【独自•愛知•豊川】自動運転バス実証に約4,679万円 運転席無人の走行にも挑戦、昨年の接触事故を受け安全対策を強化

:愛知県豊川市で2026年11月に実施する自動運転バス実証実験

愛知県豊川市は、2026年11月1日から21日にかけて、自動運転バスの実証実験を実施する。昨年度に続く取り組みで、今回は一部区間で運転席に運転手を配置しない走行にも挑戦する。

今回の実証事業の契約金額は約4,679万円。国の交付金を活用する計画で、期間中の乗車目標は1,992人に設定した。

昨年度の実証ではバスが予定の走行軌道から外れる接触事故が発生しており、市は再発防止に向けて確認手順をマニュアル化した。

週刊TAKAPI編集部は10月29日、豊川市の担当者に電話取材を実施。今回の実証目的や事業費、事故後の安全対策、将来的な導入の可能性について話を聞いた。


なぜ再び自動運転バスを実証するのか 昨年度から一歩進んだ取り組みへ

豊川市が今回の実証で重視するのは、自動運転技術の実用化に向けた検証だ。

担当者は、昨年度も実証を行ったことに触れ、今年度はさらに一歩進める取り組みになると説明した。

特に大きな変更点が、運転席に運転手がいない状態での走行を一部区間で実施することだ。

ただし、全区間で運転手を配置しないわけではない。通常の走行区間では運転席に人が乗り、基本的に自動運転で走行する方式を採る。

運転席無人での走行は、一般車両や歩行者が進入しないようカラーコーンなどで区切った区間に限定する。

そのため、今回の実証をもって、一般の公道全体で完全無人運転が実現するということではない。


豊川稲荷の御開帳に合わせた運行 渋滞を避けるルートへ変更

今回の実証は、豊川稲荷で行われる72年ぶりの御開帳の時期に合わせた取り組みでもある。

市は自家用車から公共交通へ乗り換える「パークアンドライド」の活用も意識している。

昨年度は県道の姫街道を中心としたルートだったが、今年度は豊川稲荷付近の県道区間を一部回避するルートに変更する。

担当者によると、御開帳期間中には自家用車で訪れる人も想定されることから、渋滞を避けることを考慮したという。

今回の実証には、自動運転技術の検証に加え、観光客の移動手段として活用できるかという視点もある。


事業費は約4,679万円 国の交付金を活用、市の実質負担額は未確定

電話取材で明らかになった今回の契約金額は、4,679万4,000円。

財源には国の「地域未来交付金」を活用するとの説明があった。

担当者によると、国の交付金が事業費の半分程度を占める見込みだという。

ただし、交付金は複数の事業を対象としており、今回の自動運転バス事業に最終的にいくら充当されるかは、取材時点で明確になっていない。

そのため、豊川市の実質負担額についても確定した数字は示されなかった。

なお、今回使用する車両は購入ではなくリース方式となっている。

約4,679万円という金額は契約金額であり、実証終了後の運行経費や将来的な本格導入費用を示すものではない。


昨年度は1,326人が乗車 今年度の目標は1,992人に引き上げ

乗車実績と今回の目標

昨年度の実績

1,326人

今年度の目標

1,992人

昨年度実績比

+666人(約50.2%増)

豊川市担当者への電話取材に基づく。昨年度は実績、今年度は目標であり、同条件の利用者数比較ではない。

昨年度の実証では、期間中に1,326人が乗車した。担当者によると、当時の目標人数は達成したという。

今年度は1,992人を目標に掲げる。

目標人数が増えた理由の一つが、乗車定員の考え方の変更だ。

昨年度は座席に座る乗客のみを対象としていたが、今年度は立席も含めた乗車を想定する。

これにより、一度に乗車できる人数が増えることになる。

ただし、目標人数の増加が、そのまま需要の増加を意味するわけではない。


昨年度の接触事故を受け、安全確認をマニュアル化

今回の取材で重要な論点となったのが、昨年度の実証中に発生した接触事故への対応だ。

担当者によると、前回の事故では車両が予定していた走行軌道からずれたという。

事故後、市側は再発防止に向けた手順をマニュアル化した。

特に、走行前にハンドル位置が正しい状態になっているかを確認する手順を設けたと説明した。

また、警察とも事故防止に向けた運用方法について協議しているという。

一方、事故原因の詳細や人的被害の有無、再発防止策の検証結果については、今回の電話取材だけでは確認できていない。

安全対策の実効性は、今後の実証結果を確認する必要がある。


自動運転バスは運転手不足の解消につながるのか

自動運転バスの導入が期待される背景の一つに、公共交通を支える運転手の確保という課題がある。

豊川市の担当者によると、現時点では市内の既存路線やコミュニティバスの運行に必要な運転手は確保できているという。

しかし、広域的には運転手の減少が懸念されており、今後、豊川市の公共交通にも影響する可能性がある。

自動運転技術の活用は、将来的な運転手不足に備える選択肢の一つとして位置付けられている。

ただし、実際に導入した場合にどの程度の人員削減や経費削減が可能になるかについて、市は現段階で具体的な試算を行っていない。

既存のコミュニティバスとは役割が異なる可能性

自動運転バスが実用化された場合、現在運行している豊川市のコミュニティバスとどのように共存するのか。

この点について担当者は、既存のコミュニティバスが比較的狭い道路を通る一方、自動運転バスは車線が明確に区分された道路での運行が想定されると説明した。

つまり、現在のコミュニティバスを直ちに置き換えるのではなく、幹線的な移動を担う交通手段として活用する可能性が考えられる。

ただし、具体的な役割分担や路線再編の計画が決まったわけではない。


レベル4の実現時期は未定 実証結果を踏まえて判断

今回の実証が最終的に目指す自動運転レベルや、本格導入の時期についても確認した。

担当者は、国が自動運転の普及に向けた目標を掲げていることに触れつつ、豊川市としては今年度の実証結果を踏まえて今後の方向性を検討すると説明した。

現時点で、市独自のレベル4実現年度や、市内全域への導入計画は示されていない。

実証の評価では、自動運転による走行状況、乗車人数、利用者アンケートなどを参考にする方針だ。

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