大分県立の特別支援学校で、登校時のスクールバスに小学部の児童1人が約50分間取り残されていたことが分かった。
児童は座席で眠っており、運転手が降車確認をしないままエンジンを停止。バスには鍵がかけられた。約50分後、ハザードランプの点滅に気づいた教員が車内を確認し、児童を発見した。
児童にけがや体調不良はなく、健康状態に問題はなかった。県教育委員会は「命に関わる重大な事故につながりかねない」として、再発防止を進める。
児童がいないと気づくも「遅れて登校」と思い込み
県教委によると、事案が起きたのは6月17日午前。
スクールバスが学校に到着した際、児童は座席で眠っていたが、運転手は児童が残っていることに気づかず、車両を施錠した。
学校側は児童が登校していないことを把握し、保護者へ電話をかけたものの連絡がつかなかった。その後、「遅れて登校するのではないか」と考え、玄関で待っていたという。
児童の所在を確認するより先に、遅刻と判断した学校側の対応も問題となっている。
安全装置の停止ボタンを運転席付近に
スクールバスには、車内への置き去りを防ぐ安全装置が設置されていた。
本来はエンジン停止後に警報音が鳴り、運転手が車内後部まで歩いて確認したうえで、後方にある停止ボタンを押す仕組みだった。
しかし、運行を委託された業者の運転手は、停止ボタンを運転席付近に置いていた。車内後部まで確認せず、手元で警報を止められる状態にしていたことになる。
運転手は今年1月の業務開始当初、決められた手順で確認していたが、「音に敏感な児童がいる」などの理由から、停止ボタンを手元に置く運用が常態化していたという。
安全装置が設置されていても、確認手順が省略されれば機能しない。今回の事案では、装置そのものより、運用の形骸化が重大な問題として浮かび上がった。
ハザードランプに教員が気づき救出
児童が発見されたきっかけは、バスのハザードランプだった。
車内に残された児童が自ら操作したとみられ、点滅に気づいた教員がバスへ向かい、車内にいる児童を発見した。
当時の県内の最高気温は24.7度だった。健康被害は確認されなかったものの、気温や発見までの時間によっては、重大な結果につながる危険があった。
児童自身の行動が発見につながった一方、学校と運行業者の確認体制は機能しなかった。
県教委が抜き打ち点検へ
大分県教委の山田雅文教育長は、今回の事案について「命に関わる重大な事故につながりかねない。大変深刻に受け止めている」と述べた。
県教委は6月29日、スクールバスを使用する県内の特別支援学校に対し、安全装置の適切な運用や降車確認の徹底を求める通知を出した。
さらに9月には、運行現場で決められた手順が守られているか、抜き打ちで安全点検を行う方針だ。
編集部まとめ
今回の問題は、運転手1人の確認不足だけでは終わらない。
安全装置の停止ボタンを手元に移した不適切な運用、児童が登校していないにもかかわらず所在確認を徹底しなかった学校側、運行業者と学校の情報共有不足が重なった。
安全装置は、設置するだけでは児童を守れない。最後部まで歩いて確認する手順と、児童が教室にいない場合に直ちに所在を確認する体制が守られて初めて機能する。
けががなかったことを結果として受け止めるのではなく、重大事故の一歩手前だった事案として検証する必要がある。
週刊TAKAPI編集部/松本
特記事項:本記事は、大分県教育委員会の発表と関係報道を基に構成しています。児童が通う学校名など、個人の特定につながる情報は公表されていません。
安全装置があっても児童を守れなかった理由
今回の問題では、安全装置そのものが故障していたのではなく、決められた確認手順が省略されていました。運転手が車内後部まで移動せず、停止ボタンを手元で操作できる状態にしていたためです。さらに、児童が教室にいないと分かった後も、学校側は所在確認を徹底せず、遅れて登校すると判断しました。安全装置、降車確認、出欠確認の三つが機能しなかったことで、児童は約50分間バス内に取り残されました。
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