衣類に開いた穴や傷を、周囲の生地になじませながら修復する「かけつぎ」。その世界で長年技術を磨いてきた名古屋の職人が、江見屋かけつぎ専門店の創業者・松本孝夫さんだ。
松本さんは2026年8月21日放送のテレビ東京系『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』に出演。さらに同年9月11日にはテレビ朝日系『ザワつく!金曜日』でも取り上げられた。
全国放送が相次ぐ背景には、傷をふさぐだけではなく、生地の織り方や柄まで再現する高度な技術がある。
『所さんのそこんトコロ!』が名古屋のかけつぎ職人に密着
2026年8月21日放送の『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』では、「一針入魂!スゴ腕かけつぎ職人に密着」として松本さんの仕事が紹介された。
番組で取り上げられたのは、穴が開いた千鳥格子のパンツ。千鳥格子のような複雑な柄は、単純に穴を縫い閉じるだけでは修理箇所が目立ってしまう。
松本さんは、パンツの裾など仕上がりに影響しにくい部分から同じ糸を採取。横糸と縦糸を一本ずつ通し直し、元の生地の構造と柄を再現していった。
作業開始から約40分。穴があった場所だけでなく、途切れていた千鳥格子の柄もよみがえった。
高校卒業後に名古屋で修業、21歳で独立
松本さんは18歳で名古屋のかけつぎ店に弟子入りし、職人としての修業を始めた。21歳で独立して以降、半世紀を大きく超えて衣類と向き合ってきた。
頭に入っている生地の織り方は100種類以上。素材や柄、糸の太さ、傷の状態を見極めながら、それぞれの衣類に適した方法を選ぶ。
同じように見える穴でも、必要な作業は一着ごとに異なる。長年の経験によって蓄積された判断力が、松本さんの技術を支えている。
江見屋かけつぎ専門店は1962年創業。名古屋市東区出来町に本店を置き、現在では全国や海外からも修理依頼を受けている。
25年前のコートを修復 残したのは服だけではない
番組では、持ち主が長年大切にしてきた25年前のコートも登場した。
古い衣類を修理する理由は、経済的な価値だけでは測れない。家族から贈られた服、人生の節目に購入した服、特別な日に着た服など、買い直すことのできない思い出が残されている場合がある。
松本さんの仕事は、単に傷を目立たなくすることではない。
修復によって再び袖を通せる状態にすることで、その服に刻まれた持ち主の時間や記憶も未来へ残している。
『ザワつく!金曜日』でも紹介 名古屋発の職人技に再び脚光
江見屋かけつぎ専門店の公式サイトには、2026年9月11日のメディア出演として、テレビ朝日系『ザワつく!金曜日』が掲載されている。
8月の『所さんのそこんトコロ!』に続き、短期間に全国放送で相次いで取り上げられた形だ。
松本さんは過去にも、2015年放送のNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』に、かけつぎ職人として出演している。
愛知県優秀技能者、名古屋市技能功労者としても表彰されており、名古屋で磨き上げた技術は、地域の枠を超えて評価されてきた。
「捨てる」から「直して残す」へ
衣類は大量生産・大量消費される一方、環境負荷や廃棄量を減らすため、一着を長く使う価値も見直されている。
ただし、かけつぎは一般的な縫製修理とは異なり、多くの時間と高度な技術を必要とする。新品を買うより修理料金が高くなるケースもある。
それでも全国から依頼が集まるのは、「同じ服を買えば済む」とは考えられない持ち主がいるからだ。
名古屋の小さな作業場から受け継がれてきた職人技は、服の寿命だけでなく、人と服との関係そのものをつなぎ直している。
江見屋かけつぎ専門店・名古屋本店
- 所在地:愛知県名古屋市東区出来町1丁目3番18号
- 電話:052-935-4624
- 取扱品:洋服、礼服、コート、着物、ダウン、ジャケット、ニットなど
- 依頼方法:名古屋本店への持ち込み、郵送、事前相談など
- 注意点:料金や仕上がりは、生地の素材、傷の大きさ、場所、変色の状態などによって異なる
正式な見積もりや営業情報は、江見屋かけつぎ専門店公式サイトで確認できる。
※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。
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