愛知県田原市の職員が、前に勤務していた会社を退職する際、必要な承認を得ないまま約3000万円を自身の口座へ振り込んだとして逮捕された。
会社法違反の疑いで逮捕されたのは、田原市企業立地課の職員・島田俊宏容疑者(43)。
警察によると、島田容疑者は2026年3月、当時勤務していた会社を退職する際、退職金についての承認手続きを経ず、会社名義の口座から自身の口座へ約3000万円を振り込んだ疑いが持たれている。
調べに対し、島田容疑者は黙秘している。
前職では取締役として経理を担当
島田容疑者は当時、会社の取締役を務め、経理業務を担当していた。
今回の事件で重要なのは、単に約3000万円が本人の口座へ移されたという点だけではない。取締役として会社の資金管理に関与する立場にあった人物が、自身の退職金をめぐる手続きをどのように処理したのかが捜査対象となっている。
会社の取締役に支払われる報酬や退職慰労金については、会社の機関設計や規程などに応じ、株主総会の決議を含む所定の手続きが必要となる場合がある。
ただし、島田容疑者が勤務していた会社で具体的にどのような承認手続きが定められていたのか、約3000万円がどのような根拠で算定されたのかは明らかになっていない。
退職翌月に田原市職員へ
島田容疑者は3月に会社を退職した後、4月に田原市職員となり、企業立地課に配属されていた。
企業立地課は、企業誘致や企業の立地支援などを担う部署だ。
今回の逮捕容疑は市役所に採用される前の民間企業在籍時の行為で、市の業務に関連した不正が確認されたものではない。
現職の自治体職員が逮捕されたという点と、容疑の対象となっている時期・立場は分けて考える必要がある。
約3000万円の資金移動 何が問題とされたのか
今回の捜査で焦点となるのは、「退職金」という名目そのものより、会社の意思決定を経ずに資金を動かした疑いだ。
取締役は会社の財産を管理する立場にあり、自ら利益を受ける取引では、通常の経費処理以上に適正な意思決定や手続きが重要になる。
警察は、会社内部の資料や口座の記録などを確認し、約3000万円が振り込まれるまでの経緯を調べているとみられる。
一方、島田容疑者は黙秘している。黙秘は刑事手続き上認められた権利であり、それ自体から容疑を認めている、あるいは否認していると判断することはできない。
編集部まとめ
今回の事件は「田原市職員が約3000万円を振り込んだ」という現在の肩書だけで捉えると、事件の構造を見誤る。
問題とされているのは、市職員になる前、取締役として経理を担当していた会社を退職する際の資金処理だ。
約3000万円を退職金として受け取る根拠がどのように整理されていたのか。その支給にはどの手続きが必要で、実際には何が行われなかったのか。
事件の核心は、この会社内部の意思決定過程にある。
週刊TAKAPI編集部/一条
特記事項
この記事は2026年8月20日時点で確認できた公表情報を基に構成した。
島田俊宏容疑者は会社法違反の疑いで逮捕された段階で、刑事責任は確定していない。
今回の逮捕容疑は田原市への採用前、前職の会社に勤務していた2026年3月の行為に関するもの。田原市での業務に関連した不正が確認されたとの情報はない。
約3000万円の算定根拠、会社で必要とされていた具体的な承認手続き、資金の返還状況などは公表されていない。
この事件で分かっていること
田原市企業立地課の島田俊宏容疑者(43)は、前職の会社を退職した2026年3月、必要な承認手続きを経ず、会社口座から自身の口座へ退職金として約3000万円を振り込んだとして会社法違反の疑いで逮捕された。島田容疑者は前職で取締役を務め、経理を担当していた。4月に田原市職員となり、警察の調べには黙秘している。
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