豊川市のバリアフリー情報が、公共施設中心から民間施設へと広がります。
豊川市は2026年8月20日から、店舗や事業所などの民間施設を対象にバリアフリー情報の募集を開始しました。施設から提供された情報は、市が運用する電子地図「とよかわガイドマップ」に掲載されます。
これまで公共施設を中心に掲載してきたバリアフリー情報を、日常的に利用する店舗や事業所などにも広げることで、障害のある人や高齢者などが、外出先を選ぶ際の判断材料を増やす狙いがあります。
週刊TAKAPIでは8月27日、豊川市障害福祉課のスギモト氏に電話取材。現在の掲載施設数、民間施設のバリアフリー化率、改修を支援する助成制度、今後の課題について聞きました。
豊川市が8月20日から民間施設のバリアフリー情報を募集
今回の取り組みは、豊川市がこれまで公共施設を中心としてきたバリアフリー情報の対象を、民間施設まで拡大するものです。
対象となるのは、店舗や事業所など。民間施設側からバリアフリーに関する情報を提供してもらい、その情報を「とよかわガイドマップ」に反映していきます。
障害のある人や高齢者にとって、外出先の環境を事前に知ることは重要です。
「入口に段差はないか」
「車いすで入店できるか」
「トイレは利用できるか」
「手すりやスロープは設置されているか」
こうした情報を出かける前に確認できれば、外出への不安を減らすことにつながります。
豊川市は、公共施設だけではカバーできない部分を民間施設の情報で補い、バリアフリーマップを充実させていく考えです。
豊川市のバリアフリー施設は約170施設を掲載
現在、「とよかわガイドマップ」に掲載されているバリアフリー対応施設は、約170施設とのことです。
今回、民間施設からの情報提供を受け付けることで、今後はこの掲載数をさらに増やしていく方針です。
バリアフリー情報というと、行政施設や公共交通機関などをイメージする人も少なくありません。
しかし、実際の生活では、飲食店や商業施設、店舗など民間施設を利用する機会も多くあります。
そのため、公共施設だけでなく、「普段使う場所のバリアフリー情報」を増やすことには大きな意味があります。
なぜ豊川市は民間施設まで対象を広げた?
豊川市障害福祉課への取材では、今回の取り組みの背景として、障害のある人や高齢者が安心して外出できる環境を整える必要性が挙げられました。
公共施設だけでは、外出先のすべてをカバーすることはできません。
例えば、公共施設を利用した後に飲食店へ行く場合、目的地となる店舗の入口やトイレなどが利用できるかどうかは、利用者にとって重要な情報になります。
また、今回の取り組みは障害のある人や高齢者だけを対象としたものではありません。
ベビーカーを利用する人など、さまざまな理由で段差や設備の状況が気になる人にとっても役立つ情報になる可能性があります。
利用者からの具体的な要望が直接のきっかけではない
今回の取材では、「車いす利用者や高齢者などから具体的な相談が寄せられたことが、今回の取り組みのきっかけなのか」についても確認しました。
これについて豊川市は、利用者から特定の要望が多数寄せられたことが直接のきっかけではないと説明しています。
つまり、特定の店舗について「車いすで入れない」「トイレが使えない」といった相談が相次いだために始まった事業ではありません。
障害福祉の観点から、より使いやすい環境を整えるため、公共施設だけではなく民間施設の情報も集め、マップを充実させていくという考えです。
豊川市の民間施設、バリアフリー化率は何%?
今回の取材で特に気になったのが、豊川市内の民間施設がどの程度バリアフリー化されているのかという点です。
そこで豊川市に、市内の民間施設についてバリアフリー化率を把握しているのかを質問しました。
担当者からは、現時点で具体的な割合をすぐに示せる状況ではないとの回答でした。
さらに、今後、市内の民間施設を対象としてバリアフリー化率を調査する予定があるのかについても、「今のところ予定はない」とのことです。
これは今回の取り組みを考える上で重要なポイントです。
豊川市では、市内の民間施設全体を調査して「何%がバリアフリー化されている」と数値化するのではなく、まずは施設ごとの具体的な情報を集め、「とよかわガイドマップ」に反映していく方向です。
豊川市には民間施設向けのバリアフリー助成金もある
一方で、豊川市には民間施設などのバリアフリー化を後押しする助成制度があります。
今回の取材では、スロープや手すりの設置、トイレの改修、車いすの購入などが事例として挙げられました。
助成の分野は大きく、
①工事 ②物品購入 ③コミュニケーションツール
の3つに分かれています。
例えば施設にスロープを設置したり、手すりを取り付けたりする工事だけでなく、車いすなどの物品購入、コミュニケーションを支援するためのツールも対象となる場合があります。
ただし、バリアフリーに関係する工事や購入であればすべて助成対象になるわけではありません。
具体的な対象条件については、申請前に豊川市の制度を確認する必要があります。
豊川市のバリアフリー助成金、令和6・7年度で34件
この助成制度は、令和6年度から開始されています。
今回の取材で確認した令和6年度・令和7年度の実績は、
34件
助成金額:約390万円
となっています。
2年間で34件ということから、単純平均では年間17件程度の利用となります。
また、約390万円を34件で単純に割ると、1件当たりの平均は約11万5,000円です。
もちろん、これは平均値であり、実際の助成額は工事内容や購入する物品などによって異なります。
どんなバリアフリー改修に助成金が使われた?
豊川市への取材では、これまでの事例として、
- 車いすの購入
- 和式トイレから洋式トイレへの変更
- 手すりの設置
などが紹介されました。
これらは、施設を利用する人にとって身近なバリアフリー化と言えます。
特にトイレや手すりなどは、施設を利用できるかどうかに直結する設備です。
また、市のホームページでは助成制度を利用した施設・事業者の取り組みについて、一部の事例が紹介されています。
ただし、今回の取材では、掲載されている一覧に個別の助成金額までは掲載されていないとの説明がありました。
「とよかわガイドマップ」は随時更新できる
今回の民間施設情報募集で集められた情報は、「とよかわガイドマップ」に登録されます。
このマップは電子地図のため、施設から情報提供があれば、随時登録・修正できるのが特徴です。
紙の地図の場合、一度印刷してしまうと情報を変更することは簡単ではありません。
一方、電子地図なら、施設の設備変更や情報の修正にも対応しやすくなります。
そのため、今回の取り組みでは「掲載施設を増やすこと」だけでなく、新しい情報を継続的に更新できる仕組みであることも重要です。
豊川市の課題は「制度の周知不足」
豊川市に今後の課題について聞いたところ、担当者からは、「まだまだこの制度の周知ができていない」という説明がありました。
バリアフリー化のための助成制度が用意されていても、店舗や事業所の側が制度を知らなければ利用につながりません。
特に、小規模な店舗や事業所にとって、スロープや手すりの設置、トイレの改修などは費用面で負担になる場合があります。
そうした事業者に対して、「豊川市にはこうした助成制度がある」という情報をどこまで届けられるかが、今後のポイントになります。
編集部の考察|「バリアフリー化率」より先に「使える情報」を増やす
今回の豊川市の取り組みを取材して、編集部が注目したのは、バリアフリー化率の調査よりも、実際に利用できる施設情報を増やす方向に重点が置かれていることです。
例えば、「豊川市内の民間施設の30%がバリアフリー化されています」と数字が分かったとしても、自分が利用したい店舗が対応しているかどうかは分かりません。
利用者が本当に知りたいのは、
「自分が行きたい場所は利用できるのか」
という情報です。
その意味では、施設ごとの設備情報を「とよかわガイドマップ」に掲載することは、利用者目線では非常に実用的な取り組みと言えます。
一方で、情報提供が施設側の自主申告に頼る場合、情報が集まる施設と集まらない施設が出る可能性もあります。
今後は、単に「情報を募集しています」と呼びかけるだけでなく、商店会や事業者団体などとも連携し、より多くの民間施設を巻き込めるかが重要になりそうです。
バリアフリー化と情報発信、両方が必要
バリアフリーを考えるとき、スロープや手すりを設置するなど、設備面の整備に注目しがちです。
しかし、設備があっても利用者が知らなければ、外出時の安心にはつながりません。
例えば、車いすを利用する人が初めて訪れる店舗について、入口の状況やトイレの情報が事前に分かれば、訪問するかどうかを判断できます。
だからこそ、
「施設を整備する」
ことと、
「整備された情報を伝える」
ことの両方が重要です。
豊川市では助成制度によって施設側の取り組みを支援し、バリアフリーマップによって利用者側へ情報を届けるという、2つの方向から環境整備を進めています。
11月の豊川稲荷御開帳、市外からの来訪者にも情報を
今回の取り組みでは、豊川市民だけでなく、市外から豊川市を訪れる人への対応も意識されています。
豊川市では2026年11月に豊川稲荷の御開帳に関連する行事が予定されています。
こうした大きな行事では、市内だけでなく、市外から多くの人が訪れることが予想されます。
初めて訪れる街では、「どこなら安心して利用できるのか」という情報が特に重要です。
公共施設だけでなく、飲食店や店舗などの民間施設までバリアフリー情報が広がれば、観光やイベントで豊川市を訪れる人にも役立つ可能性があります。
豊川市が目指すのは「すべての人が安心して外出できる街」
今回の取材で、豊川市が掲げる方向性として明確だったのが、「すべての人が安心して外出できる街」という考えです。
障害のある人や高齢者にとって、外出先の環境が分からないことは、それだけで不安につながります。
「車いすで入れるか分からない」
「トイレが利用できるか分からない」
「段差があるか分からない」
こうした不安を少しでも減らすためには、施設側の設備整備と、利用者への情報提供の両方が欠かせません。
豊川市は、こうした環境を整えることで、市民だけでなく市外から訪れる人も含めて安心して暮らせる・訪れることができる街を目指しています。
豊川市のバリアフリーマップ、今後は「掲載数」がカギに
現在約170施設が掲載されている豊川市のバリアフリー情報。
今回の民間施設への拡大によって、今後どこまで掲載施設が増えるのかが注目されます。
ただし、重要なのは施設数だけではありません。
利用者が必要としているのは、具体的で分かりやすい情報です。
例えば、
- 車いす対応の入口があるか
- スロープがあるか
- 手すりがあるか
- トイレはどのような設備か
- 駐車場は利用できるか
- ベビーカーでも利用しやすいか
- 施設側にどのようなサポートがあるか
など、利用者が実際に知りたい情報が充実すれば、マップの価値はさらに高まります。
豊川市のバリアフリーマップはどこで見られる?
豊川市が運用する電子地図「とよかわガイドマップ」で確認できます。
豊川市のバリアフリー対応施設は何施設ある?
取材時点で、約170施設が掲載されているとのことです。
民間の店舗や事業所も掲載される?
はい。豊川市は2026年8月20日から民間施設のバリアフリー情報を募集しています。
豊川市にバリアフリー改修の助成金はある?
あります。工事、物品購入、コミュニケーションツールの3分野について助成制度があります。
豊川市のバリアフリー助成金は何件利用された?
令和6年度・令和7年度の2年間で、34件・約390万円の実績があります。
豊川市の民間施設のバリアフリー化率は何%?
今回の取材時点では、具体的なバリアフリー化率は確認できませんでした。また、現時点で市が民間施設全体のバリアフリー化率を調査する予定もないとのことです。
豊川市のバリアフリー施策の課題は?
豊川市は、制度の周知がまだ十分ではないことを課題として挙げています。今後、民間事業者に助成制度やマップへの情報提供をどこまで知ってもらえるかがポイントです。
まとめ|豊川市のバリアフリー情報が「公共」から「民間」へ
豊川市は2026年8月20日から、店舗や事業所などの民間施設を対象にバリアフリー情報の募集を開始しました。
現在、「とよかわガイドマップ」には約170施設が掲載されています。
今回の取り組みによって、今後は民間施設の情報も加わり、日常生活で利用する店舗や事業所についても、バリアフリー対応状況を確認しやすくなることが期待されます。
一方、豊川市内の民間施設全体のバリアフリー化率については、現時点で具体的な数値を把握しておらず、調査予定もありません。
その一方で、令和6年度から始まった助成制度では、令和6年度・令和7年度の2年間で34件、約390万円の実績があります。
今後のポイントは、
「民間施設の参加をどこまで増やせるか」
「バリアフリー情報をどこまで具体化できるか」
「助成制度の周知をどこまで進められるか」
の3点です。
バリアフリーは、設備を整えるだけで終わりではありません。
「利用できる場所が分かる」ことも、安心して外出するための重要な環境整備です。
公共施設から民間施設へ――。
豊川市のバリアフリー情報が今後どこまで広がり、市民や来訪者の外出への不安を減らせるのか。今後の取り組みに注目したいところです。
取材概要
取材日:2026年8月27日
回答者:豊川市 障害福祉課 スギモト氏
取材テーマ:民間施設のバリアフリー情報募集/とよかわガイドマップ/バリアフリー助成制度
※助成制度の対象条件・申請方法などは変更される場合があります。利用を検討する場合は、豊川市の最新情報をご確認ください。
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