田原市は事業承継支援を強化する?現時点で新規施策の予定なし
では、こうした状況を受け、市は事業承継支援をさらに強化するのか。
田原市は、
「現時点では、支援の強化や新たに検討している施策はありません」
と回答した。
今後については、愛知県事業承継・引継ぎ支援センターと連携した事業承継個別相談窓口の開催を継続するとともに、市内商工会や金融機関と連携して事業承継を支援するとしている。
また田原市には、中小企業者の円滑な事業承継を目的として、専門講師の派遣や相談会の開催などにより休業・廃業を抑制するための事業を支援する制度もある。
「相談4件」の先が見えない 田原市の事業承継で浮かんだ課題
今回の独自取材で確認できた数字は明確だ。
2024年度3件、2025年度4件、2026年度9月末までに4件。
これは田原市の「事業承継個別相談窓口」に実際に寄せられた相談件数だ。
しかし、その一方で、
市内の後継者不在事業者数、後継者不在などによる廃業・閉店件数、支援後に事業承継が成立した件数。
これらについて、市は把握していない。
もちろん、個別の事業承継には経営や家族に関する機微な情報が含まれ、相談内容を行政がどこまで把握すべきなのかというプライバシー上の問題もある。
それでも市自身が、後継者不足を「市内全体の問題」と位置付け、廃業による消費市場の縮小や生活サービスの衰退への影響を認識している以上、今後は相談者の秘密を守りながら、地域全体の傾向をどのように把握するのかも論点になりそうだ。
事業承継は、単に「会社を誰が継ぐか」という問題ではない。
地域に残されてきた店、仕事、技術、雇用、そして住民の生活を支えるサービスを、次の世代へどう残していくのか。
田原市にとっても、長期的な地域経済を考えるうえで避けて通れない課題となっている。
特記事項
本記事で記載している「把握していない」とは、田原市が市内事業者の後継者の有無や、後継者不在などを理由とする廃業・閉店について、件数を集計・把握する仕組みを設けていないという意味です。後継者不足の問題そのものを認識していない、または事業承継支援を行っていないという意味ではありません。
また、事業承継個別相談は経営状況や家族関係など、事業者の機微な情報を含む場合があります。このため田原市によると、市職員は相談に入らず、相談内容の共有や相談後の経過報告も受けていません。したがって、相談件数と実際に事業承継が成立した件数は同一ではありません。
2026年度の「4件」は9月末時点の数字であり、年度全体の最終実績ではありません。また、相談窓口を利用していない事業者も存在し得るため、この相談件数だけから田原市全体の後継者不足の規模や増減を判断することはできません。
本記事は、田原市から週刊TAKAPI編集部に寄せられた取材回答を中心に構成しています。個別企業・店舗について、後継者不在や廃業予定であることを示すものではありません。
※事業承継を検討している事業者は、個々の状況によって必要な対応が異なります。具体的な手続きや支援制度については、田原市や愛知県事業承継・引継ぎ支援センターなどの最新情報をご確認ください。
週刊TAKAPI編集部:黒木
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