なぜ芸能人は子ども食堂を始めるのか?山里亮太・やす子・はるな愛らの活動から理由を考察

子どもが無料または低料金で食事を取れる「子ども食堂」。地域住民やNPO法人だけでなく、近年は芸能人が開設、運営、訪問支援などの形で関わる事例も増えている。

南海キャンディーズの山里亮太さんは、フィリピンの公立小学校に「赤メガネ食堂」を開設。お笑い芸人のやす子さんは、東京都葛飾区に子ども食堂「やすまったり」を立ち上げた。

ほかにも、はるな愛さん、庄野真代さん、原田篤さん、コロッケさんなどが、それぞれ異なる方法で子どもたちの食事や居場所づくりを支えている。

なぜ、社会的な知名度を持つ芸能人が子ども食堂に関わるのか。確認できる活動事例を整理しながら、その背景を考察する。


子ども食堂とは?全国で1万2,602カ所に拡大

子ども食堂は、子どもが一人でも利用できる、無料または低料金の食堂を指す。

「生活が苦しい家庭を支援する場所」というイメージが強いが、現在は子どもの孤食を防ぎ、地域住民が交流する地域の居場所としての役割も担っている。

認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」によると、2025年度に確認された全国の子ども食堂は1万2,602カ所。前年から1,735カ所増え、公立小学校・義務教育学校を合わせた数の7割に近づいた。

一方、急速に数が増えるなかで、運営資金や人材、食材の不足も課題になっている。芸能人の参加は、こうした活動の認知度を高め、支援を集める一つの力になっている。


山里亮太はフィリピンに「赤メガネ食堂」を開設

マニラの公立小学校で給食を提供

南海キャンディーズの山里亮太さんは、NPO法人アクションと協力し、フィリピン・マニラ首都圏の公立小学校に「赤メガネ食堂」を開設した。

食堂が設置されたのは約3,000人の児童が通う小学校。健康診断の結果、栄養状態に課題があると判断された児童100人に給食を提供し、将来的には対象を200人まで広げる計画が示されている。

山里さんがキッチンの建設費を拠出し、給食費は企業や個人による支援で賄われている。家賃や光熱費は現地自治体が負担するなど、芸能人、NPO、行政、支援者が役割を分担する形だ。

現地取材での出会いが活動の出発点

きっかけは、山里さんが2023年にJICAの取材でフィリピンを訪れ、現地で活動するNPOと出会ったことだった。

子どもたちの置かれた状況を知った山里さんが「僕に何かできることはないですか」と申し出たことで、プロジェクトが動き始めたという。

山里さんは食堂開設後、子どもたちの笑顔を一時的なものにせず、活動を続けることの重要性を語っている。

芸能人が名前だけを貸したのではなく、専門的な知識と実績を持つNPOに相談し、現地の行政や学校と連携して支援を形にした事例といえる。


やす子は東京都葛飾区に「やすまったり」を開設

お笑い芸人のやす子さんは2026年8月30日、子ども食堂「やすまったり」の開設を発表した。

東京都葛飾区で週1回、不定期に開催し、高校生までの子どもへ無料で食事を提供する。利用は予約抽選制で、具体的な開催日は公式SNSなどで案内される。

やす子さんは、2年ほど前から子ども食堂の開設を夢として語っていた。活動を始めた理由については、子どもたちにお腹いっぱい食べてもらいたいという思いを挙げている。

さらに、旬の食材や世界の料理に触れることで、子どもたちの興味や将来の選択肢が広がる場所にしたいとの考えも示した。

「やすまったり」は開設されたばかりであり、継続的な開催実績については今後確認する必要がある。それでも、食事の無償提供に加え、子どもが安心して過ごせる居場所を目指していることが分かる。


はるな愛は自身の飲食店で子ども食堂を継続

タレントのはるな愛さんは、自身が経営する飲食店で子ども食堂を定期的に開催している。

活動の背景には、はるなさん自身の幼少期の経験がある。経済的に厳しい家庭で育ち、不安や孤独を抱えていた経験から、子どもたちが安心して人とつながれる場所をつくりたいと考えるようになったという。

東京都のボランティア情報サイトでも、子ども食堂による居場所づくりや、立場を超えて支え合うことの大切さを語っている。

一方で、物価高による食材費の上昇は、子ども食堂の運営にも影響している。はるなさんも私費を投入しながら活動を続けていると伝えられており、芸能人であっても継続運営が簡単ではないことを示している。


庄野真代は「子ども食堂しもきたキッチン」を主催

「飛んでイスタンブール」などの楽曲で知られる歌手の庄野真代さんは、2018年から東京・世田谷で「子ども食堂しもきたキッチン」を主催している。

庄野さんは音楽活動のほか、NPO法人を通じて、国内外の貧困地域や難民キャンプへの楽器提供、被災地支援などにも取り組んできた。

「しもきたキッチン」では、食事によって空腹を満たすだけでなく、子どもたちが人と交流し、心も満たされる場所を目指している。

芸能人による子ども食堂のなかでも、長期にわたって地域に根差した活動を続けている事例だ。


原田篤は愛知県武豊町で地域密着型の子ども食堂

俳優として「仮面ライダー555」などに出演した原田篤さんは、愛知県武豊町で経営する飲食店において、子ども食堂を開催してきた。

報道時点では月2回開催され、子どもだけでなく大人も無料で食事を取ることができた。

食堂では、次の2つをルールとしていた。

  • 相手の目を見てあいさつする
  • 食べ物を残さない

単に無料で料理を提供するのではなく、食事を通じて人と関わる力や、食べ物を大切にする気持ちを伝えることも重視している。

原田さんの活動は、芸能人による社会貢献であると同時に、飲食店を地域交流の拠点として活用した例でもある。

ただし、公開情報は2023年の報道に基づくため、最新の開催状況は店舗などへの確認が必要だ。


コロッケは各地の子ども食堂に「食と笑い」を届ける

ものまねタレントのコロッケさんは、自ら常設の子ども食堂を経営する形ではなく、各地の子ども食堂を訪問し、食品や娯楽を届ける活動に取り組んでいる。

2024年には東京都足立区の福祉施設を訪れ、カレー、白米、餅、クリスマスケーキなどを提供。子どもたちと変顔大会を行い、筆箱やバッグなどのプレゼントも手渡した。

コロッケさん自身も母子家庭で育ち、子どもの頃に生活が苦しく、空腹を経験したことを明かしている。

歌手の小林幸子さんによる社会貢献活動への参加をきっかけに子ども食堂を訪れるようになり、地元・熊本でも農業や子ども食堂を支えたいとの考えを示している。⁠

食事だけでなく、自身の芸や親しみやすさを生かして、子どもに楽しい時間を届ける。これは芸能人ならではの支援方法といえる。


なぜ芸能人は子ども食堂を始めるのか

ここからは、本人たちの発言や活動内容を踏まえた週刊TAKAPI編集部の考察である。

自身のつらい経験を支援に変えられるから

はるな愛さんやコロッケさんのように、子ども時代の貧困や孤独、空腹を活動の背景として語る芸能人は少なくない。

過去の経験そのものを変えることはできない。しかし、同じような状況にいる子どもを支える行動に変えることはできる。

自分が子どもの頃に欲しかった場所を、現在の子どもたちのためにつくる。その思いが、継続的な活動を支える原動力になっていると考えられる。

食事なら子どもを直接支援できるから

子どもの貧困や孤立は複雑で、個人の力だけで根本的に解決することは難しい。

それでも、温かい食事を提供すれば、少なくともその日の空腹を和らげることはできる。

食卓を囲むことによって、子どもの表情や体調の変化に周囲の大人が気づく可能性もある。食事は支援の入り口として分かりやすく、子どもとの関係をつくりやすい。

知名度を社会的な発信力へ変えられるから

芸能人が活動を始めると、テレビやインターネットニュース、SNSなどで広く紹介される。

報道を見た企業から食材が提供されたり、一般の人から寄付やボランティアの申し出が集まったりする可能性もある。

芸能人の知名度は、それ自体が一つの社会資源になる。本人が毎回調理現場に立てなくても、子ども食堂の存在や課題を発信することで、支援の輪を広げられる。

子どもの「第三の居場所」をつくれるから

現在の子ども食堂は、経済的に困っている子どもだけを対象とする場所ではない。

共働き家庭の増加、一人で食事をする孤食、学校での人間関係、家庭以外の居場所不足など、子どもが抱える問題は多様化している。

子ども食堂には、家庭でも学校でもない第三の居場所として、地域の大人と子どもをつなぐ役割がある。

やす子さんの「やすまったり」という名称にも、子どもに安心して過ごしてもらいたいという方向性が表れている。


芸能人の子ども食堂は売名なのか

芸能人が慈善活動を行うと、「売名ではないか」「好感度を上げるためではないか」という批判が出ることがある。

活動によって本人のイメージが向上する可能性はある。しかし、それだけを理由に支援全体を否定するのは適切ではないだろう。

確認すべきなのは本人の内心ではなく、活動の実態だ。

  • 子どもに食事が実際に提供されているか
  • 食品衛生や安全管理が徹底されているか
  • 子どもの個人情報が守られているか
  • 寄付金や支援物資が適切に管理されているか
  • 一過性の話題で終わらず継続されているか
  • 専門団体や地域住民と連携しているか

芸能人の知名度が上がる一方で、子どもへの支援も増えるのであれば、双方に利益が生まれる。

「偽善かどうか」を外部が推測するよりも、活動が子どもの利益を最優先にしているかを検証することが重要だ。


注目を一時的なブームで終わらせない仕組みが必要

芸能人が関われば、子ども食堂への注目は一気に高まる。しかし、長く運営するには食材費、会場費、調理スタッフ、衛生管理、保険、予約対応などが必要になる。

本人の仕事や人気だけに依存すると、芸能活動の状況が変わったときに、食堂を続けられなくなる恐れもある。

そのため、NPO、地域住民、自治体、企業、飲食店などが役割を分担し、芸能人本人が不在でも運営できる体制を整えることが欠かせない。

山里亮太さんとNPO法人アクションの連携は、専門団体と協力して継続性を確保しようとする一例である。


芸能人の参加が子ども食堂を身近な場所に変える

芸能人が子ども食堂に関わる意義は、本人が何食作ったかだけではない。

活動が広く報道されることで、子ども食堂を知らなかった人が関心を持つ。利用をためらっていた家庭が、地域の食堂について調べるきっかけになる可能性もある。

山里亮太さん、やす子さん、はるな愛さん、庄野真代さん、原田篤さん、コロッケさんは、活動地域も支援方法も異なる。

それでも共通しているのは、食事を通して子どもと社会をつなごうとしていることだ。

芸能人の名前だけが注目されるのではなく、その先にいる子どもや、日々運営を支える地域の人たちにも関心が広がるか。そこに、芸能人が子ども食堂へ関わる本当の意味があるのではないだろうか。


芸能人が運営する子ども食堂には誰でも行けますか?

食堂によって対象年齢、居住地域、予約方法、参加費が異なります。事前に公式サイトや公式SNSで最新情報を確認してください。

子ども食堂へ行けば芸能人本人に会えますか?

本人が常に参加しているとは限りません。子ども食堂は芸能人との交流イベントではなく、食事と地域の居場所を提供する活動です。

子ども食堂へ食品を持ち込んでもよいですか?

無断で持ち込まず、事前に運営者へ確認する必要があります。賞味期限、保存方法、アレルギー表示、衛生上の理由から受け取れない食品もあります。

子どもがいない大人でも支援できますか?

寄付、食材提供、会場提供、調理、配膳、清掃、広報など、さまざまな方法があります。希望する食堂や地域ネットワークに必要な支援を確認することが大切です。


※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。

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週刊TAKAPI編集部:黒木

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