アイスクリーム商品の希望小売価格をめぐり、大手製菓会社などが価格改定の時期や値上げ幅を事前に共有し、足並みをそろえて値上げしていた疑いがあるとして、公正取引委員会は16日午前、独占禁止法違反、不当な取引制限の疑いで、明治、ロッテ、森永製菓、森永乳業、江崎グリコ、赤城乳業の6社に立ち入り検査に入った。
アイス業界でカルテルをめぐる公取委の調査は初めてとみられる。
物価高が続く中、各社が値上げを繰り返していたアイス商品をめぐり、価格改定が適正な競争の中で行われていたのかが問われることになる。
立ち入り検査を受けた6社
立ち入り検査を受けているのは、次の6社。
明治
ロッテ
森永製菓
森永乳業
江崎グリコ
赤城乳業
いずれも全国のスーパーやコンビニなどで販売される市販向けアイスを扱う大手企業だ。
公取委は、各社が低価格帯の市販向けアイス商品の希望小売価格について、値上げ幅や価格改定時期などの情報を交換していた疑いがあるとみている。
数年前から会合やメールで情報交換か
関係者によると、6社の担当者や幹部らは、遅くとも数年前から会合を開いたり、メールなどで連絡を取り合ったりしていた疑いがある。
低価格帯のアイスを中心に、希望小売価格を10円から20円単位で引き上げる際、各社が価格改定の時期や上げ幅を調整していた可能性があるという。
公取委は、各社が足並みをそろえて値上げすることで、売り上げ減少や企業イメージの悪化を避けようとした可能性があるとみて、資料の分析や関係者への聞き取りを進める方針だ。
希望小売価格の値上げは消費者価格にも影響
今回の焦点は、単にメーカー同士が情報交換をしていたかどうかだけではない。
希望小売価格が上がれば、一般的に卸売価格や出荷価格にも影響し、スーパーやコンビニでの販売価格も上がりやすくなる。
つまり、カルテルがあった場合、消費者が本来よりも高い価格でアイスを購入していた可能性がある。
アイスは子どもから大人まで幅広く購入する身近な商品だ。数十円の値上げであっても、日常的に購入する家庭にとっては負担感につながる。
アイス市場は販売金額が過去最高 一方で販売量は減少
一般社団法人日本アイスクリーム協会によると、2025年度のアイスの販売金額はメーカー出荷ベースで6631億円となり、6年連続で過去最高を更新した。
一方で、販売物量は減少しており、同協会は価格改定などの影響で販売金額が伸びたと分析している。
つまり、アイス市場は「たくさん売れたから伸びた」というよりも、価格上昇によって販売金額が押し上げられた側面がある。
その中で、今回のカルテル疑いが浮上したことは、消費者にとっても無関係ではない。
「値上げそのもの」ではなく「競争をゆがめたか」が焦点
物価高や原材料費、人件費、物流費の上昇を背景に、企業が値上げを行うこと自体は珍しくない。
問題になるのは、各社が独自に判断して値上げしたのではなく、競合他社と価格改定の時期や幅を事前に調整していたかどうかだ。
独占禁止法は、事業者同士が価格や数量などを取り決め、自由な競争を制限する行為を禁じている。
今回の立ち入り検査では、アイス各社の値上げが正当な企業判断だったのか、それとも競争をゆがめるカルテルにあたるのかが調べられる。
週刊TAKAPIの視点
今回の問題は、「アイスが高くなった」という単純な話ではない。
物価高の中で値上げが続くこと自体は、多くの企業で起きている。
しかし、本来なら各社が競争の中で価格や販売戦略を決めるべきところ、競合他社同士で値上げ幅や時期を共有していた疑いがあるなら、消費者の選択肢は狭められる。
アイスは日常的な商品だ。
1個あたり10円、20円の違いでも、家庭や子どもにとっては身近な負担になる。
公取委の調査で、各社がどのような情報交換をしていたのか、価格改定と卸売価格・店頭価格がどう連動していたのか、消費者への影響がどこまであったのかが焦点となる。
今後の調査結果次第では、アイス業界全体の価格改定のあり方が問われることになりそうだ。
Q&A アイス大手6社カルテル疑いでわかっていること
Q. 何が起きたのですか?
アイス商品の希望小売価格をめぐり、大手6社が値上げ幅や価格改定時期を調整していた疑いがあるとして、公正取引委員会が立ち入り検査に入りました。
Q. 立ち入り検査を受けた会社は?
明治、ロッテ、森永製菓、森永乳業、江崎グリコ、赤城乳業の6社です。
Q. どのような疑いですか?
低価格帯の市販向けアイスについて、各社が会合やメールなどで価格改定の情報を交換し、希望小売価格の値上げ幅や時期を調整していた疑いです。
Q. 消費者には関係がありますか?
あります。希望小売価格が上がると、卸売価格や出荷価格、店頭価格にも影響する可能性があり、消費者が本来より高い価格で購入していた可能性があります。
Q. 値上げ自体が問題なのですか?
値上げそのものが問題なのではありません。競合他社同士で価格改定の時期や幅を調整し、自由な競争を制限していたかどうかが問題になります。
【記事情報】
執筆:週刊TAKAPI編集部
担当記者:松本
編集:成田
責任編集:たかぴ
確認:週刊TAKAPI編集部
本記事は、公正取引委員会の立ち入り検査に関する報道内容をもとに構成しています。現時点では疑いの段階であり、各社が独占禁止法に違反したと断定するものではありません。今後の調査結果により内容が変わる可能性があります。
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