『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』などで知られる漫画家・鳥山明さんが、長年にわたって創作活動の拠点としてきた愛知県清須市の旧仕事場「バード・スタジオ」が、解体に向けた工事に入っている。
黄色を基調とした独特の外観で知られ、国内外のファンにとって鳥山さんゆかりの場所として親しまれてきた建物だ。2026年10月下旬、建物に足場や養生シートが設置された写真がSNS上で広がり、取り壊しを惜しむ声が相次いだ。
一方、法人としての株式会社バード・スタジオは、今年8月に登記上の本店所在地を愛知県清須市から東京都港区へ変更していたことも確認された。ただし、本店移転と建物の解体との関係は明らかになっていない。
10月下旬に解体関連工事 11月20日までの道路占用許可も
解体に向けた動きが明らかになったのは10月下旬。現地の建物周辺には足場や養生シートが設けられ、工事の様子を撮影した写真が投稿された。
現地に掲示された道路占用許可書とみられる書面には、バード・スタジオの解体工事に伴う足場の設置を目的とし、10月19日付の許可で、10月21日から11月20日まで道路を占用する旨が記載されていたとされる。
清須市では、建築工事などで道路に足場を設置する場合、道路占用許可が必要になる。
ただし、今回の11月20日という日付は、報じられた道路占用期間の終了日であり、建物の解体完了日と同じとは限らない。工事の全範囲や撤去完了時期についても、確認できる公表資料はない。
バード・スタジオは8月に本店移転 建物の解体と法人の存続は別
今回の解体関連工事に先立ち、株式会社バード・スタジオの登記上の所在地にも変更があった。
公開されている法人情報によると、同社は2026年8月7日付で、本店所在地を愛知県清須市から東京都港区に変更している。
経済産業省が公開する法人情報データベースでも、現在の本店所在地は東京都港区となっている。
もっとも、登記上の本店移転は、すべての業務拠点が東京へ移ったことを意味しない。また、清須市にあった建物の解体と、会社としてのバード・スタジオの存続も別の問題だ。
本店移転が今回の解体にどのように関係しているのかは、現時点では明らかになっていない。
『ドラゴンボール』を生んだ鳥山明さん 清須市との深いつながり
鳥山さんは1955年生まれ。1980年に連載を開始した『Dr.スランプ』で人気を確立し、1984年から連載した『ドラゴンボール』は、漫画だけでなくアニメやゲームなどにも広がり、世界的な作品となった。
2024年3月1日、急性硬膜下血腫のため68歳で死去した。
鳥山さんは長年、愛知県を拠点に創作活動を続けてきた。清須市にあったバード・スタジオの特徴的な建物は、その活動を象徴する存在としてファンに知られている。
地元とのつながりを示す仕事も残した。
清須市は2024年1月23日、鳥山さんが手がけた市制20周年記念ロゴを発表。2025年7月7日の市制20周年に向けた記念事業で活用した。
さらに、2026年5月7日に供用を開始した清須市役所西館には、この記念ロゴをあしらった銘板が設置されている。場所は西館2階のエレベーターホールで、鳥山さんが地元に残した仕事を伝えている。
解体理由は未公表 保存を望む声と私有建物としての事情
建物の取り壊しをめぐっては、ファンから保存を望む声が上がっている。
世界的な作品を生み出した漫画家の旧仕事場だけに、建物そのものに文化的な価値を見いだす人がいるのは自然なことだろう。
しかし、今回の解体理由について、所有者や関係者から具体的な事情を説明する正式な発表は確認できていない。
SNS上では相続税や建物の老朽化などを理由とする推測も広がっているが、いずれも裏付けはなく、解体の原因と判断することはできない。
また、建物は鳥山さんの私生活とも関わる場所であり、一般公開された記念施設ではない。
鳥山さんの死去を公表した2024年3月の声明では、本人が静かな環境を望んでいたことから、家族への取材などを控えるよう求めている。
建物の保存を求める意見がある一方、所有者の意向や遺族のプライバシー、近隣住民の生活を尊重する必要もある。
編集部まとめ
鳥山明さんの旧仕事場「バード・スタジオ」が解体に向かっていることは、世界中のファンにとって、作品を生み出した場所の一つが姿を変える出来事となる。
一方、建物の解体と法人の本店移転について、両者の関連性は確認されていない。背景を推測だけで説明することは避けるべきだ。
清須市には、鳥山さんが制作した市制20周年記念ロゴや、市役所に設置された記念銘板が残されている。
創作の場として知られた建物が姿を消しても、鳥山さんが地元に残した功績まで失われるわけではない。今後、その足跡をどのような形で記録し、伝えていくのかも重要になる。
特記事項
本記事は2026年11月3日時点の公開情報に基づく。建物の解体については現地写真などを基にした報道で確認したが、道路占用許可の行政原本、解体工事の全範囲、工事完了日は未確認。
株式会社バード・スタジオの本店所在地は公的法人情報と複数の法人情報データベースで確認した。解体理由、跡地利用、登記上の本店移転と解体との関連は確認されていない。
週刊TAKAPI編集部/成田
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