【静岡】「男のくせに」県立総合病院の女性課長級を減給 “1日分の半額”処分、なぜ停職ではなかったのか

静岡県立総合病院の課長級女性職員が部下へのセクハラ・パワハラを認定され減給処分となった問題を伝える報道画像

静岡県立病院機構は17日、部下へのセクハラやパワハラを認定し、静岡県立総合病院に勤務する課長級の女性医療従事者(50)を減給の懲戒処分とした。

処分は「給料1日分の2分の1」とされる。

女性職員は男性部下に「男のくせに」「男なんだから扉を開けたまま着替えろ」とする趣旨の発言をしたほか、別の職員に勤務時間外を含めてメッセージを送り、精神的に追い詰める対応をしたとして、機構からセクハラ・パワハラと認定された。

本人は一部の発言について「記憶にない」、別職員への対応については「正当な指導」と説明しているという。

今回、焦点になるのは認定された言動だけではない。複数年にまたがるハラスメントに対し、なぜ処分区分が「減給」だったのか。機構の就業規則を確認すると、「1日分の半額」という金額だけでは処分が軽いかどうかを単純には判断できないことも分かる。

「男のくせに」 男性部下への発言をハラスメント認定

機構によると、女性職員は2023年9月、重い荷物を持ってよろけた男性部下に対し、「男のくせに」とする趣旨の発言をした。

さらに、この男性職員が業務上必要な着替えをしていた際には、「男なんだから扉を開けたまま着替えろ」とする趣旨の発言をしたという。

機構はこれらの言動をセクハラやパワハラに当たると判断した。

一方、女性職員は聞き取りに対し、男性職員への発言について「記憶にない」と説明している。

機構による認定と、本人の認識は一致していない。

2026年には別職員への対応も問題に

問題となったのは2023年の言動だけではなかった。

2026年6月には別の職員への業務上の指摘を巡り、勤務時間外にもメッセージを送り、精神的に追い詰めたとしてパワハラが認定された。

報道では、職員が強い叱責を受け、泣きながら事実と異なる回答をしたとする状況も伝えられている。

ただし、この具体的な描写は取材報道で伝えられた内容であり、機構がどの表現まで公式な認定事実としているのかとは分けて見る必要がある。

女性職員はこの対応について「正当な指導だった」とする趣旨の説明をしている。

今回の事案では、管理職による「業務上の指導」と機構が認定した「パワハラ」の間に、本人側との認識の隔たりが残っている。

「1日分の半額」は減給処分としてどの位置なのか

処分内容だけを見ると、「給料1日分の2分の1」という金額が小さく映る。

しかし、静岡県立病院機構の公開されている職員就業規則を確認すると、懲戒処分は「戒告」「減給」「停職」「諭旨解雇」「懲戒解雇」の5段階に分かれている。

そのうち減給については、1回の額を平均賃金1日分の2分の1まで、1カ月では給与総額の10分の1までと定めている。つまり、少なくとも公開規程上、「1日分の半額」は減給1回について定められた上限と一致する水準だ。

このため、「半日分しか減給されなかった」という金額だけを見て、直ちに処分が軽いと結論づけるのは正確ではない。

むしろ確認すべきなのは、なぜ懲戒区分そのものが「減給」だったのかという点になる。

なぜ「停職」ではなく「減給」だったのか

同じ就業規則では、減給より重い処分として「1日以上6カ月以下」の停職、その上に諭旨解雇、懲戒解雇が定められている。

今回確認できた情報では、

  • 2023年と2026年にまたがる行為をどのように評価したのか
  • 課長級という職責を量定にどう反映したのか
  • 被害を受けた職員の人数や影響をどう評価したのか
  • 本人が一部の認定を事実上争っていることをどう扱ったのか
  • 過去の指導歴や相談歴があったのか
  • なぜ停職ではなく減給と判断したのか

といった量定の具体的な判断材料は明らかになっていない。

公開されている就業規則から分かるのは処分区分と減給額の上限までで、ハラスメントの内容ごとにどの処分を選択するのかという詳細な量定基準までは確認できない。

今回の処分を検証するなら、「半日分」という金額より、減給を選んだ判断過程の方が重要になる。

管理職への対応は 過去には監督責任を問う公表例も

もう1つ確認が必要なのが、管理監督責任だ。

静岡県立病院機構は過去の別の懲戒事案で、処分対象となった課長級職員だけでなく、その職員を管理監督する立場にあった病院長らへの「訓告」をあわせて公表した例がある。

もちろん、その過去事案は今回のハラスメントとは内容が異なり、処分量定を直接比較することはできない。

ただ、今回の女性職員自身が課長級だったことを考えれば、管理職としての配置をどうするのか、さらに上位の管理監督者への対応があったのかは、再発防止を見るうえで確認すべき点になる。

今回確認できる情報では、降格や管理職からの解任、配置転換、上司への措置があったかどうかは明らかになっていない。

機構「ハラスメントのない職場づくりに努める」

機構は今回の処分を受け、「ハラスメントのない職場づくりに努めていきます」としている。

一方、具体的にどのような再発防止策を追加するのか、管理職研修や相談体制を見直すのか、2023年の言動がいつ把握され、なぜ2026年の事案とあわせて処分されるまで時間を要したのかについては、現時点で詳しい説明は出ていない。

今回の事案で残るのは、「ハラスメントと認定した」という結論だけではない。

認定された行為に対して、なぜ減給という処分区分を選んだのか。そして、同じ職場で再び起こさないために何を変えるのか。

処分後の説明まで含めて、機構の対応が問われる。

編集部まとめ

静岡県立病院機構は、部下へのセクハラ・パワハラを認定し、静岡県立総合病院の課長級女性職員(50)を減給処分とした。本人は「記憶にない」「正当な指導」とする趣旨の説明をしている。

公開されている就業規則では、減給1回の上限は平均賃金1日分の2分の1と定められている。このため、金額だけを見て処分の軽重を判断するのは難しい。

一方、なぜ停職ではなく減給だったのかという量定理由や、管理職としての配置、管理監督責任、具体的な再発防止策は十分に明らかになっていない。今回の処分を検証するうえで、次に必要なのはこの部分の説明だ。

週刊TAKAPI 編集部

特記事項

この記事は2026年9月23日までに確認された静岡県立病院機構に関する公表内容、公開されている職員就業規則、機構への取材に基づく報道内容を照合して構成しています。

処分を受けた女性職員と行為を受けた職員の氏名は公表されていません。本件は機構によるハラスメント認定と懲戒処分であり、刑事事件として逮捕・送検された事案ではありません。

「給料1日分の2分の1」という今回の処分額と、就業規則にある「平均賃金1日分の2分の1」という減給上限は表現が異なるため、記事では処分区分の仕組みを示す材料として扱い、実額が完全に同一であるとは断定していません。

Q女性職員はどのような処分を受けましたか?
A給料1日分の2分の1を減給する懲戒処分です。
Q「半日分の減給」は規程上軽い処分なのですか?
A金額だけでは判断できません。公開されている就業規則では、減給1回の額は平均賃金1日分の2分の1が上限とされています。
Q懲戒処分にはほかに何がありますか?
A就業規則では、戒告、減給、停職、諭旨解雇、懲戒解雇が定められています。停職は1日以上6カ月以下です。
Qなぜ停職ではなく減給になったのですか?
A今回確認できた情報では、処分区分を決めた具体的な量定理由は明らかになっていません。
Q再発防止策は公表されていますか?
A機構はハラスメントのない職場づくりに努めるとしていますが、具体的な追加対策や管理職への措置については、現時点で詳しい内容は明らかになっていません。

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