【愛知・豊橋】豊橋鉄道が運賃値上げを申請 市内線200円→230円、渥美線は最大580円へ 2027年5月改定予定

豊橋鉄道は8月31日、渥美線と東田本線、市内線の旅客運賃について、国土交通省中部運輸局に上限変更の認可申請を提出した

申請通り認可されれば、改定は2027年5月予定

市内線の普通運賃は現在の200円から230円へ30円値上げとなる。渥美線は距離に応じて現在170円から550円のところ、申請運賃では190円から580円となる 

今回の平均改定率は、渥美線が11.4%、市内線が15.0%

豊橋市民や通勤・通学利用者にとって、日常の移動コストに直接影響する改定となる

市内線は一律200円から230円へ

市内線の普通運賃は現在、全線一律200円

今回の申請では230円となり、1回の乗車につき30円上がる

通勤定期1か月は8400円から9660円へ1260円増、通学定期1か月は6000円から6900円へ900円増となる 

毎日利用する人ほど負担増は大きい

単純計算で、往復利用を月20日続ければ、普通運賃だけでも月1200円、年間では1万4400円の負担増になる

市内線は豊橋駅と市中心部、東田、競輪場前、赤岩口、運動公園前方面を結ぶ市民の足だ

観光路線としてだけではなく、通勤、通学、買い物、通院など日常交通を担うだけに、30円という数字だけでは済まない影響がある

渥美線も170~550円から190~580円へ

渥美線は新豊橋―三河田原間18キロを結ぶ

今回の申請では、1キロまでの普通運賃が170円から190円

2キロまでは170円から200円、4キロまでは180円から220円となる

新豊橋―三河田原間に相当する18キロ区間では、550円から580円への値上げとなる 

多くの区間では30円増だが、一部では20円、40円の値上げとなる

通勤・通学定期も全距離帯で引き上げが申請されている

たとえば18キロ区間の1か月通勤定期は2万3100円から2万4360円へ1260円増

通学定期は1万6500円から1万7400円へ900円増となる 

前回の値上げは2024年3月 わずか3年あまりで再び

今回、利用者側から見て大きなポイントになるのは、豊橋鉄道が前回の運賃改定を実施したのが2024年3月だったことだ

会社自身も今回の申請資料で、2024年3月に運賃改定を行ったことを明記している 

つまり申請通り2027年5月に改定されれば、約3年2か月で再び値上げとなる

もちろん、この間に原材料費、人件費、設備維持費などが上昇している事情はある

一方で、利用者からすれば「また上がるのか」という受け止めになるのも無理はない

地域公共交通として必要な値上げなのか、その負担をどこまで利用者に求めるのか

今回の申請では、その説明も問われる

豊橋鉄道「企業努力だけでは吸収できない」

豊橋鉄道は値上げ理由として、設備の老朽化、維持管理費の増加、原材料費の高騰などを挙げている

会社によると、軌道、路盤、電路、車両など安全運行に必要な設備の老朽化が進み、一部では国や自治体の補助を受けながら更新・修繕を続けている

しかし今後は維持管理費がさらに増える見込みで、利用者数の大幅な増加も期待できず、「企業努力のみでは吸収しきれない」としている 

値上げによる収入は、安全設備、サービス、従業員の待遇や職場環境の改善などに充てるとしている

製造60年近い渥美線1800形も更新・改修へ

豊橋鉄道の説明で目を引くのが、車両の老朽化だ

渥美線の1800形について、会社は「まもなく製造後60年を経過しようとしている」としている

今後、制御装置、補助電源装置、自動列車停止装置の受信装置などの更新や改修を進める計画だ 

市内線についても800形、T1000形の制御装置や補助電源装置の更新、予防保全を予定する

線路では、渥美線でレール分岐器や道床、木製電柱の更新、市内線でもレール更換や軌道敷の改修を進める

単に利益確保のための値上げというより、老朽設備への投資をどう確保するかという問題が背景にある

2027年度の設備投資は11億2900万円を想定

申請資料によると、豊橋鉄道が見込む鉄軌道部門の設備投資は、2027年度に11億2900万円

内訳は安全対策8億9300万円、サービス向上2億3600万円となっている 

2026年度の設備投資見込み4億5500万円と比べると、2027年度は大幅に増える

運賃改定予定が2027年5月なのも、こうした大型投資のタイミングと重なる

市内線は2025年度に約4264万円の赤字

収支を見ると、値上げの背景はさらに分かりやすい

2025年度実績で、渥美線は収入約13億186万円に対し支出約13億1457万円で、差し引き約1270万円の赤字

市内線は収入約4億6896万円に対し支出約5億1160万円で、約4264万円の赤字だった 

会社は今後、現行運賃のままでは収支がさらに悪化すると推計している

2028年度から2030年度の3年間では、市内線は現行運賃なら約4億8927万円の赤字となる見通し

申請運賃でも約3億1684万円の赤字を見込んでいる 

つまり今回の値上げが認められても、市内線が黒字になる計画ではない

ここは重要だ

値上げしても赤字 地域交通を誰が支えるのか

今回の申請で見えてくるのは、単なる「豊鉄が値上げする」という話ではない

市内線は値上げ後も赤字見込み

渥美線も将来推計では赤字が続く

利用者減少、設備老朽化、人件費、物価高

地方鉄道が抱える問題がそのまま豊橋にも表れている

一方で、地域公共交通だからといって、値上げのたびに利用者へ負担を移せばいいわけでもない

運賃が上がれば利用を控える人が出る可能性もある

車へ移る人が増えれば、さらに利用者が減る

そうなれば次の値上げや減便につながる可能性もある

値上げ → 利用者減 → 収支悪化 → さらに値上げ

この循環をどう防ぐかが、豊橋鉄道だけでなく豊橋市や沿線自治体にも突きつけられている

通学定期は6か月割引を拡大

負担増だけではなく、通学利用への配慮も盛り込まれている

豊橋鉄道は通学定期の6か月券について、現在の割引率を見直し、1か月定期運賃の6倍から12%引きとする方針だ

現在は10%引きで、割引幅を2ポイント拡大する 

学生利用者への一定の負担軽減策という位置付けになる

ただし1か月あたりの基準運賃自体は上昇するため、値上げの影響がなくなるわけではない

渥美線に2027年度、IC専用改札機

利用者サービスでは、ICカード対応設備の更新も行う

渥美線では2027年度、新たにIC専用改札機を導入する予定

2011年から使っているICカード関連機器を順次更新し、乗降環境を改善するとしている 

こうした設備投資が実際に利用者の利便性向上としてどこまで還元されるかも、値上げ後に検証すべき点になる

まだ「決定」ではない 8月31日に認可申請

注意したいのは、今回発表されたのは値上げ決定ではなく認可申請だという点だ

豊橋鉄道は8月31日、国土交通省中部運輸局へ旅客運賃の上限変更に関する認可申請を提出した 

認可を受けた後、正式な実施運賃などが決まる

現時点で会社が示している改定予定日は2027年5月

今後、認可の内容や実施時期が変更される可能性もある

Q&A|豊橋鉄道の運賃値上げ

Q市内線はいくらになる?
A申請通りなら普通運賃は200円から230円になる 
Q渥美線はいくら上がる?
A距離によって異なり、現行170円から550円が、申請では190円から580円となる 
Qいつから?
A豊橋鉄道は2027年5月予定としている 
Qなぜ値上げする?
A設備老朽化、維持管理費や原材料費の上昇、人材確保、今後の利用者数の大幅増が見込めないことなどを理由に挙げている 
Qもう値上げは決まった?
Aまだ決定ではない。8月31日に中部運輸局へ上限運賃変更の認可を申請した段階 

編集部まとめ

市内線200円から230円

渥美線も最大580円へ

数字だけを見れば数十円の値上げだが、毎日利用する通勤・通学客にとっては積み重なる負担になる

一方、豊橋鉄道が示した収支を見ると、市内線は2025年度時点ですでに赤字で、値上げ後も黒字化する見込みではない

設備は老朽化し、渥美線には製造から約60年を迎える車両もある

安全な鉄道を維持するための値上げはどこまで必要なのかその負担を利用者だけに求めていいのか自治体は地域交通をどう支えるのか

2024年3月の値上げから約3年で再び申請された今回の運賃改定は、豊橋の公共交通を今後どう維持するのかという問題そのものでもある

週刊TAKAPIでは認可手続きの結果や豊橋市・田原市の対応、利用者への影響を引き続き追う

週刊TAKAPI 編集部/黒木

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