豊橋市議会議員は、任期中に何をしてきたのか。
一般質問で何を取り上げたのか。市政の重要案件で何を問い、どんな判断を示したのか。そして議員活動のために交付される政務活動費を、どのように使ってきたのか。
公表資料から豊橋市議一人ひとりを読み解く、週刊TAKAPI「独自分析 豊橋市議を読む」。
第19回は、久保大司市議を取り上げる。
久保氏は現在1期目。昭和60年生まれで、二川町を住所とし、会派「まちフォーラム」に所属している。現在は同会派の副代表を務めるほか、福祉教育委員会の副委員長、「多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業」等に関する調査特別委員会の委員を務めている。本人の抱負として市議会は「働きやすい、暮らしやすい 街づくりをめざします」と掲載している。
1期目の久保氏を追うと、特徴的なのは扱うテーマの幅だ。
福祉。
産業。
防災。
市民病院。
そして豊橋市政最大級の争点となった新アリーナ。
さらに政務活動費を見ると、3年間で交付された315万円のうち、約228万円を使用。その使途では広報費と研修費への支出が目立つ。
では、質問したことは実際の「実績」と呼べるのか。
公開資料から検証する。
久保大司市議とは?1期目で「まちフォーラム」副代表
豊橋市議会の公式プロフィールによると、久保大司氏は現在1期目。
所属する「まちフォーラム」は3人の会派で、代表が及部克博市議、副代表が久保氏、星野隆輝市議が所属している。
現在の福祉教育委員会では副委員長。
さらに、新アリーナなどを調査する特別委員会にも所属している。
1期目で常任委員会の副委員長を務めていることは、議会内で一定の役割を担うようになったことを示す。
ただし、本シリーズでは役職そのものを「実績」とは評価しない。
重要なのは、
その役職を使って何をしたのか。
である。
福祉分野では「ダブルケア」を取り上げる
久保氏の議会活動で注目したいテーマの一つが、福祉だ。
2024年6月定例会の一般質問について、政務活動費公開資料に収録された久保氏の市政レポートでは、介護と育児を同時に担う「ダブルケア」など、複合的な課題を抱える家庭への支援体制を取り上げたことが確認できる。
ダブルケアは、
子育て。
親などの介護。
仕事。
家計。
といった複数の問題が一つの家庭に重なる。
行政も「介護だけ」「子育てだけ」という縦割りでは支援しづらい領域だ。
久保氏が掲げる「暮らしやすい街」という言葉を考えるうえでも、こうした複合課題に目を向けたことは一つの特徴といえる。
福祉教育委員会副委員長へ――今後は「質問」だけでなく審査する立場
そして現在、久保氏は福祉教育委員会の副委員長を務めている。
福祉・教育分野は、
子育て。
学校。
高齢者。
障害福祉。
保健・医療。
など、市民生活と直接結びつく行政分野が多い。
久保氏の場合、一般質問で福祉課題を取り上げた段階から、現在は委員会で関連議案や行政施策を審査する側へと役割が広がったことになる。
ただし、副委員長になっただけで福祉政策を実現したとは言えない。
今後は委員会で何を問い、行政へ何を求めたかまで追う必要がある。
2025年3月――「働きやすい街」を産業政策から問う
久保氏本人の抱負には、
「働きやすい、暮らしやすい街づくり」
とある。
その「働きやすい」に直結する質問が、2025年3月定例会で見られる。
久保氏は、
「第6次豊橋市総合計画後期基本計画における産業分野の現状認識と今後の方向性」
について一般質問した。
さらに、
「大規模災害発生後の本市の対応」
も取り上げている。
市議会だよりでは、久保氏の質問テーマとして、総合計画後期における労働力不足への対応が紹介されている。
人口減少局面では、企業誘致だけではなく、
働き手をどう確保するのか。
若者が豊橋に残る環境をどうつくるのか。
女性や高齢者、外国人材など、多様な人材が働ける都市にできるのか。
こうした問題は豊橋の産業政策そのものに関わる。
1期目の久保氏が、生活福祉だけではなく市全体の産業構造まで質問領域を広げていることが分かる。
2026年6月も「産業戦略」を継続して質問
この産業政策への関心は一度限りではない。
2026年6月定例会でも久保氏は、
「豊橋市の産業動向と産業戦略の推進について」
を一般質問している。
質問通告では、まず**「本市産業の特長と主な課題」**を問う構成だった。
2025年3月に総合計画の産業分野を取り上げ、翌2026年6月にも産業動向・産業戦略を質問している。
少なくとも公開されている質問テーマを見る限り、産業・雇用は久保氏が継続的に追っている政策分野の一つと評価できる。
大規模災害後に豊橋市はどう動く?防災にも目を向ける
2025年3月には、産業政策と並んで、
「大規模災害発生後の本市の対応」
も取り上げた。
大規模災害では、発災直後だけでなく、
行政機能の維持。
企業活動。
物流。
避難生活。
住宅。
医療。
復旧・復興。
など長期間にわたる対応が必要になる。
「働きやすさ」「暮らしやすさ」を掲げる久保氏にとって、災害後も都市機能を維持できるかという視点は、産業政策とも生活政策とも重なる。
豊橋公園・吉田城址の石垣修復も追及
久保氏は一般質問だけでなく、議案質疑にも立っている。
2025年1月29日の臨時会では、令和6年度補正予算について、
豊橋公園の吉田城址石垣修復
を質問した。
久保氏は、石垣修復について令和2年度に策定された長寿命化計画に基づく整備であることなどを踏まえ、補正予算の内容を確認している。
一見すると新アリーナとは別の話に見える。
しかし、豊橋公園全体が大きく変わろうとしている時期に、既存の文化財や公園施設をどう維持していくのかという視点も重要になる。
新アリーナ問題――久保大司市議は何を問うた?
久保氏の1期目で避けて通れないのが、新アリーナ問題だ。
2024年12月26日の市議会では、二つの住民投票条例案が議題となった。
久保氏はこの二つの条例案について、一問一答方式で提案者と市当局に質疑している。
質問はかなり細かい。
まず、
なぜ過去に見送った住民投票を、今回は改めて行おうとするのか。
条例の名称をなぜその表現にしたのか。
なぜ投票期日を60日と設定したのか。
など、条例設計そのものを確認している。
提案者側からは、市長選を経て市長側と議会側の民意に違いが生まれたとの認識や、市民に分かりやすくするため条例名を設定したこと、早期の結論が必要だとして最短期間を設定したことなどが説明された。
つまり久保氏は、単純に「新アリーナに賛成か反対か」を聞いたのではなく、
住民投票を実施する制度設計そのものを検証した。
新アリーナでの「判断」は質疑だけでは読めない
一方、久保氏の政治姿勢を評価するときは注意が必要だ。
議員が質問した内容だけから、
「推進派」
「反対派」
と決めつけることはできない。
何を質問したかと、最終的にどの議案へどう投票したかは別だからだ。
久保氏についても、新アリーナへの評価は、
議案質疑。
議決行動。
委員会活動。
特別委員会での発言。
を合わせて見る必要がある。
現在は新アリーナ関連の調査特別委員会委員でもあるため、今後は事業が継続する中で、議会側から事業費や運営をどう監視するのかが問われる。
住民投票後は市民病院の経営を追う
2025年9月定例会。
久保氏が取り上げたのは、
豊橋市民病院の経営だった。
市議会だよりによると、質問では市民病院の経営状況や収益的収支、財政健全化などを確認。
病床再編、高度急性期機能の強化、ICUなどの施設整備によって、どの程度の収入増を見込むのかという点にも踏み込んでいる。
市民病院は、医療という福祉的・公共的な使命と、病院事業としての持続可能な経営の両方が求められる。
現在、福祉教育委員会副委員長を務める久保氏を見るうえでも、この市民病院経営への質問は重要な材料になる。
政務活動費を検証――久保大司市議はいくら使った?
ここからは政務活動費を見る。
久保氏は1期目のため、現在の任期に対応する令和5年度から令和7年度までを整理する。
豊橋市議会が公開する収支報告書によると、令和5年度の交付額は99万円、精算額は69万5,857円、残額は29万4,143円だった。令和6年度は交付額108万円、精算額84万7,960円、残額23万2,040円。令和7年度は交付額108万円、精算額73万7,186円、残額34万2,814円となっている。
| 年度 | 交付額 | 使用額 | 返還額(収支差引残額) |
|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 99万円 | 69万5,857円 | 29万4,143円 |
| 令和6年度 | 108万円 | 84万7,960円 | 23万2,040円 |
| 令和7年度 | 108万円 | 73万7,186円 | 34万2,814円 |
| 合計 | 315万円 | 228万1,003円 | 86万8,997円 |
3年度を合計すると、
交付額315万円。
使用額228万1,003円。
返還額86万8,997円。
使用率は約**72.4%**となる。
交付額を毎年度使い切るタイプではないことが分かる。
政務活動費は何に使った?最大は「広報」と「研修」
さらに支出内容を見る。
令和5年度は、
調査研究費 16万430円
研修費 24万780円
広報費 22万2,187円
資料作成費 7万2,460円
だった。
令和6年度は、
調査研究費 11万5,730円
研修費 22万8,000円
広報費 50万260円
資料作成費 3,970円。
広報費だけで年度支出の半分以上を占めた。
令和7年度は、
調査研究費 7万2,765円
研修費 15万4,100円
広報費 47万2,290円
資料作成費 3万8,031円
となっている。
3年間の支出内訳――広報費が約119万円
3年間を合計すると、久保氏の政務活動費228万1,003円の内訳は次のようになる。
| 支出項目 | 3年間合計 |
|---|---|
| 広報費 | 119万4,737円 |
| 研修費 | 62万2,880円 |
| 調査研究費 | 34万8,925円 |
| 資料作成費 | 11万4,461円 |
| 合計 | 228万1,003円 |
広報費は全体の約52.4%。
つまり、久保氏が1期目で使った政務活動費の半分以上が広報費となる。
さらに研修費が約62万円。
調査研究費が約35万円。
この支出構造からは、
「調べる・研修する・その活動を市民へ伝える」
という使い方が中心になっていることが読み取れる。
市政レポートに一般質問を掲載――広報費の中身
令和6年度の公開資料には、久保氏の「市政レポート」も収録されている。
そこには2024年6月定例会で行った一般質問などが掲載され、ダブルケアをはじめとする政策課題を市民へ伝えている。
広報費が多いこと自体は問題ではない。
政務活動費では、議員活動を市民へ報告するための広報も認められている。
重要なのは、
何を質問したのか。
議案にどう向き合ったのか。
その結果、行政がどう答えたのか。
を有権者へ十分に説明しているかだ。
研修費約62万円――何を政策につなげたのか
一方、3年間で研修費は62万2,880円。
調査研究費を合わせると、約97万円になる。
ここは今後、さらに検証できる。
どの研修に参加したのか。
どこへ調査に行ったのか。
そこで得た知識を、
ダブルケア。
産業戦略。
大規模災害。
市民病院。
新アリーナ。
といった議会質問へどうつなげたのか。
政務活動費→調査・研修→質問→行政の変化
まで結びつけて初めて、政務活動費の成果を具体的に評価できる。
「質問が多い」だけでは実績にならない
久保氏は1期目ながら、複数のテーマを質問している。
福祉。
産業。
防災。
市民病院。
新アリーナ。
2026年6月にも産業戦略を質問しており、本会議で発言する機会は継続している。
ただし、
質問した=実績
ではない。
議員が質問することは仕事の一部だ。
本当に評価したいのは、
その質問によって制度が変わったか。
行政が新たな調査を始めたか。
予算へ反映されたか。
市民サービスが改善したか。
である。
1期目だからこそ見るべき「何を実現したか」
ベテラン議員とは違い、久保氏はまだ1期目だ。
市議会で長期間役職を積み上げてきたわけではない。
だからこそ評価軸はシンプルになる。
1期目の4年間で、どの政策を自分のテーマとして確立したのか。
久保氏の場合、現時点で比較的継続性が見えるのは産業政策だ。
2025年3月に総合計画の産業分野を質問。
2026年6月にも産業動向と産業戦略を取り上げた。
一方、福祉ではダブルケア。
医療では市民病院経営。
防災では大規模災害後の市の対応。
大きな政治争点では新アリーナ住民投票。
かなり広範囲を扱っている。
広く扱うことは強みか、それともテーマが分散しているのか
ここは評価が分かれる部分だ。
多様な市民課題を取り上げることは、市議として必要な姿勢でもある。
一方で、
「久保大司市議といえば、この政策」
と市民がすぐ連想できるほど、政策テーマが確立しているかは別問題だ。
産業政策を今後も継続して追うのか。
現在の福祉教育委員会副委員長という立場から、福祉・教育政策を強めていくのか。
それとも新アリーナ調査特別委員として大型事業の監視へ比重を置くのか。
1期目後半から次の任期に向けて、ここが注目点になる。
新アリーナでは「推進・反対」より、議会監視が問われる段階へ
新アリーナは住民投票を経て事業継続へ向かった。
現在、久保氏は新アリーナ関連の調査特別委員会に所属している。
今後は、
住民投票をどう評価したか。
という過去の議論だけではなく、
事業費は適正なのか。
物価変動による増額はどうなるのか。
交通問題は解消できるのか。
運営収支は現実的なのか。
契約内容に変更はないのか。
を議会側から監視することが求められる。
1期目で住民投票条例を細かく質疑した久保氏が、事業継続後の調査でも同じように具体的な数字や制度を追えるのか。
ここは今後の評価材料になる。
週刊TAKAPIの分析――「生活」と「経済」の両方を見る議員
久保大司市議の1期目を公開資料から追うと、一つの特徴が見える。
ダブルケアという家庭の問題を取り上げる一方で、
市全体の労働力不足や産業戦略を質問する。
大規模災害後の行政対応を取り上げる一方で、
市民病院の経営を問う。
新アリーナでは、条例そのものの制度設計を細かく確認する。
つまり、
「市民一人ひとりの生活課題」と「豊橋市全体の経営・産業課題」
の両方を扱うタイプの議員像が見える。
一方で、扱うテーマが広いからこそ、「何を実現した議員なのか」という政策成果は、より明確に示す必要がある。
久保大司市議の1期目の「実績」をどう評価する?
現時点で公的資料から明確に確認できるのは、
第一に、1期目から継続的に本会議質問を行っていること。
第二に、ダブルケアなどの福祉課題を取り上げ、現在は福祉教育委員会副委員長を務めていること。
第三に、産業政策を2025年、2026年と継続して質問していること。
第四に、新アリーナ住民投票条例で制度設計を細かく質疑したこと。
第五に、現在は新アリーナ等の調査特別委員会委員を務めていること。
そして第六に、1期目3年間の政務活動費315万円のうち約228万円を使用し、その半分以上を広報費へ充てていること。
これらは、久保氏が「何をしてきたか」を示す活動実績だ。
ただし「政策実績」はまだ検証途中
一方で、
ダブルケア支援がどう変わったか。
労働力不足対策でどんな政策が実現したか。
防災質問が行政計画へどう反映されたか。
市民病院経営への質問が何を改善したか。
まで確認しなければ、「政策実績」の最終評価にはならない。
1期目ということを考えれば、市政課題を掘り起こし、議会で質問する段階から、質問を具体的な政策変更につなげる段階へ進めるかが次の課題になる。
まとめ――久保大司市議は何をしてきた?
久保大司市議は現在1期目。
会派「まちフォーラム」の副代表を務め、福祉教育委員会副委員長、新アリーナ関連の調査特別委員会委員を務めている。
議会では、
ダブルケアなどの福祉課題。
産業政策と労働力不足。
大規模災害後の行政対応。
豊橋市民病院の経営。
新アリーナ住民投票条例。
などを取り上げてきた。
政務活動費は令和5年度から令和7年度までに315万円が交付され、使用額は228万1,003円。
そのうち広報費は119万4,737円で、支出全体の約52%を占めた。
質問や活動の幅は広い。
だからこそ次に問われるのは、
「その中から何を自分の政策として実現したのか」
だ。
1期目で議会質問を積み重ねた久保大司市議が、福祉教育委員会副委員長、調査特別委員という現在の立場から、具体的な市政の変化をどこまで生み出せるのか。
週刊TAKAPIでは今後も、一般質問、委員会発言、議決行動、政務活動費を追いながら、その1期目を検証していく。
※本記事は2026年8月時点で豊橋市・豊橋市議会が公開している議員名簿、役員名簿、一般質問通告、市議会会議録、市議会だより、政務活動費収支報告書・根拠資料をもとに構成しています。「実績」に関する評価部分は、公表資料から確認できる議会活動をもとにした週刊TAKAPIの分析です。政務活動費については、支出額の大小のみをもって議員活動の優劣や適否を評価するものではありません。
サイト訪問者数

コメント
0件まだコメントはありません。最初のコメントを投稿してみませんか。