AIを教育現場でどう扱うのか。
山梨県内の公立小中学校では慎重な姿勢が目立っていましたが、甲府市教育委員会は今年度2学期から、市内の全学校でAIを活用した授業を可能にする方針を決めました。
背景にあるのは、子どもたちの間でAI利用がすでに広がっている現実です。授業で使わせない、端末のAI機能を制限するだけでは、子どもたちが学校の外でAIに触れる実態とのずれが大きくなっています。
甲府市は今後、AIを単に禁止するのではなく、正しい使い方やリスクを学校で指導する方向にかじを切ります。
私立校ではすでにAI活用 発音練習や教科学習に利用
山梨県内では、すでにAIを授業に取り入れている学校もあります。
駿台甲府小学校では、5年以上前からAIを授業で活用。英語の授業では、児童がタブレット端末に向かって発音し、その発音が正しいかをAIが判定する取り組みが行われています。
AIの活用は英語だけにとどまらず、国語や算数など、複数の教科で進められているということです。
駿台甲府小の小西静穂校長は、AIを何でも使えばよいという考えではなく、子どもたちが「何が自分に必要か」を選べるようになることが重要だとしています。
つまり、AIを便利な道具として使うだけでなく、いつ使うべきか、どこまで頼るべきかを判断する力を育てるという考え方です。
公立校では慎重論 悪用事例への懸念も
一方、公立の教育現場では、これまで慎重論が根強くありました。
授業でAIを活用しないだけでなく、貸与端末のAI機能をロックしている自治体もあります。
その背景には、AIの悪用への懸念があります。県内でも、生成AIを使って友人を中傷する画像を作らせるなどの事例が確認されているとされ、教育現場では「使わせること」への不安が広がっていました。
また、読書感想文やレポート、普段の課題に生成AIの回答をそのまま使って提出するようなケースも課題になっています。
学校側にとっては、AIを使うことで子どもの思考力が育ちにくくなるのではないか、学習評価が難しくなるのではないかという懸念もあります。
子どもたちはすでにAIを使っている
ただ、学校側の慎重姿勢とは別に、子どもたちの生活の中ではAI利用が進んでいます。
報道では、中学生が「いつも使っている。話し相手として相談に使ったり」と話し、小学生も「便利。クラスの半分くらいは使っていると思う」と答えています。
この実態は、教育現場にとって重要です。
学校がAIを禁止しても、子どもたちは家庭やスマートフォン、個人端末などを通じてAIに触れる可能性があります。
であれば、学校で扱わないままにするより、正しい使い方、危険な使い方、情報の見極め方を教える必要があるという考え方が出てきます。
甲府市は2学期から全学校でAI活用可能に
こうした状況を受け、甲府市教育委員会は今年度2学期から、市内の全学校でAIを活用した授業を可能にすることを決めました。
市は4月から各学校で教員向けの研修を行っており、2学期からの導入に向けて準備を進めています。
甲府市教育委員会の担当者は、生成AIをそのまま課題に使って提出するような事例もあったとしたうえで、正しい使い方を指導していくことが必要だと説明しています。
また、かつて携帯電話やスマートフォンについても「危険だから使わせない」という段階があったが、現在は安全に利活用する力をつけていく段階にある、という考えを示しています。
「AI禁止」ではなく「AIリテラシー教育」へ
今回の甲府市の方針は、教育現場がAIに対して「禁止」から「指導」へ移る動きといえます。
生成AIには、文章作成、調べ学習、発音練習、アイデア出し、個別学習の補助など、学習を支える可能性があります。
一方で、誤情報、著作権、個人情報、なりすまし、中傷画像の生成、課題の丸写しといったリスクもあります。
重要なのは、AIを使わせるか使わせないかの二択ではなく、どの場面で使い、どの場面では使わないのかを教えることです。
学校には、AIの便利さだけでなく、限界や危険性も含めたリテラシー教育が求められます。
南アルプス市も導入へ 山梨県内で広がる可能性
甲府市のほか、南アルプス市でも3学期からAI活用の導入を決めています。
今後、山梨県内の公立小中学校でも、AIをどう授業に取り入れるのか、自治体ごとの判断が広がる可能性があります。
ただし、導入にあたっては、教員側の理解や研修、保護者への説明、利用ルール、情報セキュリティ、児童生徒の発達段階に応じた使い分けが欠かせません。
AI教育は、単に新しいツールを入れるだけでは成り立ちません。
子どもたちがAIに使われるのではなく、AIを使いこなす力を育てられるかが問われています。
この件で分かっていること
甲府市は何を決めたのか
甲府市教育委員会は、今年度2学期から市内の全学校でAIを活用した授業を可能にする方針を決めました。
なぜAI活用に踏み切るのか
子どもたちの間ですでにAI利用が広がっており、禁止するだけではなく、正しい使い方を学校で指導する必要があると判断したためです。
これまで公立校ではなぜ慎重だったのか
生成AIを使った中傷画像の作成や、課題への不適切利用など、悪用への懸念があったためです。また、思考力や学習評価への影響を心配する声もありました。
すでにAIを使っている学校はあるのか
駿台甲府小学校では、5年以上前からAIを授業に活用しています。英語の発音判定のほか、国語や算数などでも利用が進められています。
甲府市はどのような準備をしているのか
市は4月から各学校で教員向けの研修を行っており、2学期から全学校でAIを使った授業が可能になるよう準備を進めています。
今後の焦点は何か
AIをどの教科・どの場面で使うのか、児童生徒の発達段階に応じたルールをどう作るのか、誤情報や悪用をどう防ぐのかが焦点になります。
まとめ
甲府市の公立小中学校では、今年度2学期からAIを活用した授業が可能になります。
これまで公立校では慎重論が目立っていましたが、子どもたちのAI利用がすでに広がる中、学校で正しい使い方を教える必要性が高まっています。
AIは、学習を支える便利な道具になる一方で、誤情報、中傷、課題の丸写しなどのリスクもあります。
甲府市の方針転換は、教育現場がAIを「禁止するもの」から「使い方を教えるもの」として捉え直す動きといえます。
今後、山梨県内のほかの自治体でも、AI教育の導入とルールづくりが進む可能性があります。
本記事は報道内容をもとに構成しています。教育現場でのAI活用については、今後の自治体方針や学校ごとの運用により内容が変わる可能性があります。続報が入り次第、追記・更新します。
担当記者:松本
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