X(旧ツイッター)上で、15年以上前の犯罪歴を実名で公開され続けているのはプライバシーの侵害だとして、男性がX社に投稿を表示しないよう求めた訴訟で、東京地裁は25日、2つの投稿を非表示にするよう命じました。
判決によりますと、男性は過去に駅員への傷害容疑で逮捕されました。
X上では、この事件を報じたニュース記事を引用する形で、男性の氏名や当時の勤務先を明らかにする投稿が残り続けていたということです。
東京地裁の神吉康二裁判官は、男性が勤務先を自主退職し、婚約も破談になったことなどから、投稿によって一定の不利益が生じていると指摘しました。
そのうえで、過去の犯罪歴が事実であることを認めつつも、15年以上前の事件を現在も実名で公表し続ける社会的な意義は乏しいと判断しました。
裁判所は、男性の犯罪歴を公表しないことによって守られる法的利益の方が高いとして、X社に対し、問題となった2つの投稿を非表示にするよう命じました。
今回の判決で重要なのは、投稿内容が完全な虚偽だったから削除が命じられたわけではない点です。
過去の犯罪歴が事実であっても、時間の経過や本人が受ける不利益、現在も実名で公表され続ける必要性などを踏まえ、プライバシー侵害と判断される場合があります。
インターネット上の投稿は、一度拡散されると長期間残り続けます。事件当時には報道として社会的関心があった情報でも、年月が経過した後に、本人の氏名や勤務先と結びついた形で検索・閲覧され続ければ、就職や結婚、社会生活に影響する可能性があります。
一方で、犯罪報道や過去の事件に関する情報には、公共性が認められる場合もあります。特に、重大事件、公職者、現在の業務と関係する事案などでは、過去の情報を知る社会的意義が残ることもあります。
そのため、過去の犯罪歴をめぐる投稿がすべて削除や非表示の対象になるわけではありません。
今回の判決は、15年以上前の事件について、実名や当時の勤務先を含む投稿が残り続けていたこと、男性に具体的な不利益が生じていたこと、現在も公表し続ける社会的意義が乏しいと判断されたことが重視されたとみられます。
ネット上では、事件報道や逮捕記事の引用が、時間の経過後も本人の人生に影響し続けることがあります。
「事実だから何を書いてもよい」のか。
「過去の犯罪歴は、いつまで実名で残されるべきなのか」。
今回の判決は、その線引きを改めて問うものです。
今後は、X社側が控訴するかどうかや、同様に過去の犯罪歴をめぐる投稿の非表示請求にどのような影響を与えるかが注目されます。
判決は確定したものではなく、控訴があれば上級審で判断が変わる可能性があります。
本記事は、裁判所の判決内容および各社報道を基に構成しています。今後、控訴の有無や上級審の判断により、内容が更新される可能性があります。
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