本栖湖でSUP事故 25歳男性が湖底で死亡 東三河・浜名湖でも「穏やかな水面」に油断禁物

本栖湖でSUPをしていたとみられる25歳男性が死亡した事故を伝える報道アイキャッチ

山梨県身延町の本栖湖で24日朝、SUP(スタンドアップパドルボード)をしていたとみられる25歳の男性が湖底に沈んでいるのが見つかり、死亡が確認された。

現場付近には無人のSUPが浮かんでいた。男性はライフジャケットを着用していなかったとみられ、警察が転落した経緯や死因を詳しく調べている。

夏休みシーズンを迎え、愛知県内でも三河湾沿岸や河川、隣接する浜名湖などで水上レジャーを楽しむ人が増える。水面が穏やかに見える湖や湾内でも、風、水温、流れの変化によって重大事故につながる危険があり、装備と行動計画の再確認が欠かせない。

水深約3メートルの湖底で発見

事故が確認されたのは24日午前7時前。

本栖湖を訪れていた人が、水深約3メートルの湖底に人影があるのを見つけ、119番通報した。

消防と警察が男性を湖から引き上げたが、その場で死亡が確認された。

死亡したのは、神奈川県相模原市に住む会社員、松本和樹さん(25)。

現場近くには人が乗っていないSUPが浮かんでいたことから、警察は松本さんがSUPをしている最中に湖へ転落した可能性があるとみている。

松本さんはライフジャケットを着用していなかったとみられ、警察が事故当時の詳しい状況を調べている。

美しい湖に潜む低水温と急な深み

本栖湖は富士五湖の一つで、透明度の高さと富士山を望む景観で知られている。SUPやカヌーなどの水上レジャーを楽しむ人も多い。

一方、湖は水面が穏やかに見えても、場所によって急に深くなることがある。夏でも水温が低い場合があり、突然水中へ落ちれば、冷水による体の硬直や呼吸の乱れを招くおそれがある。

SUPはボードの上に立ってパドルをこぐため、風や波、姿勢の変化でバランスを崩しやすい。転落後にボードへ戻ろうとして体力を消耗する事故も起きている。

泳ぎに自信があっても、衣服を着たままの状態や冷たい水の中では、普段どおりに体を動かせるとは限らない。

東三河・浜名湖でも同じ危険

今回の事故は山梨県で発生したものだが、東三河や浜名湖周辺の利用者にとっても人ごとではない。

東三河には三河湾沿岸をはじめ、豊川や宇連川など水辺のレジャーを楽しめる場所がある。静岡県西部の浜名湖でもSUP、カヤック、ウインドサーフィンなどの水上アクティビティが盛んだ。

浜名湖は湖と呼ばれているが、海とつながった汽水湖で、潮の流れや船舶の往来がある。岸から近く見える場所でも、風向きが変われば沖へ流される危険がある。

三河湾や河川でも、天候の急変、増水、離岸方向への風、船が起こす波など、場所ごとに異なる危険が潜んでいる。

「波がない」「岸が見える」「以前も利用したことがある」といった安心感だけで、安全を判断してはならない。

ライフジャケットだけでなく事前準備を

SUPを安全に楽しむためには、ライフジャケットの着用が大前提となる。

ただし、着用しているだけで事故を完全に防げるわけではない。体に合ったサイズを選び、落水しても脱げないよう正しく装着する必要がある。

ボードと利用者をつなぐリーシュコードも重要だが、河川など流れのある場所では、障害物に引っ掛かる危険がある。利用場所の特性を理解し、適切な装備を選ぶことが求められる。

出発前には、少なくとも次の点を確認したい。

・体に合ったライフジャケットを正しく着用する
・単独で行動せず、同行者と互いの位置を確認する
・風速、風向き、雨雲、水温、潮流を調べる
・初心者はスクールや経験者の指導を受ける
・スマートフォンなど連絡手段を防水ケースに入れる
・家族や知人に利用場所と帰宅予定時刻を伝える
・飲酒後や体調不良時には水上へ出ない
・少しでも危険を感じたら中止する

特に風は、出発時より帰る時間帯に強まることがある。行きは簡単に進めても、帰りは向かい風となり、岸へ戻れなくなるケースがあるため注意が必要だ。

「自分は大丈夫」が最も危ない

水辺の事故は、特別に荒れた天候のときだけ起きるものではない。

晴れている日でも、転落、急な風、体調不良、装備不足が重なれば、短時間で命に関わる状況へ変わる。

泳げるかどうかと、湖や海で安全に行動できるかどうかは別の問題だ。経験者であっても、自然条件を完全に予測することはできない。

本栖湖で起きた今回の事故を遠方の出来事として終わらせず、東三河や浜名湖で水上レジャーを予定している人も、ライフジャケット、天候、同行者、連絡手段を出発前に改めて確認してほしい。

編集部まとめ

本栖湖で、SUPをしていたとみられる25歳の男性が湖底から発見され、死亡が確認された。現場には無人のSUPが浮かんでおり、男性はライフジャケットを着用していなかったとみられている。

SUPは気軽に始められる一方、落水、低水温、風による漂流などの危険を伴う。東三河の三河湾沿岸や河川、浜名湖でも条件は異なるものの、同じような事故が起きる可能性はある。

見た目の穏やかさを安全の根拠にせず、装備と気象条件を確認し、無理のない範囲で楽しむことが重要だ。

週刊TAKAPI編集部/一条

特記事項:本記事は警察・消防への取材を基にした報道内容および海上保安庁が公表するSUPの安全対策を踏まえて構成しています。事故原因や死因については警察が調査中です。

Q本栖湖で何が起きたのですか
A24日朝、本栖湖の水深約3メートルの湖底で、25歳の男性が沈んでいるのが見つかりました。消防と警察が引き上げましたが、死亡が確認されました。
Q男性はSUPをしていたのですか
A現場付近に人が乗っていないSUPが浮かんでいたことから、警察は男性がSUP中に転落した可能性があるとみて調べています。事故当時の詳しい状況は確定していません。
Qライフジャケットは着用していましたか
A男性はライフジャケットを着用していなかったとみられています。水上レジャーでは、泳力や経験にかかわらず、体に合ったライフジャケットを正しく着用することが重要です。
Q東三河や浜名湖でも注意が必要ですか
A必要です。三河湾沿岸や浜名湖ではSUPやカヤックなどが楽しまれていますが、風向き、波、潮流、船舶の航行、水温の変化によって危険な状況になることがあります。
QSUPに乗る前に何を確認すべきですか
Aライフジャケット、気象情報、風速と風向き、水温、潮流、通信手段、同行者、帰着予定時刻を確認してください。飲酒時や体調不良時には利用せず、少しでも危険を感じた場合は中止する判断が必要です。

穏やかな水面でも装備不足は命に関わる

本栖湖で、SUPをしていたとみられる25歳男性が湖底から発見され、死亡が確認された。水面が穏やかに見える湖や湾内でも、落水後は低水温、風、流れ、疲労によって自力で戻れなくなる可能性がある。東三河や浜名湖で水上レジャーを予定している人も、ライフジャケットの着用を前提に、天候や風、潮流、同行者、通信手段を事前に確認する必要がある。

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