【愛知県教委・同日2件処分】神守中32歳教諭を懲戒免職、岩津高65歳教諭は戒告 取材に個別回答せず

愛知県教育委員会が9月3日、県内の公立学校教員2人に対する懲戒処分を同日に発表した。

処分されたのは、津島市立神守中学校の32歳男性教諭と、岡崎市にある愛知県立岩津高校の65歳男性暫定再任用教諭。

神守中学校の教諭は、当時17歳だった女性とSNSで連絡を取り合い、18歳未満と知りながらみだらな行為をしたとして懲戒免職

一方、岩津高校の教諭は、生徒のスリッパやノートへの落書き、生徒に画鋲などを投げる行為、階段上から生徒の肩を押す行為などを繰り返したとして戒告となった。

さらに、神守中学校長は管理監督責任で文書訓告、岩津高校長は厳重注意となっている。

週刊TAKAPI編集部は今回の処分について愛知県教育委員会へ取材を行ったが、県教委教職員課は公表済みのWebページを案内した上で、「個別の質問に関するお答えはしておりません」と回答した。

教員本人の処分理由は公表されている一方、両校長の「管理監督責任」が具体的に何を指すのか、学校側がいつ問題を把握したのかなど、なお明らかになっていない点もある。

個別の2事案だけではなく、県教委が長年続けてきた不祥事防止策そのものが、現場でどこまで機能しているのか。

週刊TAKAPIが検証する。


9月3日に教員2人を処分 懲戒免職と戒告

愛知県教委が9月3日に公表した懲戒処分は2件だった。

学校 対象 処分 処分理由

津島市立神守中学校 32歳男性教諭懲戒免職

わいせつ行為

愛知県立岩津高校 65歳男性暫定再任用教諭 戒告

生徒への不適切な行為

さらに管理監督責任として、

神守中学校長は文書訓告

岩津高校長は厳重注意

となった。

2件は互いに関連する事案ではない。

内容も処分の重さも異なる。

ただし、同じ日に愛知県教委から2件の懲戒処分が公表され、いずれも学校長に管理監督責任を問う措置が取られた点は共通している。


津島市立神守中学校 32歳教諭を懲戒免職

懲戒免職となったのは、津島市立神守中学校の杉原啓貴教諭(32)。

県教委によると、2025年12月26日から2026年5月24日にかけ、当時17歳だった女性とSNSで連絡を取り合い、1対1で会うなどしていた。

さらに5月24日、安城市内のホテルで、相手が18歳未満であることを知りながらみだらな行為をしたと県教委は認定した。

県教委は「わいせつ行為」を理由として、9月3日付で懲戒免職とした。


神守中学校長も「文書訓告」

処分は教諭本人だけではない。

神守中学校長についても、県教委は管理監督責任を理由に文書訓告としている。

しかし、公表資料だけでは、

学校側がいつ事案を把握したのか。

教諭と女性とのSNS上のやり取りを学校として把握する機会はなかったのか。

校長について、具体的にどのような管理上の問題が認定されたのか。

といった詳細までは示されていない。


愛知県教委は「SNS」を以前から不祥事リスクとして警戒

今回の神守中学校の事案で注目されるのが、SNSを介した私的なやり取りだ。

愛知県教委はこれまでも、不祥事防止策の中で児童生徒との私的なSNS連絡を問題視してきた。

県教委の資料では、自校の児童生徒との私的なSNS上のやり取りを禁止し、SNSをきっかけとして教員と生徒の距離が不適切に近づくことへの警戒を繰り返している。

つまり今回の事案は、県教委自身が以前から重点的なリスクとして認識していた領域で起きたことになる。

問われるのは、ルールが存在していたかではない。

そのルールを現場でどう実効的に守らせていたのかだ。


岩津高校 65歳暫定再任用教諭は戒告

同じ9月3日。

愛知県立岩津高校の65歳男性暫定再任用教諭も懲戒処分を受けた。

処分は戒告

県教委が認定した行為は複数にわたる。


生徒のスリッパやノートに落書き 画鋲も投げる

県教委によると、5月7日の授業中、教諭は生徒のスリッパやノートへ油性マーカーなどで落書きをした。

さらに生徒へ、

画鋲

や、

画鋲を刺した消しゴム

を投げたとされている。

行為はこれだけではなかった。


階段上から生徒3人を押す 椅子ごと転倒させる行為も

6月5日と10日の清掃時間中には、階段を上ってきた生徒の両肩をつかんで恐怖心を与えたほか、階段上から生徒3人の肩を両手で押した。

さらに6月16日。

授業中、椅子の前脚を浮かせて座っていた生徒の肩を押し、生徒を椅子ごと転倒させたと県教委は認定している。

県教委は一連の行為を「不適切な行為」とし、戒告処分とした。


5月から6月まで複数回 なぜ途中で止められなかったのか

岩津高校の事案で特に気になるのは、一度きりの行為ではないことだ。

県教委の公表内容だけでも、

5月7日。

6月5日。

6月10日。

6月16日。

と、複数日にわたる。

ここで重要になるのが、

最初の行為を学校側はいつ把握したのか。

生徒や教職員から相談・報告はなかったのか。

途中で指導や注意は行われていたのか。

なぜ複数回の行為を早い段階で止められなかったのか。

という点だ。


岩津高校長は「厳重注意」

県教委は岩津高校長についても、管理監督責任を理由として厳重注意とした。

つまり県教委は、教諭本人の行為だけでなく、管理職側にも一定の責任があったと判断したことになる。

一方、公表資料だけでは、その管理監督責任の具体的な内容までは示されていない。


週刊TAKAPIが愛知県教委を取材 個別質問への回答は得られず

週刊TAKAPI編集部は今回の2件の懲戒処分について、愛知県教育委員会に取材した。

確認したかったのは、単に公表資料に記載された処分内容だけではない。

特に、

両校長の「管理監督責任」は具体的に何を指すのか。

学校側はそれぞれの事案をいつ把握したのか。

把握後、どのような対応を取ったのか。

県教委が行ってきた不祥事防止策を今回の事案を受けて見直す予定はあるのか。

といった点だ。

これに対し、愛知県教育委員会教職員課は週刊TAKAPIの取材に、

「本事案に関する公表内容については、教職員課webページを御覧ください。個別の質問に関するお答えはしておりません」

と回答した。

県教委から回答自体はあったものの、週刊TAKAPIが取材で尋ねた個別事項について具体的な回答は得られなかった。


「取材拒否」ではない しかし核心部分への説明は得られず

ここは正確に整理する必要がある。

県教委は、週刊TAKAPIからの取材そのものを無視したわけではない。

公表資料を確認するよう案内し、取材に対する回答は行っている。

一方で、

「個別の質問に関するお答えはしておりません」

として、具体的な質問には回答しなかった。

したがって、

「愛知県教委が取材を全面拒否した」

と表現するのは正確ではない。

ただ、公表資料では分からない核心部分について、今回の取材でも説明を得ることはできなかった。


「管理監督責任」とは具体的に何だったのか

今回、2人の学校長にはいずれも管理監督責任を理由とした措置が取られている。

神守中学校長は文書訓告。

岩津高校長は厳重注意。

ここで重要なのは、県教委自身が「管理監督責任があった」と判断している点だ。

それならば、

どの管理行為に問題があったのか。

校長が把握できる状況だったのか。

報告・相談体制に不備があったのか。

把握後の対応に問題があったのか。

具体的な理由が分からなければ、市民側は再発防止策の妥当性を検証することが難しい。


愛知県教委は不祥事防止を長年続けてきた

愛知県教委はこれまで、教員不祥事の防止を重要課題としてきた。

不祥事防止研修。

校内でのコンプライアンス研修。

管理職への研修。

チェックリスト。

児童生徒との私的SNSの禁止。

相談・報告体制の整備。

こうした対策を継続している。

県教委が何もしてこなかったわけではない。

問題は、その取り組みが実際の現場でどこまで不祥事の抑止につながっているのかということだ。


「研修をした」だけでは測れない

行政の不祥事防止策では、

研修を何回実施した。

何人が受講した。

資料を配布した。

通知を出した。

という数字が示されることが多い。

しかし、それは対策を「実施した」ことを示す数字であって、対策が効いたことを示す数字ではない。

本来見るべきなのは、

不祥事件数が減ったのか。

同種事案の再発率はどうなったのか。

早期発見までの期間は短くなったのか。

生徒からの相談が学校内で適切に共有されたのか。

管理職が問題を把握した後、速やかに対応できたのか。

といった実効性だ。


神守中では「SNS」、岩津高では「早期把握」が焦点

2件の内容は異なる。

神守中学校では、県教委自身が警戒してきたSNSを介した私的な関係が焦点になる。

岩津高校では、複数日にわたり繰り返された行為を学校がいつ把握したのかが重要になる。

そして双方で学校長に管理監督責任が問われた。

この事実を考えれば、今回の問題を教員本人だけの問題として終わらせることはできない。


週刊TAKAPIの視点|「誰を処分したか」だけでは再発防止にならない

懲戒処分を公表することは必要だ。

しかし、

「この教員を免職にした」

「この教員を戒告にした」

という結果だけを公表しても、それだけでは再発防止の検証にはならない。

むしろ重要なのは、

なぜ起きたのか。

なぜ途中で止められなかったのか。

学校側はいつ把握したのか。

管理職の責任は具体的に何だったのか。

同じことを防ぐため何を変えるのか。

という部分だ。

今回、週刊TAKAPIは県教委へ取材したが、公表資料以上の個別回答は得られなかった。

だからこそ、処分発表そのものだけでは見えない部分が残っている。


情報公開も「不祥事防止策」の一部ではないか

処分対象者や関係する生徒などのプライバシーを守ることは当然だ。

しかし、

学校がいつ問題を認識したのか。

どのような組織対応を取ったのか。

県教委が具体的にどの管理上の問題を認定したのか。

今後どの仕組みを変えるのか。

といった情報まで、すべて個人情報と同じように非公開にする必要があるとは限らない。

組織上の問題をどこまで説明するかは、行政の説明責任にも関わる。

県教委自身が両校長の「管理監督責任」を認定したのであれば、少なくともその意味を検証できるだけの情報提供が求められる。


「同日2件」が改めて問う愛知県教委の不祥事対策

9月3日に公表された2件は、それぞれ独立した事案だ。

同じ日に処分されたという理由だけで、

「愛知県の教員全体に問題がある」

と一般化することは適切ではない。

一方で、

愛知県教委が長年不祥事防止策を続けていること。

SNSを重大なリスクとして認識していること。

管理職を含む組織的対応を掲げていること。

その中で同日に2人の教員が懲戒処分となり、両校長にも管理監督責任が問われたこと。

これらもまた事実だ。

そして週刊TAKAPIの取材では、その管理監督責任の具体的な中身について説明を得ることはできなかった。

今後問われるのは、

「処分したから終わり」ではなく、その処分から何を改善するのか。

という点だ。

週刊TAKAPIでは、愛知県教委の2026年度の懲戒処分状況、不祥事防止施策、学校側の再発防止策、管理監督責任の具体的内容、県教委の情報公開のあり方について引き続き取材する。

週刊TAKAPI 編集部

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