「知らんっちゃ」「覚えとらん」発言に波紋 議会の情報共有体制にも疑問

直方市議 不同意わいせつ 起訴 法廷で全面否認 高齢議員問題と議会制度の盲点
福岡県直方市の現職市議(80)が不同意わいせつの罪で起訴され、法廷で起訴内容を全面的に否認していることが明らかになった。
被告の市議は、1999年に初当選し、これまで7期にわたり市議を務めてきたベテランで、副議長の経験もある人物。地域政治に長年関わってきた重鎮の起訴は、市政に大きな衝撃を与えている。
■ 法廷での発言「そんな元気ない」「覚えとらん」
初公判で被告は、起訴内容について
「知らんっちゃ、それはあんた失礼やけね」
「80歳じゃん、そんな元気があるわけないやないね」
「覚えとらん」
などと述べ、犯行を否認した。
一方で、検察側は不同意わいせつの事実があったとして起訴に踏み切っており、今後の審理で証拠や証言の信頼性が焦点となる。
■ 起訴後も議会出席 議長は「知らなかった」
問題視されているのは、起訴後の対応だ。
この市議は起訴後も議員活動を継続し、通常通り議会に出席しているとみられる。しかし、直方市議会の議長は取材に対し、「起訴の事実を知らなかった。正直驚いている」とコメントした。
背景には、日本の地方議会制度において、議員が刑事事件で起訴された場合でも、議会側へ自動的に通知される制度が存在しないという現状がある。
■ 「知らされない議会」制度の盲点
現行制度では、議員本人が説明しない限り、議会側が起訴の事実を把握できないケースもありうる。今回のように、議長すら事案を把握していなかったという状況は、議会のチェック機能や透明性の観点から疑問の声が上がっている。
また、起訴された段階では有罪が確定していないため、議員資格が直ちに失われることはない。こうした「推定無罪」の原則と、住民に対する説明責任とのバランスも問われている。
■ 問われる説明責任と倫理
地方議員は住民の信託を受けて職務を担う立場にある。仮に刑事責任が確定していない段階であっても、重大事件で起訴された事実について、どのように説明責任を果たすべきかは避けて通れない問題だ。
今回のケースは、個人の刑事責任の問題にとどまらず、議会の情報共有のあり方や倫理規範、さらには制度設計そのものにまで議論を広げる契機となりそうだ。
起訴されても議会に共有されない仕組みのままで、住民の代表機関としての透明性は担保されるのか。
直方市議会の対応は、地方議会全体に共通する課題を浮き彫りにしている。
週刊TAKAPI
新着記事をメールで確認しませんか?

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます