契約辞退 次順位者ではなく再入札
日本工営都市空間は契約を辞退した。
新城市は初回入札の次順位者と契約するのではなく、改めて入札を実施した。
市はその理由について、落札決定を行った時点で入札は一度終了したものと捉え、再度入札を行う運用としていると説明した。
2回目の入札では株式会社パスコが落札した。
初回の日本工営都市空間による落札額は226万円。
2回目のパスコによる落札額は265万円。
差額は39万円で、初回落札額と比べ約17.3%高くなった。いずれも税抜となる。
この39万円は2回の落札額の差であり、新城市が損害額として認定した金額ではない。
39万円増、着手22日遅れ 市は事業への影響「軽微」と判断
今回の契約辞退に伴い、新城市は再入札を実施した。
その結果、落札額は初回226万円から265万円となり、39万円上昇した。
業務着手も当初予定から22日遅れた。
また、市側には再度入札を実施するための文書作成、指名業者の再検討、指名停止に関する資料作成など、新たな事務負担が発生した。
一方、市によると、業務の完了時期や成果物の提出時期には変更がない。
今回の調査結果は「新城市地域公共交通計画」の見直しに活用する予定で、関連する計画や事業スケジュールへの影響についても「ありません」と回答している。
こうした事情を踏まえ、市は日本工営都市空間への指名停止期間を判断する際、今回の契約辞退による事業への影響について「軽微」と評価した。
「不正又は不誠実な行為」 指名停止は最短1カ月
新城市は日本工営都市空間について、「不正又は不誠実な行為」に該当するとして指名停止措置を取った。
適用される基準の期間幅は1カ月から9カ月。
市が決定したのは、その中で最短となる1カ月だった。
週刊TAKAPIが判断理由を尋ねたところ、市は、同社について過去に新城市で指名停止措置を講じた実績がなかったことを挙げた。
さらに、契約締結前だったこと、事実判明後に速やかに辞退届を提出したこと、市が「誠意をもって対応した」と判断したこと、事業への影響が軽微だったこと、過去の類似案件における指名停止状況などを考慮したという。
これらを入札審査会で検討した結果、1カ月の措置としたとしている。
改善報告は書面ではなく口頭
日本工営都市空間による再発防止についても、市は回答した。
新城市によると、契約辞退届を受け取った際、同社から口頭で改善報告を受けた。
内容は、今後は仕様書を十分に確認し、疑義がある場合には必ず市へ確認した上で応札するというものだった。
一方、市の回答では、改善報告書や顛末書、再発防止策などを別途書面で提出させたとの説明はない。
市「事業者における仕様書等確認不足」
週刊TAKAPIは新城市に対し、今回の事案を事業者側の資格確認不足によるものと捉えているのか、それとも市側の指名・入札・契約時の確認方法にも改善すべき点があったと認識しているのか尋ねた。
市は、必要な資格について仕様書に明確に記載していたほか、指名通知書でも資格要件を十分確認した上で応札するよう指示していたと説明した。
さらに、日本工営都市空間側からも確認が不十分だった旨の説明を受けているとして、
「事業者における仕様書等確認不足と認識しております」
との見解を示した。
市は、今回の事案について主として事業者側の確認不足によって生じたものと位置付けている。
資格確認方法「現在のところ見直しは考えておりません」
では、資格要件の一部を満たしていない事業者が実際に落札するまで進んだ今回の事態を受け、市側の確認方法は変わるのか。
週刊TAKAPIが、指名時、入札時、契約締結時の資格確認方法を見直す予定があるか尋ねたところ、新城市は、
「現在のところ見直しは考えておりません」
と回答した。
市は、仕様書や指名通知書で資格要件を明示し、応札する事業者側に十分な確認を求めていることなどから、現時点では現在の確認方法を変更する考えを示していない。
再発なら「事後審査型一般競争入札」も検討
一方、新城市は将来的な制度変更の可能性にも言及した。
同様の事象が繰り返された場合について、
「事業へ影響をきたす恐れもある」
として、次順位者の繰り上げが可能な「事後審査型一般競争入札」の採用を検討したいと回答している。
今回、日本工営都市空間が契約を辞退した後、市は初回入札の次順位者と契約できず、改めて入札を実施した。
市が示した事後審査型一般競争入札は、同様の事態が再び発生した場合に検討する選択肢という位置付けで、現時点で導入が決まったものではない。
現状は維持 再発すれば制度変更も
今回の回答から、新城市の現在の立場は明確になった。
今回の原因については、日本工営都市空間側の仕様書確認不足と判断する。
そのため、市側の資格確認方法については現時点で変更しない。
一方、同様の問題が繰り返され、事業への影響が生じる恐れが高まった場合には、次順位者を繰り上げられる入札方式への変更を検討する。
今回、一度は落札決定まで進んだことで、再入札、39万円の価格差、22日の着手遅れ、追加の事務作業が発生した。
現在の制度を維持する中で、同様の事態をどの段階で防ぐのかは今後も確認が必要となる。
竹中工務店とは「全く別の事案」
同時期には株式会社竹中工務店についても、1カ月の指名停止措置が取られている。
ただし、新城市は日本工営都市空間の事案とは「全く別の事案」であると説明している。
竹中工務店については、組織ぐるみの行為ではなかったことや、過去の類似案件における指名停止状況などを踏まえ、入札審査会で1カ月と判断したという。
市は、両社が結果的に同じ1カ月となったことについて、2つの事案と処分結果との間に因果関係はないとしている。
また、日本工営都市空間、竹中工務店とも、現在新城市で履行中の工事・業務はないという。
編集部まとめ
新城市の「徒歩圏人口カバー率調査業務委託」では、仕様書上の資格要件の一部を満たしていなかった日本工営都市空間が指名競争入札に参加し、一度は226万円で落札した。
資格不足が判明したのは落札決定後だった。
市が資格・認証を確認する資料の提出を求めたところ、日本工営都市空間側から一部資格を有していないとの申し出があり、同社は契約を辞退した。
その後の再入札ではパスコが265万円で落札。差額は39万円となり、業務着手も22日遅れた。
新城市は日本工営都市空間を「不正又は不誠実な行為」に該当するとして指名停止とした一方、契約締結前だったこと、速やかに辞退したこと、過去の指名停止歴がなかったことなどを考慮し、期間は1~9カ月のうち最短の1カ月とした。
市は今回の原因について「事業者における仕様書等確認不足」との認識を示し、資格確認方法については「現在のところ見直しは考えておりません」と回答した。
ただし、同様の事象が繰り返された場合には、次順位者の繰り上げが可能な事後審査型一般競争入札の採用を検討するとしている。
今回の独自取材によって、資格不足が判明した具体的な経緯、再入札による金額差、着手遅延、追加事務、指名停止期間の判断根拠、市の制度に対する現在の認識までが明らかになった。
一方、仕様書に定められた5つの資格・認証要件のうち、日本工営都市空間が具体的にどの要件を満たしていなかったのかについては、なお明らかになっていない。
週刊TAKAPI 編集部/成田
特記事項
この記事は、新城市が週刊TAKAPIの追加取材19項目に対して回答した内容をもとに、これまで前編・後編として報じた事実関係を統合し、改めて検証したものです。
初回226万円、2回目265万円はいずれも税抜です。差額39万円は2回の落札額の差であり、新城市が損害額として認定した金額ではありません。
新城市が仕様書で定めていた資格・認証要件は5項目ですが、日本工営都市空間が具体的にどの要件を満たしていなかったのかについては、今回の回答では明らかにされていません。
日本工営都市空間と竹中工務店への指名停止は、それぞれ別の事案について個別に判断されたものです。
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