愛知県蒲郡市で2027年4月の開設が予定されている名古屋市立大学医学部保健医療学科看護学専攻「蒲郡キャンパス」が、第1期生の入学者選抜を迎える段階に入った。
名古屋市立大学が公表している2027年度入試の募集人員では、蒲郡校は1学年50人。このうち学校推薦型選抜Aが10人、学校推薦型選抜Bが15人、一般選抜前期日程が25人となっている。
構想発表から、第1期生を実際に選抜する段階へ――。
2027年4月の開設予定まで約半年となった蒲郡キャンパスは、入試、教育体制、既存の蒲郡市立ソフィア看護専門学校からの移行など、具体的な準備が進んでいる。
一方、新キャンパスを地域の看護人材確保へどう結びつけるのか、専門学校から大学への移行期間をどう運営するのかなど、今後も確認すべき論点は残る。
週刊TAKAPIは、大学や蒲郡市などが公表している資料をもとに、蒲郡キャンパス計画の現在地を整理した。
蒲郡校は1学年50人 推薦25人、一般前期25人
2027年度の蒲郡校は、1学年50人を募集する計画だ。
内訳は、学校推薦型選抜Aが10人、学校推薦型選抜Bが15人、一般選抜前期日程が25人。
大学の公表資料では、学校推薦型選抜Aの蒲郡校について、合格者が募集人員に満たなかった場合は、一般選抜前期日程の蒲郡校で補充する仕組みも示されている。
また、一般選抜前期日程では、志願時に名古屋校と蒲郡校の希望を選択できる仕組みとなっている。
名市大は蒲郡校の新設と合わせて看護学専攻全体の教育規模を拡大する。
これまで蒲郡市で担ってきた専門学校による看護師養成から、大学教育へと仕組みそのものを転換する大きな節目になる。
専門学校から大学へ 2027年4月開設を予定
蒲郡キャンパスでは、新たな土地に校舎を建設するのではなく、現在の蒲郡市立ソフィア看護専門学校の施設を活用する。
蒲郡市は、2027年4月に同施設を活用した名古屋市立大学医学部保健医療学科看護学専攻蒲郡キャンパスが開学する予定だと公表している。
蒲郡市、名古屋市、名古屋市立大学の3者は2025年3月27日、ソフィア看護専門学校の施設を活用し、名市大医学部保健医療学科に新たな看護師養成教育課程を設置することを目的とした協定を締結した。
計画は「大学化を検討する」という段階から、実際に新たな学生を募集し、教育を始めるための移行段階へ進んでいる。
ソフィア看護専門学校は2029年3月末に閉校予定
蒲郡市立ソフィア看護専門学校は、2026年度入学生を最後に学生募集を停止した。
市によると、2029年3月末に閉校する予定となっている。
同校は3年課程の看護学科で、各学年40人、総定員120人。蒲郡市民病院などを実習施設として看護師を育成してきた。
このため、2027年4月に名市大蒲郡キャンパスが開設されたとしても、ソフィア看護専門学校の在校生がその時点ですべて卒業するわけではない。
一定期間、新たな大学の学生と既存の専門学校生が並存する移行期間が生じる。
教室や実習設備などの施設をどう使用するのか。既存の専門学校生の教育環境を維持しながら、大学として新たな教育をどう始めるのか。
施設の活用方法や教育環境の具体像は、今後も確認していく必要がある。
ソフィアとしての学生募集・学校見学は終了
大学化への移行は、すでに受験生向けの対応にも表れている。
ソフィア看護専門学校は、2026年度入学試験を最後に学生募集を終了。
学校見学や個別進路相談についても学生募集停止に伴い終了し、大学化後の学校見学については調整中としている。
また、ソフィア看護専門学校としてのオープンキャンパスも2025年開催分を最後としており、大学化後については名市大側の案内へ移行している。
受験生向けの窓口も、すでに専門学校から大学へ切り替わる過程に入っている。
看護師養成を「専門学校」から「大学」へ
今回の計画で大きく変わるのは、学校の名称だけではない。
ソフィア看護専門学校は3年課程の専門学校として看護師を育成してきた。
一方、新キャンパスは名古屋市立大学医学部保健医療学科看護学専攻の一部となる。
地域で看護人材を育成する機能を残しながら、教育の枠組みを専門学校から4年制大学へ移行することになる。
全国的に看護師養成の大学化が進む中、蒲郡市も従来の専門学校方式から大学教育へ大きく転換することになる。
問われる「地域で働く看護師をどう増やすか」
蒲郡キャンパス開設の重要な目的の一つが、地域医療を支える看護人材の育成だ。
ただし、蒲郡校に毎年50人が入学することと、50人が卒業後に蒲郡市や東三河の医療機関で働くことは同じではない。
大学キャンパスの設置によって地域の看護師確保にどの程度つながるのかを検証するには、入学者数だけでなく卒業後の進路を見る必要がある。
蒲郡市民病院をはじめとする地域の医療機関との実習や連携、就職支援、地域定着策をどう構築するのか。
「学生を集めること」から「地域で看護師として働いてもらうこと」までを、どのようにつなげていくかが今後の重要なポイントとなる。
大学と専門学校が並存する「移行期」も焦点
2027年4月に蒲郡キャンパスが開学し、ソフィア看護専門学校が2029年3月末に閉校する予定であれば、約2年間は新旧の教育機関が並存することになる。
これは今回の大学化を考える上で見落とせない点だ。
新入生は名市大の学生として入学する一方、施設内にはソフィア看護専門学校の在校生も残る。
既存学生の卒業まで教育環境を維持しながら、大学として新たな教育環境を整える必要がある。
施設改修、教室配置、実習環境、設備の更新など、現場でどのような準備が進められているのかも、計画の実効性を見る上で重要になる。
2027年4月まで約半年 計画は「実施段階」へ
蒲郡キャンパス計画は、構想を公表する段階から、実際に学生を受け入れるための段階へ移りつつある。
1学年50人という募集枠が示され、ソフィア看護専門学校では学生募集や学校見学などが終了。専門学校側も2029年3月末の閉校へ向けた移行に入っている。
一方で、大学化の評価は「キャンパスが開設したか」だけでは判断できない。
教育環境、施設整備、既存学生への影響、行政側の負担、そして卒業生が地域医療へどの程度定着するのか。
週刊TAKAPIでは今後も関係先への取材・確認を続け、蒲郡キャンパスの開設準備と、地域医療にもたらす効果を継続して検証する。
編集部まとめ
2027年4月の開設が予定されている名古屋市立大学「蒲郡キャンパス」は、第1期生の募集・選抜を迎える段階に入った。
蒲郡校の募集人員は1学年50人。学校推薦型選抜A10人、学校推薦型選抜B15人、一般選抜前期25人という構成が示されている。
一方、現在の蒲郡市立ソフィア看護専門学校は2026年度入学生を最後に募集を終了し、2029年3月末に閉校する予定だ。
2027年から2029年にかけては、専門学校から大学へ教育機能を引き継ぐ重要な移行期間となる。
キャンパスの新設そのものだけでなく、施設整備、既存学生の教育環境、卒業生の地域定着まで含めて、この大学化が蒲郡・東三河の地域医療にどのような結果をもたらすのか。
計画は「大学をつくる」段階から、「地域に何を残せる大学にするのか」を問う段階へ進んでいる。
週刊TAKAPI 編集部/成田
特記事項
この記事は2026年10月3日時点で、名古屋市立大学、蒲郡市、蒲郡市立ソフィア看護専門学校などが公表している情報をもとに、蒲郡キャンパス計画の現在地を整理したものです。
入試制度、施設整備、教育体制などは今後変更される可能性があります。
週刊TAKAPIでは今後も関係先への取材・確認を続け、新たな事実や具体的な数字が確認された場合は続報します。

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