愛知県蒲郡市の市立小中学校で、スクールカウンセラー(SC)を各中学校区に1人ずつ計7人配置する一方、一部の学校から「相談日数を増やしてほしい」との声が出ていることが、週刊TAKAPIの独自取材で分かった。
家庭環境や福祉面から児童生徒を支援するスクールソーシャルワーカー(SSW)については、令和5、6年度の1人から、令和7年度は2人に増員した。
市教育委員会は、SSWの存在や役割を児童生徒や保護者にさらに周知し、家庭環境に不安を抱える児童生徒との接点を広げたいとしている。
前編では、蒲郡市で令和5~7年度にいじめ防止対策推進法上の「重大事態」として取り扱った事案が0件だったことや、重大な被害の疑いなどを学校が把握した場合、その日のうちに報告し、重大事態に該当するかを1週間以内に判断する市の運用を報じた。
後編では、日常的な相談や家庭支援を担うSC、SSWの配置と利用状況をみる。
スクールカウンセラーは3年間7人
蒲郡市教委によると、SCは令和5年度、令和6年度、令和7年度のいずれも7人。
各中学校区に1人ずつ配置している。
市教委は勤務状況について「勤務日数約60日、対応件数約150件。学校により異なります」と回答した。
相談・対応件数については、延べ回数ではなく「実事案件数」で集計しているという。
ただし、「約150件」が市全体、学校ごと、SC1人当たりのいずれの数字を示すかについては、今回の回答では明確になっていない。
空きがあれば「すぐに相談」
週刊TAKAPIは、児童生徒や保護者がSCへの相談を希望した場合、申し込みから実際の相談までどの程度待つのかについても尋ねた。
市教委は、
「保護者の希望日時が空いていれば、すぐに相談していただけます」
と回答した。
一方、希望日に別の相談が入っている場合は、次の希望日時まで待つことになる。
また、保護者が午後5時以降を希望するなど、SCの勤務時間外となる場合も、別の希望日時に予約してもらうとしている。
学校から「相談日数を増やしてほしい」
現在のSC配置について、市教委は、学校側から相談機会の拡充を希望する声があることも明らかにした。
現在の支援体制について尋ねたところ、市教委は、
「SCについては、相談日数を増やしてほしいと希望する学校があります」
と回答した。
各中学校区にSCを配置している一方、学校によっては現在より相談できる日を増やしたいというニーズがある。
市教委は、SC・SSWの体制が十分かどうかを判断する具体的な数値指標については「ありません」としている。
SSWは1人から2人に増員
SSWについては、令和5年度と令和6年度は1人だったが、令和7年度は2人に増えた。
市教委によると、1人当たりの担当校数は10校。
SSWへの依頼件数は19件で、対象は19家庭だった。
また、市教委は「支援への介入」を186件と回答している。
別の回答ではSSWの対応件数を「約500件」としているが、「約500件」と「186件」で集計する内容がどのように異なるのかは、今回の回答では明らかになっていない。
このため、本稿では両数字を単純に比較せず、市教委が回答した別々の数値として扱う。
市教委「一人でも多くつながりを」
市教委は、今後の支援について、SSWの存在や役割そのものを児童生徒や保護者に知ってもらうことも必要だとしている。
週刊TAKAPIの取材に、
「SSWの存在や役割を生徒・保護者に広く周知し、家庭環境に不安がある児童・生徒と一人でも多くつながりをもっていく必要があると考えています」
と回答した。
蒲郡市は令和7年度からSSWを2人体制に増やした一方、今後は配置だけでなく、児童生徒や保護者が支援につながるための周知にも力を入れる考えを示している。
相談体制を拡充する一方、現場から追加ニーズも
蒲郡市ではSCを各中学校区に1人ずつ配置し、SSWは令和7年度から1人増員した。
一方で、一部の学校からはSCの相談日数を増やしてほしいとの希望が出ている。
市教委がこうした学校側の要望を把握していることに加え、SSWについても児童生徒や保護者への周知を今後の取り組みとして挙げている。
重大事態が3年間0件だったことと、SCやSSWの配置との因果関係は確認できない。
その一方、今回の取材からは、蒲郡市が重大な事案が発生した場合の初動だけでなく、日常的な相談や家庭への支援についても専門職を配置し、学校現場から出ている追加のニーズを把握していることが分かった。
編集部まとめ
蒲郡市はSCを各中学校区に1人ずつ計7人配置し、SSWは令和7年度から2人体制に増員した。
一部の学校からはSCの相談日数を増やしてほしいとの声も出ている。
市教委は今後、SSWの存在や役割をさらに周知し、家庭環境に不安のある児童生徒との接点を広げるとしている。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
本稿は、週刊TAKAPIが蒲郡市教育委員会に実施した書面取材への回答を基に構成しています。
SCについて市教委は「勤務日数約60日、対応件数約150件(学校により異なる)」と回答していますが、「約150件」の集計単位については今回の回答では明確になっていません。
SSWについては「対応件数約500件」との回答とは別に、「依頼件数19件(19家庭)、支援への介入186件」との回答があり、それぞれの集計範囲については明らかになっていません。
令和5~7年度にいじめ重大事態として取り扱った事案が0件だったことは、市内でいじめ、不登校、家庭環境上の問題や相談そのものがなかったことを意味しません。
また、重大事態が0件だったこととSC・SSWによる支援との因果関係は確認されていません。
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