東京・港区の「麻布十番納涼まつり」で販売された「冷やしカニラーメン」をめぐる食中毒問題が、さらに広がっている。
当初、港区が公表した患者数は78人だったが、その後の調査で123人に拡大。さらに、港区には約250人から体調不良に関する相談が寄せられていると報じられている。
患者には1歳児も含まれており、行政は健康相談だけでなく、被害者向けの無料法律相談窓口まで設置する事態となった。
一方で、店側が法律で義務付けられている衛生管理表の記録を日常的に行っていなかったことも明らかになっている。
患者は78人から123人へ 相談は約250人
港区が当初公表した段階では、患者は78人だった。
その後、調査が進むにつれて被害確認は拡大し、現在は123人が食中毒患者として確認されたと報じられている。
一方、港区には体調不良を訴える相談が約250人から寄せられている。
つまり、123人という数字は、体調不良を訴えた人全体ではない。
行政による調査や症状、喫食状況などを踏まえて食中毒患者として認定された人数が123人であり、その周辺にはさらに多くの相談者がいることになる。
原因食品は「冷やしカニラーメン」
問題となったのは、8月22日と23日に開かれた「麻布十番納涼まつり」で販売された「冷やしカニラーメン」。
港区みなと保健所は、患者に共通する食事や症状、検査結果などを踏まえ、このラーメンを原因食品とする食中毒と断定した。
患者や調理従事者の便からはサルモネラ属菌が検出されている。
初回公表時には、下痢、腹痛、発熱などを訴える患者が相次ぎ、51人が医療機関を受診。3人が入院したが、その時点ではいずれも退院していた。
1歳児も被害 幅広い年代に症状
今回の食中毒では、患者の中に1歳児も含まれていることが報じられている。
初回公表時にも、患者の年齢層は子どもから60代まで幅広かった。
イベント会場で販売された食品だったことから、来場者の年齢層も広く、被害が特定の世代に限られていない点も特徴だ。
衛生管理表を記録せず
さらに問題となっているのが、店側の衛生管理だ。
報道によると、店側は食品衛生法に基づいて求められる日々の衛生管理記録を作成していなかった。
衛生管理表では一般的に、冷蔵庫の温度確認、調理器具の洗浄、従業員の健康状態などを日々記録し、衛生状態を確認する。
こめお氏は取材に対し、記録義務そのものは認識していたとする一方、衛生管理への意識の甘さがあったとの趣旨の説明をしている。
今回の食中毒の直接的な原因と「記録をしていなかったこと」がどこまで結びつくかは別に検証する必要があるが、食品を扱う事業者として管理体制が問われる事態となっている。
店内から黄色ブドウ球菌も検出
保健所による店内のふき取り調査では、黄色ブドウ球菌が検出されたとも報じられている。
黄色ブドウ球菌は、人の皮膚や鼻腔などにも存在する細菌で、手洗いや清掃が不十分な場合などに食品や調理環境へ付着することがある。
ただし、ここは整理が必要だ。
今回、行政が食中毒の原因物質として認定しているのはサルモネラ属菌であり、黄色ブドウ球菌が123人の食中毒の直接原因だったと認定されたわけではない。
週刊TAKAPIでは、この点を混同せずに報道する。
「700食使い回し」疑惑をこめお氏は否定
騒動の初期には、SNS上で「初日に余った約700食を翌日に使ったのではないか」との疑惑も広がった。
背景には、こめお氏自身が初日の販売後に「700食余った」と受け取れる内容を投稿していたことがある。
これについて、こめお氏は初日に余った商品を翌日の販売に使った事実はないと否定している。
現時点で、行政が「700食の使い回し」を食中毒の原因として認定した事実は確認されていない。
SNS上の疑惑と、行政が確認した事実は分けて扱う必要がある。
混入経路は特定できず
今回の食中毒では、サルモネラ属菌が検出されたものの、具体的にどの段階で菌が混入したのかは特定されていない。
食材そのものだったのか、調理工程だったのか、器具や従業員を介したものだったのか。
これらの点については、現時点では断定できない。
こめお氏側も、混入経路の特定には至っていないとの説明をしている。
港区が7日間の営業停止
港区は店側に対し、9月3日から9日までの7日間の営業停止命令を出した。
保健所は営業停止期間中、店舗の営業状況を確認するとともに、従業員に対する食品衛生講習も実施した。
行政処分が終了したからといって問題が解決したわけではなく、今後は改善された衛生管理が実際に継続されるかが問われる。
被害者向けに健康相談、無料法律相談も
被害の大きさを象徴しているのが、行政の相談体制だ。
港区は、食中毒に関する健康相談だけでなく、今後の体調や後遺症について相談できる窓口を設置。
さらに、被害者が補償や今後の対応について相談できるよう、弁護士による無料法律相談も開設している。
自治体が法律相談まで用意することからも、今回の問題が通常の一過性の食中毒ではなく、多数の被害者を伴う大規模事案となっていることが分かる。
こめお氏が謝罪 補償対応へ
こめお氏は今回の食中毒について謝罪し、被害者への補償を進める意向を示している。
医療費などについては、保険会社の確認・審査を経て対応する方針とみられる。
また、店舗の消毒や衛生講習、従業員の検便、体調確認など、再発防止策も示している。
ただし、被害者への補償が実際にどこまで進んでいるのか、医療費以外の損害がどのように扱われるのかなどは、今後も確認が必要だ。
問われるのは「謝罪後」の対応
今回の問題は、食中毒を起こしたことだけでは終わらない。
患者は123人に上り、相談者は約250人。
さらに、衛生管理記録を作成していなかったことや、店内から別の菌が検出されたことも明らかになっている。
一方で、SNS上で拡散された「700食使い回し」など、現時点で事実として確認されていない情報もある。
だからこそ、感情的な批判ではなく、
何が行政によって確認された事実なのか。 何が店側の説明なのか。 何がまだ分かっていないのか。
を切り分けて見る必要がある。
今後の焦点は、被害者への補償、再発防止策の実効性、そしてサルモネラ属菌の混入経路がどこまで解明されるかだ。
週刊TAKAPIでは、今後も行政発表や関係者への取材をもとに続報を追う。
Q&A
担当記者案:松本/週刊TAKAPI編集部
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