愛知県内で水難事故が相次いでいます。
8月8日には、田原市の太平洋ロングビーチでサーフィンをしていた46歳の男性が死亡。同じ日の正午すぎには、東栄町の鴨山川で、溺れた小学6年の息子を助けようとした40歳の父親が溺れ、搬送先の病院で死亡しました。わずか1週間前の8月1日には、豊田市の矢作川でも13歳の男子中学生が死亡しています。
愛知県警の統計では、2025年に県内で確認された水難者45人のうち28人が死亡。死亡者は海で17人、河川で11人に上っており、水辺の事故は決して例外的な出来事ではありません。
8月8日、海と川で相次いだ死亡事故
田原市赤羽根町の太平洋ロングビーチでは8日正午前、岡崎市の公務員、粂直樹さん(46)がサーフィン中に溺れました。
近くにいたサーファーらに救助され病院へ搬送されましたが、およそ1時間後に死亡しました。警察が当時の状況や事故原因を調べています。
一方、東栄町の鴨山川では同日正午すぎ、弥富市の会社員男性(40)が死亡しました。
男性は妻と小学6年の息子と川遊びに訪れていて、川を渡ろうとして溺れた息子を助けるため水に入り、自身も溺れたとされています。息子は母親に救助され無事でした。現場は川幅約10メートル、水深約2メートルでした。
報道によると、男性はライフジャケットを着用していなかったとされています。
8月1日には豊田市・矢作川で13歳中学生が死亡
事故は8日だけではありません。
8月1日には豊田市の矢作川で、友人と川遊びをしていた中学2年の男子生徒(13)が溺れ、その後死亡しました。
こうした事故を含め、夏休みに入ってから県内の海や河川で重大な水難事故が続いています。
愛知県では2025年に水難で28人死亡
今回の相次ぐ事故を、単発のニュースだけで捉えるべきではありません。
愛知県警がまとめた年間統計によると、水難による死者は、
- 2021年:18人
- 2022年:20人
- 2023年:23人
- 2024年:29人
- 2025年:28人
となっています。2021年から2024年までは4年連続で増加し、2025年も28人と高い水準が続きました。5年間では計118人が死亡した計算になります。
2025年の水難者は45人で、そのうち28人が死亡。死亡場所を見ると海が17人、河川が11人で、死亡者全員が海または川で確認されています。
また、2025年に水難で死亡した28人のうち、65歳以上・年齢不明が16人、65歳未満の成人が9人、小学生2人、高校生相当年齢1人でした。特定の世代だけの問題ではないことも統計から読み取れます。
海17人、川11人 「川だから安全」とも「海だから危険」とも言えない
2025年の死亡者28人の内訳は海17人、河川11人でした。前年の2024年は海11人、河川14人など、年によって事故の集中する場所も変わっています。
つまり、海だけを警戒すればいいわけではありません。
川では急な深みや流れ、水温差、滑りやすい河床など、岸から見ただけでは分かりにくい危険があります。一方、海では波や潮流など、刻々と変わる自然条件への対応が必要になります。
東栄町の事故のように、溺れた人を助けようとした家族が新たに溺れる「二次的な水難」にも注意が必要です。
太平洋ロングビーチは約1か月半後、アジア大会サーフィン会場に
今回、男性が死亡した田原市の太平洋ロングビーチは、地域のサーフスポットというだけではありません。
2026年9月25日から28日にかけて、愛知・名古屋アジア競技大会のサーフィン競技が同じ太平洋ロングビーチで開催される予定です。サーフィンがアジア競技大会で正式競技として実施されるのは今回が初めてで、男女の優勝者には2028年ロサンゼルス五輪への出場権が付与されます。
今回の水難事故とアジア大会の運営に直接的な関係が確認されているわけではありません。
ただ、大会まで約1か月半となり、国内外から注目が集まる海岸で死亡事故が発生したことは、競技者だけでなく一般利用者も含めた水辺の安全について改めて考える契機となります。
田原市では8月23日に大会開催に向けたビーチクリーンも予定されており、太平洋ロングビーチでは大会本番に向けた準備が進んでいます。
「泳げる人」でも事故は起きる
水難事故では、「泳げるかどうか」だけで安全性を判断することはできません。
今回も、田原市ではサーフィン中、東栄町では家族を救助しようとした際に事故が発生しました。
愛知県警の2025年統計では、水遊び中の死亡が4人、魚取り・釣りが8人など、目的や行動も一様ではありません。
水辺へ出かける際には、ライフジャケットの着用、天候や水位の確認、子どもから目を離さないことに加え、異変が起きた際に無理に泳いで救助へ向かわないという判断も重要になります。
編集部まとめ
8月8日、愛知県では田原市の海と東栄町の川で男性2人が死亡しました。さらに8月1日には豊田市の矢作川で13歳の男子中学生が死亡するなど、夏休み期間中に重大な水難事故が続いています。
愛知県では2025年だけでも水難で28人が死亡し、2021年から2025年までの5年間では計118人に上ります。
とりわけ田原市の太平洋ロングビーチは、約1か月半後にアジア競技大会のサーフィン競技が開催される場所です。事故と大会運営を結び付ける根拠はありませんが、これから国内外から注目と人が集まる場所だからこそ、競技会場としての魅力と同時に、自然の海であることへの認識も欠かせません。
お盆休みに入り、海や川へ向かう人が増える時期です。
「毎年来ている場所だから」「泳げるから」「浅く見えるから」という経験則だけに頼らず、その日の水の状態と装備を確認することが、重大事故を防ぐ第一歩になります。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
2026年8月9日時点で確認できた事故報道、愛知県警の水難統計、自治体および大会組織委員会の公表情報を基に独自再構成しています。事故原因が調査中の事案については断定していません。
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