【続報・10月13日】軽井沢風越学園いじめ重大事態 2023年版にも情報共有規定、2025年に「速やかな対処」追記

軽井沢風越学園のいじめ重大事態について2023年版と2025年版の学校いじめ防止基本方針を比較検証した記事のアイキャッチ

長野県軽井沢町の学校法人軽井沢風越学園で起きたいじめ重大事態を巡り、学園が公表している2023年7月改定版と2025年6月改定版の「学校いじめ防止基本方針」を比較すると、2023年版の時点で、いじめの疑いに関する情報を収集し、記録・共有する役割が常設の対策組織に定められていたことが分かった。

2025年版では、いじめの疑いがある事案を把握した際、「いじめへの対処」を速やかに行うとの記述が追加された。常設組織の名称も「学校いじめ対策室」から「リレーション部会」に変更され、重大事態が生じた場合の県知事等への報告手続きも明文化されている。

一方、学園が10月5日に公表した第三者調査委員会の報告書要約版では、別の児童がアンケートで伝えていたいじめの目撃情報が、学園内の組織的な対応へ十分につながらなかったと指摘された。2023年版に情報共有の規定が存在する中で、実際の運用がどのように行われていたのかが改めて問われる。

2023年版ですでに「情報の収集と記録、共有」

2023年7月1日改定版では、常設のいじめ対策組織として「学校いじめ対策室」を設置すると定めていた。

同組織の役割には、いじめに関する相談や通報の窓口業務に加え、いじめの疑いがある事案や児童生徒の問題行動について、情報を収集し、記録・共有することが明記されていた。早期発見に向け、必要に応じてアンケートや事情聴取を行う規定も設けられていた。

今回の第三者調査委員会は、こうした規定が存在しなかったことを問題にしたのではない。別の児童がアンケートで伝えたいじめの目撃情報を、学園が組織として深刻に受け止め、具体的な対応へ十分につなげられなかった点を指摘している。

報告書では、アンケートに寄せられた情報を、いじめの把握やその後の対応へどのように結び付けるかという運用が、組織として十分明確になっていなかったことも問題点として挙げられた。

2025年版で「速やかな対処」を追記

2025年6月1日改定版では、いじめの疑いを把握した際の対応に新たな記述が加えられた。

2023年版でも事実確認や被害児童への支援などを定める「いじめへの対処」の規定は存在していたが、2025年版では、疑いのある事案を把握した段階から、この対処を速やかに行うことが明記された。

常設の対策組織も「学校いじめ対策室」から「リレーション部会」に変更された。一方、いじめに関する情報を収集、記録、共有する役割は2025年版にも引き継がれている。

この改定は2025年6月に行われている。学園が第三者調査委員会の報告書を受領したのは同年11月であるため、6月の改定を最終報告書の提言を受けた再発防止措置と位置付けることはできない。

学園は報告書受領後、内容を全教員に共有し、ガイドラインの見直しや周知を進めたとしている。

第三者委、訴えを必ず対策組織へつなぐ仕組み求める

第三者調査委員会は、再発防止に向けて5項目の提言をまとめた。

情報共有に関しては、児童や保護者からの訴えを最初に受ける教員を明確にし、その教員が必ず学園内のいじめ対策組織へ情報を伝え、組織側が内容を点検する仕組みを求めている。

アンケートに具体的ないじめの記載があった場合には、内容を確実に受け止め、速やかに対応することも提言に盛り込まれた。

今回の事案では、別の児童がアンケートに目撃情報を記載していたものの、それが組織的な対応へ十分結び付かなかったとされている。第三者委は、情報を受け取るだけで終わらせず、対策組織による確認と対応へ確実につなぐことを求めた形だ。

2025年版で県知事等への報告を明文化

重大事態に関する手続きにも、新旧の基本方針で違いがある。

2023年版には、重大事態が生じた場合に第三者委員会を設置する規定があった一方、県知事への報告について明示的な記述は確認できない。

2025年版では、重大事態が発生した場合に県知事等へ報告し、第三者委員会を設置することに加え、調査結果についても県知事等へ報告することが明記された。

ただし、いじめ防止対策推進法第31条では、私立学校に対し、重大事態が発生した場合に所轄の都道府県知事へ報告する義務を定めている。この義務は2023年当時から存在していた。

そのため、2023年版の基本方針に明示的な記述がなかったことだけをもって、学園が県への報告を行っていなかったと判断することはできない。

今回の重大事態について、長野県への報告が具体的にいつ行われたのかは、公表資料では明らかになっていない。

調査報告書要約版は「3カ月間」公開

学園は10月5日、第三者調査委員会の調査報告書について、全文ではなく要約版を公表した。

要約版とした理由について、学園は関係児童の将来や地域社会での生活、プライバシーへの配慮を挙げており、個人の特定や二次被害を防ぐためとしている。

公開期間は2026年10月5日から3カ月間とされている。

一方、公開期間を3カ月とした具体的な理由や、期間終了後に報告書を確認する方法については、10月5日の公表内容では示されていない。

第三者委が示した再発防止策や、学園側の対応を今後継続的に検証する上で、調査結果をどのような形で確認できる状態にするのかも今後の論点となる。

編集部まとめ

軽井沢風越学園のいじめ重大事態では、別の児童がアンケートで伝えた目撃情報が、学園の組織的な対応へ十分につながらなかったことを第三者調査委員会が指摘した。

一方、2023年7月改定版の基本方針には、その時点ですでに、いじめの疑いに関する情報を収集し、記録・共有する規定が設けられていた。

2025年6月版では、疑いを把握した際に「いじめへの対処」を速やかに行うことや、重大事態を県知事等へ報告する手続きが明文化された。

第三者委は、情報共有の規定がある中でも、児童から寄せられた情報を組織的な確認や支援へ十分つなげられなかったと指摘している。

学園は第三者委の報告書受領後、全教員への共有やガイドラインの見直しを進めたとしている。今後は、第三者委が求めた5項目の提言が実際の学校運営でどのように反映されているかが確認事項となる。

週刊TAKAPIは、今後も取材・検証を続ける。

週刊TAKAPI 編集部/成田

特記事項

本記事は、2026年10月12日までに確認した軽井沢風越学園の「学校いじめ防止基本方針」2023年7月1日改定版、2025年6月1日改定版、第三者調査委員会調査報告書要約版、いじめ防止対策推進法を照合し、10月13日の掲載用に再構成しています。

2023年版には、いじめの疑いに関する情報の収集・記録・共有が規定されています。ただし、今回の事案が2023年のどの時期に発生し、同年7月の基本方針改定とどのような前後関係にあったのかは公表資料では特定できないため、個別事案への適用状況は断定していません。

2025年6月の基本方針改定は、第三者調査委員会の調査報告書を学園が受領した2025年11月より前に行われており、最終報告書の提言を受けた改定とは位置付けていません。

長野県への重大事態や調査結果の具体的な報告時期、第三者委員会が示した再発防止策の現在の実施状況については、公表資料では詳細が示されていません。

関係児童の氏名、性別、詳しい通学経路など、本人の特定につながる情報は掲載していません。

Q2023年版の基本方針にも情報共有の規定はありましたか?
Aはい。2023年7月改定版では、常設の「学校いじめ対策室」の役割として、いじめの疑いに関する情報の収集・記録・共有が定められていました。
Q第三者調査委員会は何を問題視したのですか?
A別の児童がアンケートでいじめの目撃情報を伝えていたにもかかわらず、それを学園の組織的な確認や具体的な対応へ十分につなげられなかった点などを指摘しています。
Q2025年の基本方針では何が変わりましたか?
Aいじめの疑いを把握した場合に「いじめへの対処」を速やかに行うことが明記され、常設組織の名称も「学校いじめ対策室」から「リレーション部会」に変更されました。重大事態や調査結果を県知事等へ報告する規定も加えられています。
Q2025年の改定は第三者委員会の最終報告を受けたものですか?
A最終報告書を受けた改定とは確認できません。基本方針の改定は2025年6月で、学園が第三者調査委員会の報告書を受領したのは同年11月です。
Q第三者調査委員会の報告書要約版はいつまで公開されますか?
A学園は2026年10月5日から3カ月間公開するとしています。公開終了後の閲覧方法については、公表内容では具体的に示されていません。

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