プロ野球・中日ドラゴンズのファーム(2軍)拠点移転をめぐり、愛知県蒲郡市は10月30日、球団側に二次提案書を提出したと発表した。東三河で唯一、移転先の公募に名乗りを上げている蒲郡市が、来年5月ごろの優先交渉権者決定に向け、誘致活動を継続することになった。
一方、市が今回どの土地を候補地として提示し、施設整備や用地確保にどの程度の費用を見込んでいるのかは、31日時点で確認できる公式発表では明らかになっていない。蒲郡市ではこれまで、海陽町の未利用地など複数の場所が誘致候補として検討されてきた。二次提案の提出によって選考は進んだものの、市民が誘致の具体的な内容を判断するための情報は限られている。
蒲郡市が二次提案書を提出 東三河唯一の誘致自治体
蒲郡市は10月30日、公式ホームページの「中日ドラゴンズファーム拠点誘致」を更新し、同日付で二次提案書を提出したことを公表した。
球団側の公募には当初、愛知、岐阜、三重の3県から28自治体が応募し、22自治体が一次選定を通過した。10月30日の二次提案締め切り時点では20自治体が応募しており、蒲郡市もその中に残っている。
市はファーム拠点の誘致について、観光資源との連携による交流人口の増加、地域経済の活性化、雇用創出、市の知名度向上などを期待している。東三河や静岡県西部を含む広域的な活性化にもつなげたい考えだ。
ただし、二次提案書の提出は移転先の決定を意味しない。今後の選考で、蒲郡市の提案内容が球団側の求める条件に適合すると判断される必要がある。
海陽町などが候補に浮上 今回提出した土地はどこか
今回の続報で地元にとって重要なのは、蒲郡市が実際にどの土地を提示したのかという点だ。
市内ではこれまで、形原公園グラウンドと陸上競技場の周辺、市民会館の移転跡地、海陽町の未利用地などが誘致候補として検討されてきた。
海陽町はラグーナ蒲郡などの観光施設が立地する地域であり、観光とスポーツを結び付ける構想を考えるうえでは注目される場所だ。ただし、土地の所有関係や用途上の制約などを整理する必要があり、候補として名前が挙がったことと、実際に球場を建設できることは別である。
蒲郡市議会でも今年3月、候補地やインフラ整備、財政面を含む誘致の実現可能性が一般質問の項目となった。6月には海陽町の未利用地への誘致可能性が取り上げられている。
しかし、市が10月30日に提出した二次提案書については、これらの場所のうちどこを正式に提示したのか、あるいは別の候補地を選んだのか確認できていない。
約8万平方メートルの用地が必要 市の費用負担は不透明
中日ドラゴンズが示した公募条件では、移転先に7万~8万平方メートル程度のまとまった土地が必要とされている。
施設はメイン球場だけではない。サブ球場、サブグラウンド、屋内練習場、クラブハウス、選手寮、駐車場などを備え、20~30年以上にわたって継続利用できることが求められる。
バンテリンドームナゴヤから車で原則1時間以内という立地条件に加え、公共交通機関で無理なくアクセスできることも要件となっている。蒲郡市が候補地をどこに設定するかによって、道路や交通手段、土地の造成など、必要となる対応は変わってくる。
もう一つの問題は費用だ。土地の取得や整備を誰が担い、球場などの建設費をどのように分担するのか。完成後の施設運営や維持管理についても、自治体と球団側の役割分担が必要になる。
現時点で蒲郡市の具体的な負担額は確認できておらず、市が施設建設費をどの程度支出するのかも明らかではない。公費の投入が確定したわけではないが、誘致を進める以上、将来的な財政負担の可能性を含めた説明が求められる。
観光の街・蒲郡にとって何が変わるのか
蒲郡市は観光を主要な地域資源とする街であり、ファーム拠点の誘致によって新たな来訪者を呼び込める可能性がある。球団の育成施設が常設されれば、試合日だけでなく、練習や地域交流などを通じて年間を通した人の動きが生まれることも考えられる。
一方で、その効果が地元の宿泊施設や飲食店、商業施設にどれほど及ぶのかは、拠点の位置や施設運営の内容によって大きく変わる。球場が完成すれば地域経済が自動的に活性化するというものではない。
豊橋市を含む東三河への波及についても同様だ。蒲郡市への移転が実現した場合、豊橋駅を利用する来訪者の宿泊や飲食などにつながる可能性はあるが、具体的な効果を示す蒲郡市独自の試算は確認できていない。
週刊TAKAPIは10月13日の記事で、ファーム移転に伴う経済波及効果と蒲郡・豊橋への影響を検証した。今回の二次提案書提出を受け、誘致の期待だけでなく、実現に必要な土地や費用を具体的に確認する段階に入ったといえる。
編集部まとめ
蒲郡市が二次提案書を提出したことで、中日ドラゴンズのファーム拠点誘致は新たな段階に進んだ。東三河唯一の誘致自治体として選考に残っていることは、地域にとって大きな関心事だろう。
ただ、今回の市の発表から分かるのは、正式に提案書を提出したという事実と、今後の選考日程が中心である。
どの土地に、どの規模の施設を建設し、誰が費用を負担するのか。市が二次提案で示した内容が明らかにならなければ、市民は誘致のメリットと負担を具体的に比較できない。
プロ野球の拠点が街に生まれる期待は大きい。それだけに、誘致の実現可能性と市の財政負担についても、具体的な数字に基づく説明が必要となる。
特記事項
本記事は2026年10月31日時点で確認できた蒲郡市の公式発表、中日ドラゴンズの移転先公募資料、蒲郡市議会の一般質問資料などに基づき作成した。
海陽町などの候補地は、これまでの誘致検討で挙がった場所であり、10月30日に提出された二次提案書で正式に選定された土地と確認されたものではない。
市の費用負担、提案書の詳細、交通・道路整備に関する具体的な内容は未確認である。蒲郡市への移転は決定しておらず、今後の選考結果によって計画が変更される可能性がある。
週刊TAKAPI編集部/成田
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