愛知県が2026年10月9日に公表した「中小企業景況調査」で、県内中小企業の景況感が2期ぶりに改善したことが分かった。
2026年7~9月期の全産業の業況判断DIはマイナス23.3となり、前期のマイナス33.0から9.7ポイント改善した。
業種別では、製造業と建設業で業況・売上・採算の3指標がそろって改善。一方、サービス業では3指標すべてが悪化し、業種によって明暗が分かれた。
県内経済には持ち直しの動きが見られるものの、景況感は依然としてマイナス圏にある。
改善が本格的な景気回復につながるのか、今後の動向が注目される。
愛知県の中小企業景況感が2期ぶり改善|業況判断DIはマイナス23.3
前期から9.7ポイント改善も、景況感は依然マイナス
愛知県の2026年7~9月期の中小企業景況調査では、全産業の業況判断DIが前期から9.7ポイント改善した。
主な結果は次の通り。
【愛知県中小企業の業況判断DI】
- 2026年4~6月期:マイナス33.0
- 2026年7~9月期:マイナス23.3
- 前期との差:プラス9.7ポイント
- 改善状況:2期ぶりの改善
業況判断DIは、企業の景況感を把握するための指標だ。
一般に「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いて算出する。
数値が改善すれば、企業の景況感が前期より上向いたことを示す。
ただし、今回のマイナス23.3という数値は、業況を「悪い」と判断する企業の割合が「良い」と判断する企業の割合を上回っていることを意味する。
景況感は改善したものの、県内中小企業の経営環境が全面的に回復したとはいえない状況だ。
愛知県の建設業が回復|業況・売上・採算の3指標が改善
建設業の景況感に改善の動き
今回の調査で注目されるのが、建設業の改善だ。
建設業では、業況判断DI、売上DI、採算DIの3指標がいずれも前期から改善した。
建設業は住宅建築、公共工事、工場建設、商業施設、設備工事など、幅広い経済活動と関係している。
愛知県では自動車関連産業を中心とした製造業が集積しており、企業の設備投資や施設整備も建設需要に影響する。
ただし、今回の調査だけでは、建設業の改善が住宅需要、公共工事、民間設備投資のどの分野によってもたらされたのかは判断できない。
建設業の景況感改善と住宅価格は別問題
建設業の景況感が改善した場合でも、新築住宅の価格や建築費が下がるとは限らない。
住宅価格には、建築資材費、人件費、土地価格、設備費など複数の要因が影響する。
建設会社の売上や採算が改善していても、資材費や人件費が高い水準で推移していれば、住宅価格が下がりにくい状況は続く可能性がある。
今回の調査で示されたのは、あくまで建設業の景況感などの改善だ。
実際の住宅価格や工事費の動向については、別の統計や市場データを確認する必要がある。
愛知県の製造業も改善|自動車関連産業への波及に注目
製造業は業況・売上・採算がそろって改善
愛知県の主要産業である製造業でも、業況・売上・採算の3指標が前期から改善した。
愛知県は自動車、輸送用機器、工作機械、金属加工など、製造業の集積が大きい地域だ。
製造業の動向は、部品メーカー、物流会社、設備関連企業など、幅広い産業に関係する。
そのため、製造業の景況感改善は県内経済を考えるうえで重要な材料となる。
一方、今回の調査結果だけでは、自動車関連企業がどの程度改善したのか、企業規模による違いがあるのかまでは確認できない。
今後は、製造業全体の改善が地域の中小企業にも広がるかが焦点となる。
愛知県のサービス業は悪化|業況・売上・採算がすべて低下
建設業・製造業とは対照的な結果
今回の調査で厳しい結果となったのがサービス業だ。
製造業と建設業では3指標が改善した一方、サービス業では業況・売上・採算のすべてが前期から悪化した。
サービス業には幅広い事業形態があり、企業ごとに経営環境は異なる。
今回の調査結果から、特定のサービス業種が悪化の主因であると断定することはできない。
しかし、売上と採算の両方が悪化していることは、県内経済の回復状況を判断するうえで見逃せない。
人件費や物価上昇はサービス業の負担になっているのか
一般にサービス業では、人件費、光熱費、仕入れ価格などの変化が経営に影響する。
また、消費者の節約志向や価格転嫁の難しさも、企業の売上や利益を左右する要因となる。
ただし、これらが今回の景況感悪化の直接的な原因と確認されたわけではない。
悪化の背景を把握するには、業種別の詳細データや企業への聞き取りが必要だ。
豊橋・豊川・新城・田原の中小企業への影響は?
東三河でも建設業と製造業の動向が重要
愛知県全体の景況感改善は、東三河地域の経済を考えるうえでも注目される。
豊橋市、豊川市、新城市、田原市には、製造業や建設業をはじめ、幅広い中小企業が立地している。
特に製造業は地域の雇用や取引関係にも影響する重要な産業だ。
また、建設業は住宅建築、工場設備、道路整備、公共施設の維持管理など、地域の生活や産業活動を支えている。
今回、県全体では建設業と製造業の景況感が改善したが、東三河でも同じ傾向が見られるかは別途確認する必要がある。
県全体の改善が、そのまま豊橋市や豊川市などの企業の回復を意味するわけではない。
地域別の経済指標や地元企業の受注状況、採算の変化などを確認することが重要となる。
【編集部考察】愛知県経済は業種による二極化が進むのか
今回の調査で特徴的なのは、全産業の景況感が改善した一方、サービス業では悪化が見られたことだ。
製造業と建設業では、業況・売上・採算の3指標が改善している。
これに対してサービス業では、同じ3指標がすべて悪化した。
こうした結果は、県内中小企業の経営環境に業種間の差が存在することを示している。
ただし、今回の1期分の調査だけで、業種間の二極化が長期的に進行していると判断することはできない。
今後の調査でも同様の傾向が続くのかが重要だ。
建設業の回復が地域経済に広がる可能性
建設業の景況感改善が継続すれば、建築資材、設備工事、運送などの関連分野にも好影響が及ぶ可能性がある。
一方、サービス業の悪化が続けば、県内経済全体の回復を抑える要因となることも考えられる。
週刊TAKAPI編集部としては、今後の調査で次の点に注目したい。
- 建設業の改善が受注増加を伴っているのか
- 製造業の改善が中小の関連企業まで広がっているのか
- サービス業の売上・採算悪化が継続するのか
- 東三河地域でも県全体と同じ傾向が確認できるのか
景況感の改善という数字だけでなく、その恩恵がどの企業や地域に広がっているのかが重要になる。
愛知県の中小企業景況感は今後どうなる?
次回調査では改善の持続性が焦点
2026年7~9月期の業況判断DIは、前期から9.7ポイント改善した。
ただし、依然としてマイナス23.3であり、県内中小企業の景況感は厳しい水準にある。
今後は、建設業と製造業の改善が継続するか、サービス業の悪化に歯止めがかかるかが注目される。
また、売上の増加が実際の利益改善につながっているかどうかも重要だ。
次回以降の調査では、業況判断DIだけでなく、売上DIや採算DIの変化を合わせて確認する必要がある。
まとめ|愛知県の中小企業景況感は改善も、本格回復には課題
愛知県が2026年10月9日に公表した中小企業景況調査では、2026年7~9月期の全産業の業況判断DIがマイナス23.3となり、前期から9.7ポイント改善した。
景況感は2期ぶりに改善したものの、依然としてマイナス圏にある。
製造業と建設業では業況・売上・採算の3指標が改善した一方、サービス業ではすべて悪化した。
県内経済全体が回復に向かうためには、改善した業種の動きが継続するとともに、悪化した業種にも持ち直しが広がるかが焦点となる。
大企業の景況感を調べる場合は、日本銀行の全国企業短期経済観測調査(短観)など、別の統計を確認する必要がある。
一方、売上DIは売上の増減に関する判断、採算DIは利益の出やすさなど採算状況に関する判断を把握するために使われる。
そのため、業況判断DIが改善していても、売上や採算が同じように改善するとは限らない。
景況調査は企業の業況や売上、採算などを把握するものであり、倒産件数を直接集計した統計ではない。
倒産の動向を調べるには、東京商工リサーチや帝国データバンクなどが公表する企業倒産に関する調査を別途確認する必要がある。
ただし、景況感が改善したからといって、すべての企業で給与や賞与が増えるわけではない。
実際の賃金動向は、企業ごとの業績や人員確保の状況、賃金制度などによって異なる。
調査の詳細や過去の結果については、県の公式情報を参照してほしい。
愛知県公式ホームページ:https://www.pref.aichi.jp/
※本記事は公表された調査数値、地域の産業構造、一般的な市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容を含みます。企業や関係者が公表していない経営状況や回復理由を断定するものではありません。最新かつ正確な情報は愛知県の公式発表をご確認ください。
週刊TAKAPI 編集部/黒木
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