【独自検証・豊川】町内会加入者が減り続ける街 10年で加入率9ポイント減、「3世帯に1世帯」が未加入の時代へ

地域の防災、防犯、清掃、回覧板、祭り。

これまで地域の日常を支えてきた「町内会」が、大きな転換点を迎えている。

豊川市が公表している資料を週刊TAKAPIが検証したところ、市内の町内会加入率は2015年4月の74.9%から、2025年4月には65.5%まで低下していた。

10年間で9.4ポイントの下落だ。

単純計算すれば、いまや市内のおよそ3世帯に1世帯が町内会に加入していないことになる。

加入率だけではない 加入「世帯数」も減り始めた

注目したいのは加入率だけではない。

豊川市の町内会加入世帯数は、

2015年 53,418世帯
2019年 54,026世帯
2021年 54,285世帯
2022年 54,516世帯
2023年 54,635世帯
2024年 53,868世帯
2025年 53,704世帯

と推移している。

長い目で見れば加入世帯数は増えていたため、これまでは「世帯数全体の増加に町内会加入が追いついていない」という側面があった。

ところが2023年を境に状況が変わる。

2023年から2025年までの2年間で、加入世帯は931世帯減少した。

率だけではなく、実際に町内会に加入している世帯数そのものが減少局面に入った可能性がある。

町内会側が抱える最大の問題は「役員の担い手不足」

では、現場では何が起きているのか。

豊川市が2024年12月に町内会を対象として実施したアンケートでは、町内会が抱える課題として「役員の担い手不足」が110件で最多だった。

続いて「役員の負担が大きい」が87件、「役員の高齢化」が59件、「町内会活動への参加者が少ない」が49件、「町内会加入者が少ない」が40件となった。

加入者を増やす以前に、組織を運営する人そのものが不足している実態が浮かぶ。

これは単なる「若者の町内会離れ」という言葉では片付けられない。

役員になった場合の負担、行事、会合、回覧、会計、清掃など、従来型の町内会運営そのものが現在の生活スタイルに適合しているのかという問題でもある。

市も危機感 「どうなるどうする町内会」

豊川市も問題を認識している。

2026年8月29日には、市が人材育成講座「どうなるどうする町内会」を開催。

市自身が開催理由として「役員の担い手不足や加入率の低下など、町内会を取り巻く環境は大きく変化している」と説明した。

さらに2026年3月には、従来の市役所ロビーを中心とした加入促進キャンペーンを見直し、新たな加入促進啓発事業にも乗り出している。

デジタル化は進む 約1万2500世帯が「結ネット」

一方、変化も始まっている。

豊川市では電子回覧板「結ネット」を導入。

2026年8月4日時点で59団体、76町内会、約1万2500世帯が利用している。

紙の回覧板を順番に回す従来方式だけでなく、スマートフォンなどを利用して地域情報を届ける仕組みだ。

ただ、市内には183町内会がある。

デジタル化が加入率そのものの回復につながるのか、それとも既存加入者の負担軽減にとどまるのかは、今後検証する必要がある。

なぜ町内会に入らないのか

ここで行政側だけではなく、「未加入者側」の視点も必要になる。

共働き世帯や単身世帯が増え、休日に地域行事へ参加することが難しい家庭もある。

集合住宅では、近隣住民との関係そのものが希薄になっているケースもある。

さらに重要なのは、

「加入すると何をしなければならないのか」

は説明されても、

「加入すると自分にどんなメリットがあるのか」

が若い世代に十分伝わっているのかという点だ。

加入を呼び掛け続けるだけで減少を止められるのか。

ここは行政側にも問い直す余地がある。

「入らなくても困らない」と感じれば制度は弱くなる

町内会は強制加入ではない。

だからこそ、住民が「加入しなくても日常生活で困らない」と感じれば、加入率が低下するのはある意味で自然な結果ともいえる。

しかし、防災、防犯、環境美化、地域行事などは、誰かが担わなければ消えてしまう。

加入しない住民が増えたとき、それらを加入者だけで維持し続けるのか。

町内会が維持できなくなった場合、行政が担うのか。

あるいは町内会という仕組みそのものを再設計するのか。

加入率65.5%という数字の向こう側にあるのは、「町内会に入る・入らない」だけの話ではない。

地域社会を誰が支えるのかという問題だ。

Q&A 豊川市の町内会で何が起きている?

Q豊川市の町内会加入率は?
A2025年4月時点で65.5%。2015年の74.9%から10年間で9.4ポイント低下している。
Q世帯数が増えたから加入率が下がっただけ?
Aそれだけでは説明できない。加入世帯数は2023年の54,635世帯から2025年には53,704世帯となり、931世帯減っている。
Q町内会では何が問題になっている?
A市のアンケートでは「役員の担い手不足」が最も多く、「役員の負担が大きい」「役員の高齢化」などが続いた。
Q市は対策している?
A加入促進活動に加え、電子回覧板「結ネット」の導入、町内会をテーマにした講座などを進めている。
Q今後の焦点は?
A単純な「加入してください」という啓発だけで減少を止められるのか。役員負担の軽減や活動そのものの見直しを含め、町内会制度を現在の生活スタイルに合わせられるかが問われる。

情報提供をお寄せください

週刊TAKAPIでは、豊川市内の町内会について情報提供を受け付けています。

「役員の負担が重く退会した」「加入を断った」「町内会を改革したら加入者が増えた」「若い世代が役員を引き受けない」「町内会の統合・解散を検討している」など、加入者、未加入者、町内会役員双方からの情報を求めています。

情報提供者の秘密に配慮して取材します。

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