小学館は8月3日、漫画配信アプリ「マンガワン」で起きた原作者起用問題について、第三者委員会による調査報告書を公式サイトで公表した。
問題となったのは、性加害事件で逮捕歴のある漫画家を、別名義で新連載の原作者に起用していた件。第三者委員会は、社内で被害者保護を含む人権意識が十分に浸透していなかったことに加え、編集権を重視するあまり、管理部門や経営側による牽制機能が十分に働かなかったと指摘した。
小学館は報告書の公表に合わせ、被害を受けた人たちに公式に謝罪。調査結果を厳粛に受け止め、再発防止策を進める方針を示した。
別名義で新連載の原作者に起用
第三者委員会の報告書によると、マンガワン編集部は、過去の性加害事件に関する経歴を把握しながら、対象となった漫画家を別名義で新連載の原作者に起用していた。
編集部側に作家の再起を図る意図があった可能性が指摘されている一方、報告書は、被害を受けた人への配慮や、起用によって生じる人権上・企業倫理上のリスクについて、十分な検討が行われていなかったと結論づけた。
別名義での起用についても、会社としての説明やリスク管理が不十分だったとされた。
編集権を重視し、組織的な審査が機能せず
報告書は、編集権を強く尊重する社内文化のもと、人権や法務、企業の信用に関わる重大案件についても、管理部門への正式な相談や組織的な審査が行われなかったと指摘した。
作品内容や作家、原作者の起用について、編集部や編集長の専門的判断を尊重する考え方が強く、管理部門も編集側の判断へ積極的に関与しにくい状況があったという。
その結果、会社全体でリスクを共有し、必要に応じて起用や連載を見直す牽制機能が十分に働かなかったと分析している。
「人権意識が十分でなかった」
第三者委員会は、小学館において表現の自由や編集権を尊重する意識が強い一方、被害者保護や人権侵害の防止に関する意識が十分に浸透していなかったと指摘した。
作家の起用や創作活動の継続を判断する際には、被害者への配慮、再被害の可能性、企業としての社会的責任などを含め、組織的に検討する必要がある。
今回の事案では、こうした視点を判断過程へ取り込む仕組みが不十分だったとされた。
小学館が公式に謝罪
小学館は報告書の公表に合わせ、「当社において発生した事案にて被害を受けられた方々に心よりお詫び申し上げます」と公式に謝罪した。
あわせて、第三者委員会が認定した事実と指摘を厳粛に受け止める姿勢を表明。人権教育の強化、管理部門の関与、重要案件を組織的に審査する仕組みの整備など、再発防止に取り組む方針を示した。
編集部まとめ
第三者委員会の報告書は、一部の編集者による判断の問題にとどまらず、編集権を重視するあまり、重大な問題を会社全体で検討し、必要に応じて停止する仕組みが十分に機能しなかったという組織的な課題を浮き彫りにした。
編集の独立性を保ちながら、被害者への配慮や人権上のリスクを意思決定へどのように組み込むかが、今後の再発防止策の重要なポイントとなる。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
本記事は2026年8月3日に小学館が公表した第三者委員会の調査報告書と公式発表を基に構成しています。被害を受けた人や関係者の特定、誹謗中傷、プライバシー侵害につながる行為は控える必要があります。
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