大阪の私立清風高校に通っていた男子生徒=当時17歳=が、2021年の期末試験でカンニングをした後、学校から指導を受けて自死した問題をめぐり、遺族が学校側に約1億円の損害賠償を求めている裁判で10月2日、男子生徒の両親と当時の教師らに対する証人尋問が行われた。
今回の法廷で改めて浮かび上がったのは、カンニングをめぐる指導の場で、生徒本人に「卑怯」という趣旨の言葉を口にさせたのかどうかという点だ。
母親は、息子が指導の中で「卑怯なことをした」と口にした場面を明確に覚えていると証言した。一方、当時の担任や学年担当の教師は、生徒に「卑怯」と言わせた事実を否定した。
生徒は指導後まもなく自ら命を絶っており、遺族側は学校での指導との関係を訴えている。学校側はこれまで、指導と自死との因果関係について遺族側の主張を争っている。
カンニング発覚後、全教科0点と写経80巻
訴えなどによると、男子生徒は2021年の期末試験でカンニングをしたことが発覚した。
その後、全教科を0点とする扱いや、写経80巻などの処分を受けたとされる。
遺族側は、カンニングをした行為そのものについて指導が必要だったことを否定しているわけではない。
父親も、校則に反する行為であり一定の指導は必要だったとの考えを示している。
一方で、本人が反省する姿勢を示していたにもかかわらず、強い心理的圧迫を感じさせるような指導が必要だったのかという点について疑問を呈している。
「卑怯者がすること」とする指導 遺族側が問題視
清風高校では、カンニングについて「卑怯者がすること」という趣旨の指導が行われていたとされる。
遺族側によると、母親が同席した指導の場で、男子生徒は「卑怯なことをした」という趣旨の言葉を口にした。
生徒はその後、自ら命を絶った。
遺書には、周囲から「卑怯者」と見られながら生きていくことに対する強い不安をうかがわせる内容が記されていたという。
裁判では、こうした言葉が実際の指導の中でどのように使われたのかが重要な争点の一つとなっている。
担任教師「言わせたことはないと思う」
10月2日の証人尋問では、当時の担任教師と学年担当だった教師も証言した。
担任だった教師は、「卑怯」という言葉について、母親の前で生徒に言わせたことはないと思うとの趣旨の証言をした。
その一方で、カンニングに対する指導で「卑怯」という表現を用いることについては、使うべきではないと考えたとの趣旨の説明をしている。
学年担当だった教師も、生徒に「卑怯」と言わせたことはないと否定した。
同じ指導場面について、母親と教師側で記憶と主張が大きく食い違う形となった。
