「痩せ薬」目的の乱用に警鐘 処方箋なし売買に薬機法違反の恐れ
糖尿病治療薬「マンジャロ」などをめぐり、SNS上で不正取引を疑う投稿が相次いでいる。
東京都が2025年度にX上で警告した医薬品の不正販売疑い投稿497件のうち、約75%にあたる375件が、「マンジャロ」や「リベルサス」など糖尿病治療薬の取引をうたう内容だったことが分かった。
いずれも医師の診察と処方が必要な医療用医薬品で、個人間で売買すれば薬機法違反に問われる可能性がある。
問題になっているのは、糖尿病治療薬がSNS上で「痩せ薬」のように扱われている点だ。
投稿の中には、「即日発送」、「処方箋不要」、「余った分を譲る」などとうたうものもあり、ダイエット目的で薬を求める利用者を誘導しているとみられる。
マンジャロは、一般名をチルゼパチドとする糖尿病治療薬。血糖コントロールなどを目的に、医師が患者の状態を確認したうえで処方する薬だ。
しかし、医師の管理を受けずに使用すれば、低血糖、強い吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、食欲減退などの副作用に気づくのが遅れる恐れがある。急激な体重減少に伴い、栄養不足や筋肉量の低下につながる可能性もある。
特に危険なのは、SNS経由で入手した薬の場合、正規品かどうか、保管状態が適切だったか、使用期限に問題がないかを確認しにくい点だ。
本人の体質や持病、服用中の薬との組み合わせによっては、健康被害が重くなる恐れもある。
東京都は、警告後も改善が見られない投稿について、Xの日本法人に削除を要請している。さらに、販売ルートが秘匿性の高い通信アプリに移行しているケースもあるとして、監視や警告の対象を広げる方針だ。
SNS上の医薬品売買は、都市部だけの問題ではない。投稿は全国どこからでも閲覧でき、地方在住者でも簡単に接触できる。
豊橋・東三河を含む地域でも、体重を落としたい若年層や美容目的の利用者が、医療機関を通さず薬に手を出すリスクはある。
医薬品は、食品やサプリメントとは違う。
効き目が強い薬ほど、副作用や禁忌もある。
「痩せるらしい」
「SNSで買える」
「病院に行かなくていい」
こうした軽い感覚で使えば、体調不良が起きたときに原因が分からず、医療機関での対応が遅れる恐れがある。
また、本来治療が必要な糖尿病患者への供給に影響が出る可能性もある。美容目的や自己判断による需要が膨らめば、必要な人に薬が届きにくくなる懸念もある。
今回の問題は、単なるSNS取引の話ではない。
医療用医薬品が、ダイエット商材のように流通していること。
処方薬が、個人間で気軽に売買されていること。
健康被害と法的リスクが、十分に理解されないまま拡散していること。
そこに危うさがある。
編集部まとめ
糖尿病治療薬「マンジャロ」や「リベルサス」をめぐり、SNS上で不正取引を疑う投稿が急増している。
これらは医師の診察と処方が必要な医療用医薬品であり、個人間売買には薬機法違反の恐れがある。
ダイエット目的で安易に使えば、低血糖、胃腸障害、栄養不足、筋肉量低下などの健康被害につながる可能性がある。
体重管理や生活習慣の改善を考える場合は、SNSで薬を探すのではなく、医療機関や薬局に相談する必要がある。
医薬品を「痩せ薬」として扱う投稿を放置すれば、健康被害と違法取引の両方が広がりかねない。
行政、医療機関、薬局、SNS事業者による監視と注意喚起が急務だ。
Q1. 何が問題になっていますか?
糖尿病治療薬「マンジャロ」や「リベルサス」などについて、SNS上で不正取引を疑う投稿が相次いでいることです。
Q2. なぜ個人間売買が危険なのですか?
医師の診察や用量管理がないまま使用することになり、副作用や健康被害に気づくのが遅れる恐れがあります。薬機法違反に問われる可能性もあります。
Q3. ダイエット目的で使うと何が危険ですか?
低血糖、胃腸障害、栄養不足、筋肉量低下などのリスクがあります。体質や持病、服用中の薬によっては、重い健康被害につながる可能性もあります。
Q4. どうすればよいですか?
SNSで薬を探さず、医療機関や薬局に相談することが必要です。処方薬は、医師の判断と管理のもとで使用するものです。

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