「逆走事故」と呼ぶだけでは説明しきれない、異様な経過だった。
中央分離帯の切れ目から反対車線へ入り、数百メートルにわたって逆走。さらに加速し、その先から走ってきた20代女性の乗用車に正面衝突した疑い。
そして衝突直後、男は金属バットを手に路面を激しくたたいていたとされる。
茨城県警行方署は2026年8月12日、潮来市前川の県道で20代女性を殺害しようとしたとして、鹿嶋市に住む無職の男(38)を殺人未遂の疑いで再逮捕した。
男は「殺すつもりはなかった」などと供述し、容疑を否認しているという。
中央分離帯の切れ目から反対車線へ 数百メートル逆走か
事件が起きたのは7月22日午後7時25分ごろ。
現場は潮来市前川の「道の駅いたこ」近くを通る県道で、中央分離帯が設けられた片側2車線の直線道路だった。
警察によると、男は乗用車を運転中、中央分離帯の切れ目から反対車線へ進入した疑いがある。
問題は、その後だ。
男はすぐに停止したり元の車線へ戻ったりすることなく、そのまま数百メートルを逆走。さらに加速し、対向してきた20代女性の乗用車と正面衝突したとされている。
警察は一連の走行状況について捜査を進め、事故から約3週間後、殺人未遂容疑での再逮捕に踏み切った。
20代女性は腰や手を骨折 全治約3カ月の重傷
正面衝突された車を運転していた20代女性は、腰や手の骨を折るなどの重傷を負った。
全治は約3カ月とされている。
男と女性に面識はなかったという。
見ず知らずの女性が運転する車に対し、なぜ男は反対車線を逆走し続け、正面衝突する状況に至ったのか。
警察は、逆走を始めた理由だけでなく、対向車を認識していた可能性や、衝突までの速度変化、運転操作なども含めて詳しく調べている。
正面衝突の直後には金属バット 現場から110番通報相次ぐ
異様だったのは、衝突までの運転だけではない。
事故直後、現場の目撃者などから「男が金属バットで車をたたいている」などの110番通報が相次いだ。
駆け付けた行方署員に対し、男は金属バットで路面を激しくたたくなどしたとされる。
警察は男を公務執行妨害の疑いでその場で現行犯逮捕した。
男はその後、処分保留でいったん釈放された。
しかし捜査は終わらなかった。
警察は事故当時の走行状況を改めて調べ、中央分離帯を越えてから数百メートル逆走したことや、正面衝突するまでに加速したとされる状況などを確認。8月12日、殺人未遂容疑で再逮捕した。
「逆走→加速→正面衝突」警察が殺人未遂容疑で捜査
今回の事件で最も重要なのは、警察が単なる逆走事故として処理せず、殺人未遂事件として捜査している点だ。
数百メートルの逆走。
その途中での加速。
そして20代女性が運転する車との正面衝突。
この一連の状況から、警察は男が衝突によって相手を死亡させる可能性を認識していた疑いについて捜査している。
一方、殺人未遂罪をめぐっては殺意の有無が大きな焦点となる。
逆走そのものが危険だったという事実だけでなく、男が対向車をどの段階で認識したのか、衝突を避ける操作をしたのか、なぜ加速したのかなど、衝突直前の具体的な状況が今後の捜査で重要になる。
38歳男「殺すつもりはなかった」と否認
男は警察の調べに対し、
「殺すつもりはなかった」
などと供述し、殺人未遂容疑を否認しているという。
事故なのか。
それとも、相手が死亡する危険性を認識したうえで車を走らせたのか。
男の認識と実際の運転状況をどう結び付けるのかが、この事件の核心となる。
警察は逆走を始めた経緯、加速した理由、正面衝突までの走行状況などを詳しく調べている。
編集部まとめ
茨城県潮来市で7月22日、38歳の男が県道を数百メートル逆走し、さらに加速して20代女性の乗用車に正面衝突したとして、8月12日に殺人未遂容疑で再逮捕されました。女性は腰や手の骨を折るなど、全治約3カ月の重傷を負っています。
男は衝突直後、金属バットで路面を激しくたたくなどしたとされ、当初は公務執行妨害容疑で現行犯逮捕されていました。男は「殺すつもりはなかった」と殺意を否認しており、今後は逆走中の加速や対向車を認識していた状況などが捜査の焦点となります。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
再逮捕は有罪の確定を意味するものではありません。殺意の有無を含む詳しい事実関係については、警察が捜査を続けています。
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