【熊本・人吉】48歳主幹級を停職4カ月、主席へ降任 842万円未払いの穴埋め目的で農地工事を予算化

熊本県人吉市が842万円の工事代金未払いを巡る不適正な事務処理などで48歳主幹級職員を停職4カ月とし主席へ降任した事案

熊本県人吉市は9月16日、2024年に発生させた842万円の工事代金未払いを穴埋めする目的で、再整備の要望がない農地の工事を独断で予算化するなどしたとして、復興建設部の48歳主幹級職員を停職4カ月の懲戒処分とした。

市はさらに、この職員を主幹級から主席へ降任する分限処分とした。熊本日日新聞によると、人吉市が分限処分を行うのは初めてという。

問題となった工事には806万円が支払われ、市はこのうち419万円分を「本来は必要のない工事だった」とみている。職員は今年5月にも、正規の手続きをせず業者へ工事を口頭発注し、842万円の未払いを発生させたとして懲戒処分を受けていた。

2024年、口頭発注で842万円の未払い

問題の発端となったのは、職員が経済部に勤務していた2024年の「七地地区農地復旧工事」。

市によると、職員は正規の手続きを経ず、建設業者に工事を口頭で指示した。その結果、842万円の工事代金が未払いとなった。市はこの未払い分について、すでに業者へ支払っている。

人吉市は5月20日、この不適正な事務処理を巡り、職員を減給10分の1・5カ月の懲戒処分としていた。

この5月の処分については、人吉市の公式公表資料でも確認できる。

842万円の穴埋め目的 要望のない農地工事を独断で予算化

9月16日の発表で新たに明らかになったのは、職員が842万円の未払いを補塡する目的で、再整備の要望が出ていない農地の工事を独断で予算化していたことだ。

職員は市の調査に対し、

「一部の農地だけを工事し、残る工事費で補塡するつもりだった」

との趣旨の説明をしているという。

当初想定していた業者が落札した後、工事の一部だけを実施し、残った工事費を842万円の未払い分に充てる意図だったとされる。

しかし実際の入札では、別の業者が落札した。

806万円を支出 市は419万円分を「本来は必要のない工事」と判断

別業者が落札した工事は実際に施工され、市は806万円を支払った。

この806万円のうち、419万円分について、市は「本来は必要のない工事だった」とみている

ここで重要なのは、419万円が法的な損害額として確定したわけではないことだ。

現時点で確認できた情報では、この419万円について市が返還請求や職員への求償を行うのかなど、公金上の取り扱いは明らかになっていない。

また、落札した業者は、未払い金の補塡を意図した予算であることを知らなかったとされる。

5月の処分後に再調査 異動後にも23万円の口頭発注

人吉市は5月の懲戒処分後、職員が関わった業務をさらに調べた。

その結果、2026年4月、復興建設部へ異動した後にも別の不適正な発注があったことが判明した。

市によると、職員は職務上の権限がないにもかかわらず、別の業者へ鹿目地区の農地表土を整地する工事を口頭で発注した。

工事は実施され、その後、業者から23万円の請求が出ている。

この23万円を市がどのように処理するのかについては、今回確認できた情報では明らかになっていない。

停職4カ月+主席へ降任 市では初の分限処分

人吉市は一連の行為を受け、48歳主幹級職員を9月16日付で停職4カ月とした。

さらに、主幹級から主席へ降任する分限処分を行った。

熊本日日新聞によると、人吉市が分限処分を行うのは今回が初めて。

停職4カ月は非違行為に対する懲戒処分で、主席への降任はそれとは別の分限処分となる。

両者は同じ「処分」でも法的な性質が異なるため、区別する必要がある。

当時の上司も処分 53歳課長級は停職1カ月

市は管理監督責任についても処分・措置を行った。

当時の上司だった経済部の課長級職員(53)を停職1カ月の懲戒処分とし、次長級職員(54)を訓告とした。

訓告は地方公務員法上の懲戒処分ではなく、人吉市の規程上、懲戒処分とは区別される措置となる。

このため、今回の3人について「全員が懲戒処分を受けた」とするのは正確ではない。

市「私的流用や業務上横領はない」刑事告訴しない方針

現時点で、48歳職員について逮捕、送検、起訴などの刑事手続は確認されていない。

熊本日日新聞によると、人吉市は**「私的流用や業務上横領はない」**として、刑事告訴しない方針を示している。

今回確認されているのは、人吉市内部の懲戒処分と分限処分であり、刑事事件として立件された事案ではない。

松岡隼人市長は、適正な事務処理の徹底や管理体制の見直しを進める考えを示し、自身の処分については議会に相談して決めるとしている。

編集部まとめ

人吉市は、2024年に発生させた842万円の工事代金未払いを補塡する目的で、再整備要望のない農地工事を独断で予算化するなどしたとして、48歳主幹級職員を停職4カ月とし、主席へ降任する分限処分も行った。

実施された工事には806万円が支払われ、市はこのうち419万円分を「本来は必要のない工事だった」とみている。5月の前回処分後の再調査では、異動後にも権限がないまま23万円分の工事を口頭発注していたことも判明した。

週刊TAKAPI編集部/成田

特記事項

本記事は2026年9月16日の人吉市発表を基にした熊本日日新聞などの報道と、人吉市が5月20日に公表した前回の懲戒処分資料を基に事実関係を整理しています。9月16日付の今回処分について、人吉市公式の個別公表資料は記事作成時点で直接確認できていません。

「842万円」は2024年の口頭発注によって発生した未払い額で、市はすでに当該未払い分を支払ったと報じられています。

「806万円」は今回問題となった別の農地工事で市が支払った金額で、このうち419万円分について市が「本来は必要のない工事だった」とみています。419万円が法的な損害額として確定したことを意味するものではありません。

停職4カ月は懲戒処分、主席への降任は分限処分です。また、次長級職員への訓告も地方公務員法上の懲戒処分とは区別しています。

人吉市は「私的流用や業務上横領はない」として刑事告訴しない方針と報じられています。現時点で逮捕、送検、起訴などの刑事手続は確認されていません。

Q48歳職員は何をしたとして処分されたのですか?
A2024年に発生させた842万円の工事代金未払いを補塡する目的で、再整備要望のない農地工事を独断で予算化するなどしたとされています。
Qどのような処分を受けましたか?
A停職4カ月の懲戒処分と、主幹級から主席へ降任する分限処分を受けました。
Q806万円すべてが不要な工事だったのですか?
Aいいえ。市は806万円の支出のうち419万円分を「本来は必要のない工事だった」とみています。
Qほかの職員も処分されましたか?
A当時の経済部課長級職員(53)が停職1カ月、次長級職員(54)が訓告となりました。訓告は地方公務員法上の懲戒処分ではありません。
Q刑事事件になっているのですか?
A現時点で逮捕、送検、起訴などは確認されていません。人吉市は「私的流用や業務上横領はない」として刑事告訴しない方針と報じられています。

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