病院で高齢患者に“日常的虐待” 元看護助手23歳が熱湯・棒で暴行か 動画共有し「反応が面白かった」

大阪市生野区の民間病院で元看護助手の男が高齢患者に熱湯や棒状の物で暴行したとして傷害罪と暴行罪で4回起訴された事件を伝えるシリアスな報道アイキャッチ

大阪市生野区の民間病院で、認知機能が低下した高齢の入院患者らに暴行を繰り返したとして、元看護助手の男(23)が傷害罪と暴行罪で計4回起訴されている。

起訴内容には、70代女性患者の指を熱湯に浸ける、加熱したパッドに手を押しつける、別の患者を蹴る、棒状の物で腹部を突くなどの行為が含まれる。

検察側は公判で、被告が患者の反応を面白がり、暴行の様子を撮影して同僚と共有していたと指摘した。被告は起訴内容を認めており、検察側は懲役2年を求刑している。

70代女性の指を熱湯へ 全治2週間のやけど

起訴状などによると、被告は看護助手として勤務していた2024年3月と2025年3月、70代の女性患者に暴行したとされる。

女性の右手小指を熱湯が入った計量カップに浸けたほか、加熱したパッドに左手のひらを押しつけ、いずれも全治約2週間のやけどを負わせたとして傷害罪に問われている。

被害を受けた女性は認知機能が低下しており、自ら危険を避けたり、被害を正確に説明したりすることが難しい状態だったとされる。

蹴る、コップを投げる、棒で腹部を突く

被告は2025年4月、同僚の男性職員と共謀し、別の70代女性患者にも暴行を加えたとして起訴された。

起訴内容では、女性の足や腹部を蹴ったほか、お茶の入ったコップを顔に投げつけ、棒状の物で腹部を突き、頭を複数回平手でたたいたとされる。

さらに同年5月には、90代の男性患者の頭に段ボール箱をかぶせてたたき、体を押して転倒させたとして暴行罪に問われている。

暴行の様子を撮影し同僚と共有

検察側は公判で、被告が2023年7月ごろから病院で勤務し、患者に暴力を振るって怒る様子を動画で撮影していたと指摘した。

撮影した動画は同僚と共有され、一部の行為には別の職員も関わったとされる。被告が同僚に暴行を指示したケースもあったという。

患者を守る立場にある職員の間で、暴行を止めるのではなく、患者の反応を面白がる空気が広がっていたとすれば、個人の逸脱だけでは片づけられない。

院内で異変を把握する仕組みや、職員が不適切な行為を通報できる体制が機能していたのかも問われる。

「周りと面白がり、日常になっていた」

被告は被告人質問で、患者に暴力を振るった理由について「反応を見て面白かった」と説明したとされる。

家庭や仕事上のストレスがあったとも述べ、暴行が続いた状況について、周囲と面白がるうちに日常化し、歯止めが利かなくなった趣旨の供述をしたという。

ストレスや職場環境は、抵抗や被害申告が難しい患者への暴力を正当化する理由にはならない。

深刻なのは、最初の暴行が止められず、複数の職員が動画を共有する段階まで行為が拡大したとされる点だ。

過去の勤務先でも患者への不適切行為

被告は以前勤務していた別の病院でも、患者にアルコールを吹きかける行為をして注意を受け、退職したと説明している。

過去の問題行動が採用先へ共有されていたのか、採用時や勤務開始後にどのような確認が行われていたのかは明らかになっていない。

看護助手は患者の移動や食事、排せつなど、日常生活に直接関わる機会が多い。採用時の確認だけでなく、勤務中の行動を把握し、異変を早期に察知する仕組みが必要となる。

検察は懲役2年を求刑

検察側は6月の公判で、認知機能が低下した被害者を守るべき立場にありながら、抵抗が難しい状況につけ込んだ悪質な犯行だとして、被告に懲役2年を求刑した。

被告は起訴内容を認めているが、刑事責任や量刑は裁判所が判断する。判決が確定するまでは被告として扱う必要がある。

病院側の内部調査や職員への処分、患者や家族への説明については、詳しい内容が明らかになっていない。

問われるのは「なぜ誰も止めなかったのか」

今回の事件で問われているのは、被告個人の暴力だけではない。

暴行を目撃した職員が報告できる環境はあったのか。管理者は患者のけがや職員の異常な行動を把握していたのか。動画を受け取った職員の中に、止めたり通報したりする人はいなかったのか。

被害者の多くは、自ら被害を訴えることが難しい高齢患者だった。

病院や介護施設では、患者の身体に不自然な傷がないか、職員の態度に変化がないか、家族からの相談が放置されていないかを継続的に確認する必要がある。

「一人の職員が起こした事件」で終わらせれば、同じ構造が別の医療現場で繰り返されるおそれがある。

編集部まとめ

今回の事件で最も重く受け止めるべきなのは、抵抗や被害申告が難しい高齢患者が、守られるはずの病院内で繰り返し暴行を受けたとされる点だ。さらに、行為が動画で撮影され、同僚間で共有されていたという検察側の指摘は、個人の暴走だけでなく、職場の倫理や監督体制そのものが機能していたのかを問う。

被告の刑事責任は裁判所が判断する。一方、病院側には、なぜ長期間発覚しなかったのか、他の職員は異変を把握していなかったのかを検証し、患者と家族へ説明する責任がある。二度と同じ被害を生まないため、内部調査の結果と具体的な再発防止策を明らかにする必要がある。

週刊TAKAPI編集部/成田(社会部特報班)

特記事項:本記事は起訴内容、公判での検察側の主張、被告人質問および各社報道を基に構成しています。被告の刑事責任は判決確定まで確定しておらず、病院側や関係職員について確認されていない情報は掲載していません。

Q大阪市生野区の病院で何が起きたのですか?
A元看護助手の男(23)が複数の高齢入院患者に暴行し、やけどなどを負わせたとして、傷害罪と暴行罪で計4回起訴されました。
Qどのような行為が起訴されていますか?
A70代女性患者の指を熱湯に浸ける、加熱したパッドに手を押しつける、別の患者を蹴る、棒状の物で腹部を突く、90代男性を押して転倒させるなどの行為です。
Q暴行の動画は撮影されていたのですか?
A検察側は、被告が患者の反応を撮影して同僚と共有していたと指摘しています。一部の行為には別の職員も関わったとされています。
Q元看護助手は起訴内容を認めていますか?
A被告は起訴内容を認め、「患者の反応を見て面白かった」「周囲と面白がるうちに日常になった」などと供述したとされています。
Q検察側の求刑は何年ですか?
A検察側は、抵抗が難しい高齢患者に対する悪質な犯行だとして、被告に懲役2年を求刑しています。

事件の要点

大阪市生野区の民間病院で、高齢の入院患者らに暴行したとして、元看護助手の男(23)が傷害罪と暴行罪で計4回起訴された。70代女性の指を熱湯に浸けてやけどを負わせたほか、患者を蹴る、棒状の物で腹部を突くなどの行為が起訴内容に含まれる。検察側は、被告が患者の反応を面白がり、暴行動画を同僚と共有していたと指摘。懲役2年を求刑している。

この記事に関する情報提供、現地写真・動画、関係者からの証言などをお持ちの方は、メール(info@108takapi.jp)、各種SNSのDM、または公式LINEまでお寄せください。週刊TAKAPI編集部が内容を確認のうえ、取材・報道の参考とさせていただきます。  

リアルタイム
サイト訪問者数
49

コメント

0件

まだコメントはありません。最初のコメントを投稿してみませんか。

コメントを投稿する

名前は空欄でも投稿できます。その場合は「匿名」と表示されます。