佐賀県立学校の40代男性教諭が性的な動画に出演し、停職1か月の懲戒処分を受けた問題で、佐賀県教育委員会は10月26日、週刊TAKAPIの独自取材に対し、男性教諭の教壇復帰について「まずありえない」との認識を示した。
男性教諭は8月31日の問題発覚以降、一度も教壇に立っておらず、授業は代替職員が担当している。一方、本人は教職を続ける意向を示しており、県教委は停職終了後にどのような業務を担当させるか、学校側と協議を続けている。
停職期間は11月22日まで。教員としての勤務継続を望む本人と、従来の授業への復帰を想定していない県教委との間で、処分終了後の職務が決まらない状況となっている。
発覚以来、一度も教壇に立たず 復帰後の職務は未定
問題となった男性教諭は2023年7月ごろ、SNSで知り合った人物から性的な動画への出演を依頼され、有料会員サイトで公開されることを承知したうえで出演を承諾した。同年8月に県外の宿泊施設で撮影が行われ、動画は10月ごろから公開されていた。
事態が発覚したのは約3年後の2026年8月31日。勤務先の学校に外部から情報提供があり、翌9月1日に県教委へ報告された。
県教委の担当者によると、男性教諭は問題発覚以降、一度も教壇に立っていない。学校では授業担当から外す措置を取り、代替職員による対応を続けているという。
停職期間は10月23日から11月22日までだが、その後の教壇復帰について尋ねると、担当者は「実際のところ教壇に立つということはまずありえません」と明言した。
さらに、停職終了後については、学校と県教委が「何をさせるか」という具体的な業務内容を詰めている段階だと説明した。
男性教諭には教職を続ける意向があるものの、県教委は従来どおりの授業を担当させることを想定していない。今後の配置や担当職務について正式な結論は出ておらず、処分終了後の対応が課題となっている。
停職1か月の理由 県教委は学校運営への影響を重視
今回の懲戒処分は、地方公務員法33条が禁じる信用失墜行為に該当するとして行われた。
県教委は取材に対し、教員という立場にありながら、性的な動画への出演を承諾し、有料会員サイトで公開されたことを問題視したと説明した。会員限定のサイトであっても、インターネット上の情報が外部へ拡散する可能性があることを重視したという。
処分の判断には、実際に学校運営へ生じた影響も反映されている。
男性教諭を授業から外し、代替職員を配置する対応が必要となったことに加え、生徒や保護者への影響も考慮したと担当者は説明した。
停職1か月という処分の重さについては、県内で同種の前例が乏しいことから、他県の類似事例を参考にしたという。さらに、県内で過去に行われた交通事故などの懲戒処分とも比較し、行為の内容や周囲への影響を総合的に判断したとしている。
ただし、県の懲戒処分指針に掲げられた、どの具体的な標準例を基準としたのかについては明示されなかった。
当時の校長も口頭訓告 動画出演は把握しておらず
男性教諭の処分と併せて、撮影が行われた2023年8月当時の校長にも、管理監督が不十分だったとして口頭訓告が行われた。
県教委は今回の取材で、当時の校長が男性教諭の動画出演を把握していなかったことを認めた。
担当者は口頭訓告について「結果責任的な形にはなる」と説明。県教委では日頃から学校長に対し、教職員の服務規律や信用失墜行為の防止について指導するよう求めており、今回の事案では管理監督が十分ではなかったと判断したという。
口頭訓告は停職や減給などの懲戒処分とは異なる服務上の措置であり、男性教諭本人に対する懲戒処分とは区別される。
出演料の受領は否定 客観的な確認には限界も
県教委は、男性教諭が動画出演に伴う報酬や交通費などを受け取っていないと説明している。
週刊TAKAPIは、金銭の授受がなかったことを客観的な資料で確認したのかを尋ねた。
担当者によると、本人は金銭の受領を否定しており、報酬の支払いを裏付ける領収書などの資料も確認されなかったという。
一方、受け取っていないという事実そのものを証明するのは難しいとして、金銭の受領を裏付ける証拠がない以上、受け取ったことを前提に処分することはできないとの考えを示した。
動画への出演確認については、映像が必ずしも鮮明ではなかったものの、本人を知る学校側による確認と、男性教諭自身の説明が映像の内容と一致していたことなどを根拠にしたという。
動画は問題発覚後、県教委と学校が本人を通じてサイト運営者に削除を求め、9月初めに公開元サイトから削除されたことを確認した。ただし、他のサイトへの転載など、公開元以外での流通状況までは確認しきれていないとしている。
こども性暴力防止法の施行控え、服務規律の徹底へ
2026年12月25日には、教育・保育施設などにおける児童対象性暴力の防止を目的とした「こども性暴力防止法」が施行される。
県教委は取材に対し、新制度への対応について学校管理職や市町教育委員会への周知、指導を進めていると説明した。施行前の独自調査も検討したというが、回答の正確性や実効性への課題もあるとして、現時点では法施行に向けた準備を優先する考えを示している。
また、今回の事案を受け、県教委は10月22日付で県立学校長や市町教育委員会教育長に綱紀粛正を求める通知を発出した。
なお、こども性暴力防止法に基づく性犯罪歴の確認と、今回の信用失墜行為による懲戒処分は別の制度である。今回の事案について、児童生徒への性的加害が確認されたとの説明はなく、両者を同一視することはできない。
編集部まとめ
今回の独自取材によって、男性教諭が問題発覚以来、一度も教壇に立っておらず、県教委も停職終了後の授業への復帰を想定していないことが確認された。
しかし、男性教諭本人には教職継続の意向があり、県教委は今後の担当業務について学校側との協議を続けている。
停職1か月という懲戒処分が終了しても、それだけで従来の教育活動に戻れるわけではない。教員としての身分と、実際に生徒の前で授業を担当することは、別の問題だからだ。
11月22日の停職期間終了を前に、県教委がどのような職務を用意し、学校運営との整合性をどう図るのか。今回の問題は、処分後の対応という新たな段階に入っている。
特記事項
本記事は、佐賀県教育委員会が2026年10月22日に公表した懲戒処分資料(公式ページID:121585)と、週刊TAKAPI編集部による同月26日の県教育委員会への独自取材を基に構成した。
法令・制度については、地方公務員法第29条・第33条、佐賀県教育委員会「懲戒処分の指針」、こども家庭庁のこども性暴力防止法関連資料を参照した。
県教委による今後の見通しと、正式決定済みの処分・人事措置は区別して記載している。学校名や教諭氏名など、公表されていない個人情報は掲載していない。
週刊TAKAPI 編集部/成田
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