アパレル大手のオンワードホールディングスは4日、熊本県嘉島町のイオンモール熊本で発生した爆発事故を巡り、死亡した従業員3人の行動経過と社内調査の結果を公表した。
3人は地震発生後に一度、施設外へ避難していたが、貴重品を回収するため店舗へ戻っていた。会社側は、緊急時の対応指示が十分ではなかったとして「深く反省している」と表明。安全管理上の問題を認め、指導体制を見直す方針を示した。
午後4時33分、3人の屋外避難を確認
オンワードによると、7月28日の地震発生後、福岡市内にいた営業担当者が午後4時33分、イオンモール熊本で勤務していた従業員3人と電話で連絡を取った。
この時点で、3人が施設の外へ避難していることを確認していた。
ところが、約46分後の午後5時19分、従業員側から再び連絡が入った。3人は貴重品を取りに店舗へ戻ったことを伝えたうえで、「ほかにやることがあるか」と営業担当者に確認した。
担当者は、すぐに施設の外へ出るよう指示した。
爆発14分前「店舗から出るところ」
午後5時36分、営業担当者が状況を確認すると、従業員から「店舗から出るところだ」との返答があった。
その約14分後となる午後5時50分ごろ、イオンモール熊本で爆発が発生。以降、3人との連絡は途絶えた。
警察からオンワードへの説明では、3人は7月30日夜までに、施設1階南側の出入り口付近で発見された。それぞれが個人の荷物を所持していた。
一度は避難を完了していた3人が、貴重品を回収するために再び館内へ入り、出口付近まで戻った段階で爆発に巻き込まれた状況が浮かび上がった。
会社が再入館を指示した事実は示されず
今回の公表内容では、オンワード側が3人に対し、店舗へ戻るよう指示した事実は示されていない。
従業員が再入館したことを担当者が把握した後は、直ちに外へ出るよう指示していた。
一方で、従業員から「ほかにやることがあるか」と確認する連絡が入っていたことから、非常時に業務を継続せず、身の安全を最優先するという判断基準が、現場に十分浸透していなかったことがうかがえる。
オンワードは、緊急時の安全確保に関する指導が不十分だったとして、会社としての責任を認めた。
問われる「避難後は戻らない」という原則
地震や火災、爆発の危険が残る施設では、一度避難した後に貴重品や業務上の物品を取りに戻る行為が、重大な二次被害につながるおそれがある。
今回の事故では、担当者が再退避を指示していたものの、従業員が再入館する前の段階で、それを防ぐ明確な指示や仕組みが機能していなかった。
緊急時の安全管理では、避難場所の指定だけでなく、避難完了後の再入館禁止、従業員の所在確認、管理者からの一斉指示、施設側との情報共有を具体的な手順として定める必要がある。
オンワードは今後、今回の調査結果を踏まえ、緊急事態における指導体制と安全管理の見直しを進める。
編集部まとめ
イオンモール熊本の爆発事故で死亡したオンワードの従業員3人は、地震後に一度は屋外へ避難していた。しかし、貴重品を回収するため店舗へ戻り、出口へ向かう途中で爆発に巻き込まれたとみられる。
会社が再入館を命じた事実は示されておらず、担当者は退避を指示していた。一方、従業員が非常時にも次の業務を確認していた事実は、身の安全を最優先する指針が現場まで徹底されていなかった可能性を示している。
今回の教訓は、避難を指示するだけでは不十分だという点にある。「一度避難したら、いかなる理由でも戻らない」という原則を、企業が明確な行動基準として定着させられるかが問われる。
週刊TAKAPI編集部/成田
特記事項
本記事は、2026年8月4日時点でオンワードホールディングスが公表した社内調査の内容と報道情報を基に作成しています。
爆発の直接的な原因や、施設全体の避難誘導、安全管理上の責任については、警察や消防などによる調査結果を待つ必要があります。
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