ポテチが白黒に カルビー、インク不足で14品のパッケージを2色化 中東情勢が食品棚の“色”を奪う

うすしお味、コンソメパンチ、のりしおも順次変更 味と品質は変わらず、安定供給を優先

スーパーやコンビニのスナック棚で、長く見慣れてきたカルビーのポテトチップスが、白黒の2色パッケージに変わり始める。

カルビーは5月12日、中東情勢の緊迫化に伴う一部原材料の調達不安定化を受け、「ポテトチップス」や「かっぱえびせん」「フルグラ」など合計14品について、パッケージに使う印刷インクの色数を従来仕様から2色に変更すると発表した。

対象商品は、5月25日週から店頭で順次切り替えて販売される。商品の品質への影響はない。目的は、パッケージ資材の調達が不安定になる中でも、商品供給を止めないことだ。

「カラフルなポテチ袋」が店頭から変わる

カルビーのポテトチップスは、味ごとに色の印象が強い。

うすしお味の青、コンソメパンチの赤、のりしおの緑。消費者は商品名を読む前に、袋の色で味を判別してきた。

その定番商品が、当面は白黒を基調にしたパッケージへ切り替わる。店頭では、従来のカラーパッケージがなくなり次第、順次2色版が並ぶ見通しだ。

対象には、ポテトチップスうすしお味、コンソメパンチ、コンソメWパンチ、のりしお、堅あげポテトうすしお味、堅あげポテトブラックペッパー、かっぱえびせん、フルグラなどが含まれる。

いずれも、日常的に買われてきた定番商品だ。だからこそ、変更の印象は大きい。

中身の味も品質も変わらない。それでも、食品棚の見た目は変わる。今回の措置は、値上げや休売ではない一方で、消費者が店頭で中東情勢の影響を実感する異例の出来事になっている。

理由はナフサ由来のインク材料不足

背景にあるのは、ナフサをめぐる供給不安だ。

ナフサは、原油からつくられる石油化学製品の基礎原料で、プラスチック、包装資材、印刷インク、溶剤など幅広い製品に使われる。

中東情勢の緊迫化で、ナフサやナフサ由来の原材料の調達が不安定になり、食品パッケージにも影響が出ている。

カルビーは、地政学リスクを含む事業環境の変化に対応し、安全・安心な商品を届けるための当面の対応策として、インクの色数を減らす判断をした。

派手なパッケージを維持するよりも、商品を切らさないことを優先した形だ。

ポテチの袋から色が減る。これは単なるデザイン変更ではない。原材料、物流、包装資材、国際情勢が、ひとつの食品パッケージにまでつながっていることを示している。

7月予定の「サワークリーム風味」も発売中止に

影響は既存商品のパッケージだけではない。

報道によると、カルビーでは7月に予定されていた「サワークリーム風味」商品の発売も中止されるという。

新商品は、パッケージデザイン、印刷、販促、店頭展開まで準備が必要になる。インクや資材の調達が不安定な中で、新しい商品を予定通り展開するよりも、定番商品の供給を優先したとみられる。

これは、消費者にとっては「新商品が出ない」という小さな変化に見えるかもしれない。

しかし食品メーカー側から見れば、企画、製造、営業、小売との調整に影響する。パッケージ資材の不足は、見た目だけでなく、商品計画そのものにも及ぶ。

カゴメ、日清製粉ウェルナにも広がる

同じような動きは、他の食品メーカーにも出ている。

カゴメは「カゴメトマトケチャップ」の一部商品で、外袋の印刷部分を減らし、透明部分を増やしたデザインへ切り替える。白インキの原料供給が不安定になっているためだ。

対象は500グラム、300グラム、180グラムの計3商品。従来は白地に赤いトマトのイラストが並ぶデザインだったが、今後は印刷量を抑え、中身の赤が見える外袋になる。

日清製粉ウェルナも、「マ・マー スパゲティ」などで使う印刷入り結束テープを、順次、印刷のない無地のテープへ変更する。そばやそうめんなどの乾麺に使われる結束テープにも同様の影響が出る。

つまり、今回の変化はポテチだけではない。

ケチャップの袋、パスタの結束テープ、豆腐パック、食品フィルム。これまで消費者が意識してこなかった包装資材が、国際情勢の影響を受け始めている。

売り場の“色”は供給安定のために削られる

食品のパッケージは、単なる袋ではない。

商品を守る。味を伝える。ブランドを識別させる。売り場で目立たせる。消費者に「いつもの商品だ」と認識させる。

その役割を考えると、カルビーが主力商品の色数を減らす判断は軽くない。

ただし、今回の選択は、後ろ向きな縮小ではなく、供給を守るための現実的な対応だ。カラフルな袋を維持して商品が欠品するより、見た目を抑えてでも店頭に並べ続ける。企業としては、その判断になった。

消費者の反応は分かれる。

「白黒のポテチは寂しい」と感じる人もいる。
「味が同じなら問題ない」と受け止める人もいる。
「むしろ今しか見られないパッケージ」と話題にする人も出るだろう。

ただ、どの反応にも共通するのは、ポテチの袋が日常に深く入り込んでいるという事実だ。

中東情勢は食卓まで届いた

今回の件が示しているのは、地政学リスクが遠いニュースではないということだ。

中東情勢の緊迫化は、ガソリン価格や物流費だけに影響するわけではない。石油由来の原材料を使う包装資材、印刷インク、フィルム、容器にも波及する。

その影響が、国民的スナックの袋にまで届いた。

ポテトチップスの中身は変わらない。うすしお味も、コンソメパンチも、のりしおも、味はそのままだ。

それでも、棚の色は変わる。

カラフルなパッケージが当たり前だった食品棚で、白黒のポテチ袋が並ぶ。これは一時的な措置にとどまる可能性もある。一方で、資材不足や原材料高が長引けば、食品業界全体で「色を減らす」「印刷を減らす」「透明化する」動きが広がる可能性もある。

日本の食卓は、価格だけでなく、見た目の面でも国際情勢の影響を受け始めている。

ポテチの袋が白黒になる。

その小さな変化は、食品メーカーが安定供給を守るために選んだ、現実的なサインでもある。

編集部まとめ

カルビーは、中東情勢の緊迫化に伴う一部原材料の調達不安定化を受け、ポテトチップスやかっぱえびせん、フルグラなど合計14品のパッケージを、従来仕様から白黒2色印刷へ順次切り替える。

対象商品は5月25日週から店頭で順次切り替えられる。味や品質に変更はなく、目的は商品の安定供給だ。

今回の背景には、ナフサ由来の印刷インクや包装資材の供給不安がある。カルビーだけでなく、カゴメはトマトケチャップの外袋を透明化し、日清製粉ウェルナはパスタや乾麺の結束テープを無地化する。

ポテチの白黒化は、単なるデザイン変更ではない。中東情勢、石油化学原料、印刷インク、食品包装がつながり、日本の食品棚にまで影響が及んだ事例といえる。

記事のポイントQ&A

Q1. カルビーのポテトチップスはなぜ白黒パッケージになるのですか?

中東情勢の緊迫化に伴い、印刷インクなどに関わる一部原材料の調達が不安定になっているためです。カルビーは、商品の安定供給を優先し、対象商品のパッケージに使う印刷インクの色数を2色に変更します。

Q2. いつから切り替わるのですか?

2026年5月25日週から、店頭で順次切り替わります。従来のカラーパッケージ在庫がなくなり次第、白黒2色版へ変わるとみられます。

Q3. 対象商品は何ですか?

ポテトチップスうすしお味、コンソメパンチ、コンソメWパンチ、のりしお、堅あげポテトうすしお味、堅あげポテトブラックペッパー、かっぱえびせん、フルグラなど、合計14品です。

Q4. 味や品質は変わりますか?

変わりません。カルビーは、今回の対応はパッケージ仕様の変更であり、商品の品質への影響はないとしています。

Q5. なぜナフサ不足がポテチの袋に影響するのですか?

ナフサは石油化学製品の基礎原料で、印刷インク、溶剤、プラスチック、包装資材などに使われます。ナフサ由来の原材料が不安定になると、食品パッケージの印刷にも影響します。

Q6. 他の食品メーカーにも影響はありますか?

あります。カゴメはトマトケチャップの外袋を透明化し、日清製粉ウェルナはパスタや乾麺の結束テープを無地化します。食品包装全体に影響が広がっています。

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