群馬県伊勢崎市の利根川河川敷で男性の切断遺体が見つかった事件で、強盗殺人容疑で再逮捕された埼玉県本庄市の工場作業員、新井雅尚被告(50)が以前所有していた電動丸ノコギリから、死亡した男性のDNA型が検出されていたことが、捜査関係者への取材で分かった。
電動丸ノコギリは事件後、フリーマーケットサイトに出品されていたとみられる。群馬県警は、遺体の切断に使われた可能性がある重要な物証とみて、入手経路や使用状況、出品までの経緯を調べている。
新井被告は事件への関与を否認している。
元同僚を殺害した疑い
強盗殺人の疑いで再逮捕されたのは、埼玉県本庄市に住む新井雅尚被告。
警察によると、新井被告は2026年2月26日ごろ、群馬県内またはその周辺で、前橋市富士見町のパート従業員、小渕和則さん(当時59歳)を何らかの方法で殺害し、キャッシュカード2枚を奪った疑いが持たれている。
2人は以前、同じ会社で勤務していた元同僚だった。
小渕さんは2月26日夕方に勤務先を出た後、行方が分からなくなり、翌27日に別居する家族が前橋署へ行方不明届を提出した。
捜査では、小渕さんが行方不明になった当日、小渕さん名義のキャッシュカードを使って、前橋市内のコンビニエンスストアのATMから現金計24万円が引き出されていたことが判明した。
県警は7月23日、新井被告を強盗殺人容疑で再逮捕し、翌24日に前橋地検へ送検した。
河川敷から胴体部分
小渕さんの遺体が見つかったのは、伊勢崎市長沼町の利根川河川敷だった。
県警が新井被告の関係先として河川敷を捜索したところ、4月28日、土の中から小渕さんの胴体部分が見つかった。
頭部と両手足は切断されており、現在も発見されていない。遺体の損傷が激しく、死因は特定されていない。
県警は、新井被告が3月3日未明から6日未明までの間に遺体を河川敷へ埋めたとして、6月17日に死体遺棄容疑で再逮捕。その後、死体損壊と死体遺棄の罪などで起訴した。
丸ノコギリに残ったDNA型
今回、新たに判明したのが、新井被告が以前所有していた電動丸ノコギリの鑑定結果だ。
捜査関係者によると、工具に付着していた物質を鑑定した結果、小渕さんのDNA型が検出された。
県警は、遺体の切断に使われた可能性があるとみて、DNA型が工具のどの部分から検出されたのか、血液や組織片に由来するものかなどを詳しく調べている。
被害者のDNA型が検出されたことは、新井被告が所有していた工具と遺体を結び付ける物証になり得る。
一方、DNA型の検出だけで、工具が実際に切断に使われたことや、新井被告自身が使用したことまで直ちに証明されるわけではない。今後は、付着状況やほかの鑑定結果と合わせた評価が必要になる。
事件後にフリマへ出品か
捜査関係者によると、新井被告は事件後、この電動丸ノコギリをフリーマーケットサイトに出品していたとみられる。
県警はサイトの運営会社などから、出品日時、掲載写真、通信記録、決済や配送に関する情報を確認している可能性がある。
工具が実際に売却されたのか、誰が購入したのか、どのような経緯で回収されたのかは明らかになっていない。
出品が単なる不要品の売却だったのか、工具を手元から遠ざける意図があったのかも、現段階では断定できない。
ただ、出品履歴や配送記録が残っていれば、工具の所有状況や移動経路を裏付けるデジタル証拠となる可能性がある。
強盗殺人立証の焦点
強盗殺人容疑を立証するうえでは、小渕さんの殺害とキャッシュカードの奪取が、一連の犯行だったかどうかが重要になる。
警察と検察は、小渕さんが最後に確認された時間、死亡したとみられる時期、カードが使用された時間、新井被告の行動を時系列で結び付ける必要がある。
ATMの利用記録や防犯カメラ映像、携帯電話の通信・位置情報、2人の連絡履歴などが主要な証拠になるとみられる。
2人は元同僚だったが、具体的なトラブルや金銭関係、事件に至る動機は明らかになっていない。県警は、勤務当時の人間関係や事件直前の接触状況についても調べを進めている。
切断場所と残る遺体
県警は、遺体がどこで切断され、どのような手段で河川敷まで運ばれたのかを調べている。
電動丸ノコギリからDNA型が検出されたとしても、切断場所や工具を使用した人物は別の証拠によって裏付ける必要がある。
新井被告の自宅や使用車両、工具の保管場所などの鑑定結果に加え、防犯カメラ映像、車両の移動記録、携帯電話の位置情報が捜査の焦点となる。
現在も見つかっていない頭部と両手足が発見されれば、死因や殺害方法を特定する手掛かりとなる可能性がある。
捜査を左右する物証
今回判明した電動丸ノコギリのDNA型は、事件の全容解明につながる重要な物証となる可能性がある。
特に、工具が事件後にフリマサイトへ出品されていたとすれば、出品記録や配送履歴などから、所有と移動の経緯を確認できる可能性がある。
一方で、新井被告は強盗殺人容疑を否認しており、死因や殺害方法、遺体の切断場所、残る遺体の行方など、未解明の部分は多い。
県警と検察が、工具に残されたDNA型、キャッシュカードの利用記録、通信・位置情報、遺体発見現場との関係をどこまで一つの事件として結び付けられるかが、今後の捜査と裁判の焦点となる。
編集部まとめ
事件は、被害者の行方不明当日にキャッシュカードが使用され、その後、利根川河川敷から切断された遺体が見つかったことで大きく動いた。
さらに、新井被告が所有していた電動丸ノコギリから小渕さんのDNA型が検出され、事件後にフリマサイトへ出品されていた疑いも浮上した。
ただし、DNA型の検出だけで殺害や遺体切断の実行者が確定するわけではない。捜査では、付着状況や出品履歴、行動記録などを積み重ね、物証同士を結び付ける作業が続く。
週刊TAKAPI編集部/一条
特記事項:本記事は2026年7月25日までに明らかになった警察発表、捜査関係者への取材内容、各報道機関の情報を基に構成しています。新井雅尚被告は強盗殺人容疑を否認しており、有罪判決が確定するまでは無罪が推定されます。
記事の要点
群馬県伊勢崎市の利根川河川敷で男性の切断遺体が見つかった事件で、強盗殺人容疑で再逮捕された新井雅尚被告が所有していた電動丸ノコギリから、被害者の小渕和則さんのDNA型が検出された。工具は事件後にフリマサイトへ出品されたとみられ、県警が遺体の切断との関係や出品の経緯を調べている。小渕さんが行方不明になった当日には、小渕さん名義のキャッシュカードを使い、現金計24万円が引き出されていた。新井被告は強盗殺人容疑を否認しており、死因、殺害方法、切断場所、未発見の頭部と両手足の行方など、多くの点が未解明となっている。
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