題となっている。

今回の事件についても、具体的な違反容疑と会社側の説明を確認し、事実関係を明らかにすることが求められる。

特記事項

本記事は2026年11月5日までに確認できた報道情報、会社の公開資料、厚生労働省および愛知労働局の資料に基づいている。

今回の送検に関する労働基準監督署の個別発表資料は確認できていない。対象従業員の具体的な残業時間、適用法条、36協定の状況、会社側の認否については未確認であり、違反事実が確定したものとして扱っていない。

Q書類送検された松井工業はどこにありますか?
A愛知県豊橋市浜道町に本社を置く株式会社松井工業です。自動車用部品などのプラスチック製品を製造しています。
Q誰が書類送検されたのですか?
A会社と男性代表取締役(78)です。豊橋労働基準監督署が2026年11月4日に発表しました。
Q違法残業は何時間だったのですか?
A具体的な時間数は確認できていません。2026年1月から2月にかけて、従業員2人に対する時間外労働が問題となっています。
Q36協定があっても違法になるのですか?
Aはい。有効な36協定を締結・届け出ていても、協定で定めた時間や法律上の上限規制を超えれば違法となる場合があります。
Q書類送検された会社や社長の有罪は確定したのですか?
Aいいえ。書類送検は有罪判決を意味しません。検察による起訴・不起訴の判断など、その後の刑事手続きが必要です。

週刊TAKAPI編集部/成田

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