愛知県新城市が発注した「徒歩圏人口カバー率調査業務委託」で、指名競争入札を経て一度落札者となった日本工営都市空間株式会社が、仕様書で定められた資格要件の一部を満たしていなかったことが分かり、契約を辞退していた問題について、新城市が週刊TAKAPIの取材に詳細を回答した。
市によると、資格要件を満たしていないことが判明したのは落札決定後。市が資格を証明する資料の提出を求めたところ、日本工営都市空間側から一部資格を有していないとの申し出があった。
契約辞退を受け、市は改めて入札を実施。初回の落札額226万円に対し、2回目は265万円となり、落札額は39万円上昇した。いずれも税抜。
業務の着手も当初より22日遅れた。
仕様書には5つの資格・認証要件
新城市が週刊TAKAPIの取材に明らかにした仕様書上の資格・認証要件は5項目ある。
管理技術者については、技術士の建設部門「都市及び地方計画」またはRCCMの「都市計画及び地方計画」のいずれかの資格を有することを求めていた。
照査技術者には「空間情報総括監理技術者」の資格を要求。
さらに受注者には、JIS Q 15001(プライバシーマーク)、ISO 9001(品質管理システム)、ISO/IEC 27017(ISMSクラウドセキュリティ)の各認証取得を求めていた。
市は、業務着手時にこれらの資格や認証を証明する登録証などの写しを監督員へ提出することを仕様書に定めていた。
ただし、市の今回の回答では、日本工営都市空間がこの5要件のうち具体的にどの資格・認証を満たしていなかったのかは示されていない。
市は「一部資格について有していないとの申し出が落札業者よりあった」と説明している。
指名段階でも一定確認 すべての要件は把握できず
では、なぜ資格要件の一部を満たしていない事業者が指名され、入札を経て落札するところまで進んだのか。
新城市は、指名業者を選定する際、認証機関の公開情報のほか、TECRIS・CORINSなどの公開情報によって一定の確認を行っていると回答した。
一方、市は退職などの事情によって、有資格者や認証保有状況について最新情報を完全に把握することが困難な場合があるとしている。
そのため、落札決定後に必要な要件を満たしていることを確認できる書類を提出してもらう運用としていた。
指名段階でも可能な範囲で確認する一方、資格・認証の最終的な確認は落札後に行う仕組みだったことになる。
落札後、証明資料を求めた際に判明
資格要件を満たしていないことが判明したのは、落札後に市が証明資料の提出を求めた際だった。
落札決定後、日本工営都市空間から新城市の担当者へ、あいさつと今後の進め方について簡単な打ち合わせを行いたいとの連絡が入った。
その中で、市の事業担当者が仕様書に記載された資格要件を満たしていることを確認できる資料の提出を求めた。
すると、日本工営都市空間側から一部資格を有していないとの申し出があったという。
市によると、同社から入札前または入札後に、資格要件について問い合わせや確認はなかった。
契約辞退 次順位者ではなく再び入札
日本工営都市空間は契約を辞退した。
市は初回入札の次順位者と契約するのではなく、改めて入札を実施した。
その理由について新城市は、落札決定を行っている以上、一度の入札手続きは終了したものと捉え、再度入札を行う扱いとしていると説明した。
2回目の入札では株式会社パスコが落札した。
初回は日本工営都市空間が226万円で落札したものの契約を辞退。
2回目はパスコが265万円で落札した。
差額は39万円。初回落札額と比べると約17.3%高くなった。いずれも税抜。
39万円は2回の落札額の差であり、市が損害額として認定した金額ではない。
業務着手は22日遅れ
契約辞退と再入札による影響は金額だけではなかった。
新城市によると、業務の着手は契約の遅れに伴い、当初より22日遅れた。
一方、完了時期や成果物の提出時期には変更はないとしている。
今回の「徒歩圏人口カバー率調査業務委託」の成果は、新城市地域公共交通計画の見直しに活用する予定。
市は、今回の契約辞退や再調達による計画・事業への影響はないとしている。
再入札で市にも追加事務
契約辞退によって、新城市側にも追加の事務作業が発生した。
市は週刊TAKAPIの取材に対し、再度入札を実施するため、初回と同様の入札文書の作成、指名業者の再検討、指名停止に関する資料作成などの事務負担が生じたと回答した。
一方、追加事務に伴う具体的な費用や人件費については示していない。
編集部まとめ
新城市が発注した「徒歩圏人口カバー率調査業務委託」では、仕様書上の資格要件の一部を満たしていない事業者が指名競争入札に参加し、一度は落札者となった。
資格要件を満たしていないことが判明したのは落札後。市が資格を確認する資料の提出を求めたところ、日本工営都市空間側から一部資格を有していないとの申し出があった。
ただし、市は今回、仕様書で定めた5要件のうち、同社が具体的にどの資格・認証を満たしていなかったのかまでは明らかにしていない。
同社の契約辞退後、市は再入札を実施し、落札額は226万円から265万円へ39万円上昇。業務着手は22日遅れた。
後編では、なぜ指名段階で資格不足を把握できなかったのか、指名停止が基準上最短の1カ月となった理由、市が現在の確認方法を見直すのかについて、新城市の回答をもとに検証する。
週刊TAKAPI 編集部/成田
特記事項
この記事は、新城市が週刊TAKAPIの追加取材に回答した内容をもとに構成しています。
金額はいずれも税抜です。
初回226万円と2回目265万円の差額39万円は落札額の差であり、市が損害額として認定した金額ではありません。
また、新城市が仕様書で定めていた資格・認証要件は5項目ありますが、日本工営都市空間が具体的にどの要件を満たしていなかったのかについては、今回の市の回答では明らかにされていません。

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